現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

運営指導とは何か。
実地指導から名称が変わった経緯と、
通知から当日までの流れ

最終更新|制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
結論

運営指導(旧・実地指導)は、都道府県または市町村が事業所ごとに、サービスの質・運営体制・報酬請求の状況を確認して必要な指導を行うものです。障害福祉サービスの根拠は、2026年8月16日時点では令和8年(2026年)6月8日付けの障発0608第1号です。表題は「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」です。この通知の発出により、従来参考とされてきた平成26年1月23日障発0123第2号は廃止されました。旧通知は指導の形態を「集団指導」と「実地指導」と定めていました。新しい指導指針は、これを「集団指導」と「運営指導」として整理しています。

運営指導は原則として実地で行われます。就労継続支援A型・就労継続支援B型・共同生活援助の事業所は、3年に1回以上の頻度で実施することとされました。実施は原則として実施予定日の1か月前までに文書で通知されます。ただし例外があります。障害者虐待が疑われているなどの理由で、事前に知らせては日常のサービス提供状況を確認できないと認められる場合です。この場合は指導開始時に通知して行われます。

根拠:厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」(令和8年6月8日障発0608第1号 別添1)
目次

「実地指導」がいつ「運営指導」になったのか

呼称が先に変わったのは介護保険分野です。厚生労働省老健局が令和4年(2022年)3月に「介護保険施設等 運営指導マニュアル」を出しました。このマニュアルは名称を改めた理由まで書いています。この指導をこれまで実地指導としてきたが、今後は実地で行わない場合もあるため、というものです。実地に行くかどうかではなく、事業所の運営そのものを見る指導だという整理です。

障害福祉サービスについては、事情がもう少し込み入っています。長らく参考通知とされてきた平成26年1月23日障発0123第2号は、指導の形態を「集団指導」と「実地指導」と規定していました。この通知は、令和8年(2026年)6月8日付けの障発0608第1号の発出をもって廃止されました。新しい通知は、4本を別添として新たに定めています。指導指針、集団指導と運営指導のマニュアル、監査指針、監査マニュアルです。そこでは指導の形態が「集団指導」と「運営指導」になっています。

障害福祉分野で何年何月から呼称が切り替わったのかを断定する解説を見かけますが、原典で確認できるのはここまでです。少なくとも2026年8月時点で事業所が読むべき文書は、令和8年6月8日通知の別添です。それ以前の解説記事を下敷きにした自己点検表は、作り直す必要があります。

運営指導は3つの指導の束である

運営指導という1つの検査があるわけではなく、指導指針は次の3つに分けています。この3つは、効率的な実施の観点から分割して実施しても差し支えないとされています。別々の時期に行った場合でも、すべてを完了すれば運営指導の実績があるものとみなされます。年度内に「体制と請求だけ先に見ます」という連絡が来ても、それは正規の運営指導です。

指導の種類主に見られるもの実地かどうか
①自立支援給付対象サービス等の実施状況指導施設・設備、利用者へのサービス提供の実態。虐待や不当な身体的拘束の有無も現場で確認される現地でなければ確認できないため実地
②最低基準等運営体制指導人員・設備・運営基準に定められた運営体制。委員会・研修・指針・計画の整備状況実地が基本。確認可能ならオンライン等も可
③報酬請求指導加算の算定要件を満たしているか、請求事務が適正か実地が基本。状況に応じてオンライン等も可

①と②については、サービス種別ごとに定められた「確認項目及び確認文書」に基づいて実施されます。確認項目以外の項目は、特段の事情がない限り確認しません。確認文書以外の文書も、原則として求めないことになっています。

この確認項目及び確認文書は令和8年6月に新設されました。それ以前は、基準省令の内容をすべて並べた「主眼事項及び着眼点等」しかありませんでした。自分の事業所のサービスのシートを開けば、当日何を見られるかが項目単位で分かります。

実施頻度は、サービスによって明確に差がついた

対象頻度
就労継続支援A型・就労継続支援B型・共同生活援助3年に1回以上
上記以外のサービス3年に1回までは求めないが、原則として指定の有効期間内に少なくとも1回以上
指定後まもない事業所指定後3年以内。ただし就労継続支援A型は新規指定の半年後を目途に初回
通報等により不適切な運営・報酬請求が疑われる事業所優先的に実施
集団指導内容に応じて年1回以上。実施日の2か月前までに文書で通知。新規に開始した事業者はおおむね1年以内に全てを対象

背景には運営指導・監査の強化があります。厚生労働省とこども家庭庁は、令和7年度から強化を進めているとしています。重点化の対象は5サービスです。就労継続支援A型・B型・共同生活援助・児童発達支援・放課後等デイサービスです。この5サービス平均の運営指導実施率は令和5年度18.0%、令和6年度19.0%で、3年に1回に相当する約33%には届いていません。頻度を上げる方向で制度が動いているという前提で構えたほうがよいということです。

なお、児童発達支援や放課後等デイサービスは別の通知によります。「指定障害児通所支援事業者等の指導監査について」(平成26年3月28日障発0328第4号、最終改正 令和7年3月31日)です。障害児の事業所も併設している法人は、根拠通知が2本あることに注意してください。

通知から改善報告書までの流れ

段階内容
実施通知原則として実施予定日の1か月前までに文書。根拠規定と目的、日時と場所、指導担当者、出席者、準備すべき書類等の5項目に加え、当日のおおむねの流れも示される
事前準備事前提出資料を求められることがある(必須ではない)。自治体が既に保有している文書は再提出不要。自己点検シートの提出を求める自治体が多い
当日確認項目及び確認文書に基づき、書類を閲覧しながら関係者への面談方式。確認する文書は原則として前年度から直近の実績に係るもの、提出部数は1部、利用者の記録の確認は特に必要な場合を除き原則3名以内
終了時その場で口頭の講評が行われることが多いが、当日必ず講評しなければならないわけではない
後日改善を要すると認められた事項について、文書で指導内容が通知される
改善報告文書で指摘された事項について、期限を定めて改善報告書の提出を求められる

指摘は重さで3段階に分かれます。法令・基準・通知・告示・条例等に違反している場合は文書指導となり、改善報告が必要です。違反はあるが程度が軽微な場合や、文書指導をしなくても改善が見込まれる場合は口頭指導となり、改善報告は求められません。違反していないが今後のために伝えられるものは助言です。文書指導と口頭指導のいずれも、法令等の具体的かつ直接的な根拠を示すことが必要とされているので、指摘の根拠規定はその場で確認して構いません。

指導指針には、担当者の主観に基づく指導や前回の指導内容と根拠なく大きく異なる指導を行わないこと、高圧的な言動は控えることが明記されました。運営指導のうち事前準備と現地調査は、障害者総合支援法第10条第1項・第11条第2項に基づく法定の調査権限です。そこから先の改善指示は行政手続法上の行政指導であり、任意の協力に基づくものです。この2つは法的な性質が違います。

運営指導が監査に切り替わる4つの場合

運営指導の最中に次のいずれかを確認した場合、自治体は運営指導を中止して直ちに監査を行います。監査は勧告・命令・指定の効力停止・指定取消といった行政上の措置につながる手続きで、運営指導とは目的も法的な位置づけも異なります。

  • 人員、施設・設備および運営に関する基準に従っていない状況が著しいと認められる場合、またはその疑いがある場合
  • 自立支援給付に係る費用の請求等について不正があると認められる場合、またはその疑いがある場合
  • 不正の手段による指定等を受けていると認められる場合、またはその疑いがある場合
  • 障害者虐待等により利用者等の生命または身体の安全に危害を及ぼしていると認められる場合、またはその疑いがある場合

この4類型のうち2つに虐待と不正請求が入っている点は、経営者として押さえておく価値があります。

運営指導そのものについては、関連する記事にまとめています。

個別の体制整備は次の記事で扱っています。

体制整備とは別に、虐待を疑った時点で発生する通報義務は障害者虐待防止法にまとめています。

要点の整理
現行の根拠通知
令和8年6月8日 障発0608第1号(別添1〜4。平成26年1月23日障発0123第2号は廃止)
指導の形態
集団指導(年1回以上)と運営指導(原則、実地)の2つ
実施頻度
就労継続支援A型・B型・共同生活援助は3年に1回以上。その他は原則として指定の有効期間内に少なくとも1回以上
新規事業所
指定後3年以内。ただし就労継続支援A型は新規指定の半年後を目途に初回を実施
事前通知
原則として実施予定日の1か月前までに文書。虐待が疑われる場合等は指導開始時に通知
確認される書類
原則として前年度から直近の実績に係る書類。提出部数は1部。利用者の記録の確認は原則3名以内
終了後
改善を要すると認められた事項は後日文書で通知され、改善報告書の提出を求められる
制度基準日2026.06.08

よくある質問

Q. 実地指導と運営指導は別のものですか。
A. 別の制度ではなく、同じ枠組みの指導の呼び方が変わったものです。障害福祉サービスについては、令和8年(2026年)6月8日付け障発0608第1号の別添1が定めています。別添1「指定障害福祉サービス事業者等指導指針」は、指導の形態を「集団指導」と「運営指導」としました。指導形態を「集団指導」と「実地指導」としていた平成26年1月23日障発0123第2号は、同日付けで廃止されました。なお介護保険分野では先行して呼称が改められています。令和4年3月の「介護保険施設等運営指導マニュアル」は、実地で行わない場合もあることから運営指導と名称を改めたと説明しています。
Q. 運営指導は何年に1回来ますか。
A. サービスによって異なります。就労継続支援A型、就労継続支援B型、共同生活援助を行う事業所は、3年に1回以上の頻度で実施することとされました。その他のサービスは3年に1回までは求められません。ただし原則として、指定の有効期間内に少なくとも1回以上実施することとされています。根拠は令和8年6月8日障発0608第1号 別添1 第3の2(2)です。指定後まもない事業所は指定後3年以内です。就労継続支援A型のみ、新規指定の半年後を目途に初回が実施されます。
Q. 事前の通知なしに運営指導が来ることはありますか。
A. あります。原則は実施予定日の1か月前までの文書通知です。ただし、あらかじめ通知したのでは日常のサービス提供状況を確認できないと認められる場合があります。指導対象の事業所で障害者虐待が疑われているときなどです。この場合は、指導開始時に文書で通知して実施することができます。集団指導・運営指導マニュアルは、不正請求のための文書改ざんが疑われる場合も同様に挙げています。そのうえで、運営指導ではなく監査(立入検査)として対応する場合も示しています。利用者の生命・身体に危害が及ぶおそれがある場合や、証拠保全が必要な場合です。
Q. 運営指導の当日は管理者が対応しなければいけませんか。
A. 管理者に限定する必要はありません。指導指針は、事業者側の対応者を管理者に限定しないと明記しています(別添1 第7(3)③)。実情に詳しい従業者や、事業所を経営する法人の労務・会計等の担当者が同席することは問題ないとされています。報酬請求指導では請求実務の担当者、運営体制の確認では労務担当者というように、答えられる人を席に着かせるほうが確認は早く終わります。
Q. 運営指導で指摘を受けたら必ず改善報告書を出すのですか。
A. 文書で指摘された事項については提出を求められます。指導指針は、都道府県または市町村が文書で指摘した事項に係る改善報告書の提出を求めるものとしています。集団指導・運営指導マニュアルは、改善報告書に具体的な改善内容を書くことを求めています。未完了なら「いつまでに何を行うのか」を明示します。「努力します」のような抽象的な表現は認められません。一方、軽微な違反等で口頭指導にとどまった事項は改善報告が不要と整理されています。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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