現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

就労選択支援とは?
事業所運営者が押さえる
制度の全体像

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

就労選択支援は、2025年10月1日に施行された障害福祉サービスです。障害のある本人が、就労先や働き方をより良く選べるようにすることを目的としています。手法は就労アセスメントで、本人の希望・就労能力・適性に合った選択を支援します。

2026年8月16日時点では、新たに就労継続支援B型を利用する意向のある人が、原則としてこのサービスを先に利用します。2027年4月以降は対象が広がる予定とされています。加わるのは、新たに就労継続支援A型を利用する場合と、就労移行支援を標準利用期間を超えて利用する場合の2つです。

施行日
2025年10月1日(令和7年10月1日)
対象者
就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある人、および現に利用している人
基本報酬
就労選択支援サービス費 1,210単位/日
人員基準
就労選択支援員を常勤換算で利用者数÷15以上(サービス管理責任者の配置は不要)
支給決定期間
1か月または2か月のうち市町村が定める期間(原則1か月)
全国の事業所数
965事業所(令和8年6月時点)
制度基準日2025.10.01
根拠:厚生労働省「就労選択支援の実施について」(令和7年3月31日障障発0331第3号/令和7年9月30日改正)
目次

何のために作られた制度か

就労選択支援は、法律の改正によって新しく置かれた障害福祉サービスです。根拠は障害者総合支援法第5条第13項です。この条は、障害者総合支援法と児童福祉法の一部を改正する法律(令和4年法律第104号)で新設されました。

厚生労働省は、このサービスの狙いを次のように説明しています。障害のある本人が就労先や働き方についてより良い選択ができるようにすることです。その手段が就労アセスメントで、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援します。

制度上の対象は、就労移行支援または就労継続支援を利用する意向を有する人と、現にそれらを利用している人です。これから就労系サービスに入る人だけが対象ではありません。すでに使っている人が働き方を選び直す場面も想定されています。

もともと就労継続支援B型の利用にあたっては、就労移行支援事業者等による就労アセスメントが必要でした。就労選択支援は、その役割を専門的・中立的な立場の事業所に切り出したものです。多機関でのケース会議を通じて結果をつくるところまでを、一つのサービスにしました。こう理解すると位置づけをつかみやすくなります。

サービスの骨格

運営者としてまず押さえるのは、次の枠組みです。日中活動系のサービスとは設計思想がかなり違います。

項目内容
根拠障害者総合支援法第5条第13項(令和4年法律第104号による改正)
施行2025年10月1日
事業内容本人への情報提供、作業場面等を活用した状況把握、多機関連携によるケース会議、アセスメント結果の作成と連絡調整
支給決定期間1か月または2か月のうち市町村が定める期間(原則1か月)
利用日数上限各月の暦日数から8日を控除した日数
基本報酬就労選択支援サービス費 1,210単位/日
人員就労選択支援員を常勤換算で利用者数÷15以上
個別支援計画作成不要。サービス管理責任者の配置も求められない
主な減算特定事業所集中減算 1日につき200単位

短期間で完結し、個別支援計画もサービス管理責任者も不要という点が特徴です。その代わり、事業内容のうち未実施の項目があると、基本報酬そのものが算定できません。支援記録を1日単位で残すことも前提になっています。利用の流れと期間の考え方は利用の流れと期間で詳しく扱います。

既存の就労系サービスとどう接続するか

対象は一度に広がるのではなく、段階的に広がる設計です。

時期就労継続支援B型就労継続支援A型就労移行支援
2025年10月〜新規利用希望者は就労選択支援事業所のアセスメントが要件従来どおり従来どおり
2027年4月〜(予定)引き続き対象新たに利用する場合が対象標準利用期間を超えて利用する場合が対象

B型については、従来からの対象者の扱いが変わっていません。次の人はこれまでどおりです。

  • 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人
  • 50歳に達している人または障害基礎年金1級受給者

変わったのは、そのどちらにも当てはまらない利用希望者の要件です。2025年10月以降は、就労選択支援事業所によるアセスメントが要ります。そこで就労面の課題等の把握が行われていることが求められます。

ただし、地域の事情による例外が2つ置かれています。次のどちらかに当たる場合は、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用が認められます(障障発0331第3号 1の(2))。

  • 最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で、近隣に事業所がない場合
  • 利用可能な事業所数が少なく、就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合

2027年4月以降の取扱いは、厚生労働省が改めて示すとしています。2026年8月16日時点で詳細な通知は出ていません。

関連する記事にまとめています。

自事業所への影響を2つの立場で見る

利用者を受け入れる側(B型・A型・就労移行支援)から見ると、入口の手続きが変わります。B型では、新規の相談を受けた時点で相談支援専門員に確認することが2つあります。その人が就労選択支援の対象かどうかと、対象なら支給決定がどうなっているかです。どちらも早い段階で確認する必要があります。

また、就労系サービスの事業者には、計画相談支援を行う者と連携することが求められています。支給決定の更新時など定期的に就労選択支援に関する情報提供を行い、利用を促すことも求められています。

参入する側から見ると、指定のハードルと中立性の制約が判断材料になります。実施主体になれるのは、次の両方を満たす事業者だけです。

  • 就労移行支援または就労継続支援の指定障害福祉サービス事業者であること
  • 過去3年以内に、その事業者の事業所から合計3人以上の利用者が新たに通常の事業所に雇用されたこと(これと同等の実績があると都道府県知事が認める場合を含む)

「過去3年以内」の起算日は、指定申請があった日の前月の末日です。参入の可否は実施主体と参入条件で詳しく整理します。

全国の指定状況は、令和8年6月時点で965事業所です(都道府県532、指定都市213、中核市220)。空白の指定権者もまだ残っており、地域によって供給には差があります。

中立性の制約が経営判断を縛る

この制度でもっとも独特なのは、自法人への送客が構造的に封じられている点です。

就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が、受給者証の更新や事業所の変更を検討して就労選択支援を使う場面があります。このとき、いま通っている事業所と同一法人が運営する就労選択支援は利用できません。近隣に別法人の事業所がない場合だけ例外が認められます。

さらに、半年ごとの判定期間ごとに、アセスメントを終えた利用者の移行先を集計します。就労移行支援・A型・B型のいずれかで同一法人の占める割合が80%を超えると、特定事業所集中減算が適用されます。集計書類は80%を超えなかった場合も5年間の保存が必要です。

アセスメント結果の位置づけも通知に明記されています。就労選択支援事業者が判断・決定するものではない、という内容です。決めないのは、本人の就労の可否、利用すべきサービス、利用する事業所の3つです。利用サービスのあっせんを行う立場ではない、という前提になります。この制約をどう読むかはデメリットと課題でも取り上げます。

実務ではこう組めます

受け入れ側の事業所が用意しておく段取りは、通知から3つに整理できます。

1つ目は、新規の見学・相談を受けた時点で、相談支援専門員に就労選択支援の利用状況と支給決定の見通しを確認することです。B型の場合、対象者に当たるかどうかで入口の手順が変わります。

2つ目は、多機関連携によるケース会議に呼ばれたときの対応者と日程調整の窓口を決めておくことです。会議は個々のケースに応じて必要な機関を集める形なので、依頼は不定期に来ます。

3つ目は、受け取ったアセスメント結果を個別支援計画にどう引き継ぐかを決めておくことです。アセスメントは原則1年以内に実施されたものを活用する扱いなので、実施時期も合わせて記録に残しておく必要があります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

人員と研修をどう手当てするか

就労選択支援員は、常勤換算方法で利用者の数を15で除した数以上を配置します。一体的に運営する就労移行支援事業所等の常勤の職業指導員など直接処遇職員は、サービス提供に支障がなければ兼務できます。その勤務時間は常勤換算に算入できます。

要件は就労選択支援員養成研修の修了です。ただし令和9年度末までは経過措置があります。基礎的研修または同等以上の研修の修了者を、就労選択支援員とみなすことができます。令和8年度の養成研修は国が実施し、東京会場と大阪会場でそれぞれ10回、受講料は無料です。受講要件と申込みの流れは就労選択支援員養成研修にまとめています。

なお、就労移行支援と就労選択支援は名前も対象も似ています。それでも支援の目的も期間も報酬の考え方も別物です。違いの整理は就労移行支援との違いを参照してください。

よくある質問

Q. 就労継続支援B型を新しく利用してもらうとき、必ず就労選択支援を経由しますか?
A. 原則として経由しますが、例外があります。2025年10月以降、B型の新規利用希望者には新しい要件が加わりました。就労選択支援事業者によるアセスメントで、就労面の課題等の把握が行われていることです。ただし、次の3つに当たる人は除かれます。就労経験があり年齢や体力の面で一般企業への雇用が困難になった人、50歳に達している人、障害基礎年金1級受給者です。地域の事情による例外も2つあります。1つは、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で、近隣に事業所がない場合です。もう1つは、利用可能な事業所数が少なく、就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合です。この2つに当たるときは、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用が認められています。
Q. 就労選択支援の基本報酬はいくらですか?
A. 就労選択支援サービス費は1日につき1,210単位です。根拠は令和8年6月施行分の報酬算定構造です。1か月あたりの利用日数は、各月の暦日数から8日を控除した日数が上限です。支給決定期間は原則1か月です。算定できるのは、利用者に直接支援を行った日です。利用者が同席するケース会議や企業訪問は算定対象になります。関係機関との連絡調整だけを行った日は算定できません。
Q. 自法人のB型に利用者を集める目的で就労選択支援を始められますか?
A. できません。就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が、受給者証の更新や事業所の変更を検討して就労選択支援を使う場面を考えます。このとき、いま通っている事業所と同一法人が運営する就労選択支援は利用できません。近隣に別法人の事業所がない場合だけが例外です。加えて、アセスメント後の移行先が同一法人に80%を超えて集中すると、特定事業所集中減算として1日につき200単位が減算されます。
Q. 就労選択支援員をすぐに配置できますか?
A. 経過措置に該当すれば配置できます。本来の要件は、就労選択支援員養成研修の修了です。ただし令和9年度末までは、基礎的研修または同等以上の研修の修了者を就労選択支援員とみなせます。同等以上の研修は4つあります。就業支援基礎研修と、訪問型職場適応援助者養成研修が該当します。サービス管理責任者研修と相談支援従事者研修は、いずれも専門コース別研修の就労支援コースが該当します。令和8年度の養成研修は東京・大阪の各会場で10回ずつ、定員は各回100人予定、受講料は無料です。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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