現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

就労選択支援の対象者は誰か。
B型・A型・特別支援学校の線引きと
受給者証の扱い

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

就労選択支援の対象者は、就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある人と、現にこれらを利用している人です。このうち令和7年10月(2025年10月)以降に新たに就労継続支援B型を利用する場合は、原則として就労選択支援を先に利用する必要があります。ただし50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などは、就労選択支援を経なくてもB型を利用できます。就労継続支援A型と就労移行支援は現時点では本人の希望による任意利用で、令和9年4月以降に原則利用へ移る予定です(2026年8月16日時点)。

原則として利用が必要な人
令和7年10月以降に新たに就労継続支援B型を利用する意向がある人
例外(アセスメントなしでB型を利用できる人)
50歳に達している人/障害基礎年金1級の受給者/就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人 など
任意で利用できる人
新たにA型・就労移行支援を利用する人、既に就労系サービスを利用中で支給決定の更新等を検討する人、例外3類型でB型を新規利用する人
令和9年4月以降の予定
新たにA型を利用する場合と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合も対象とする予定(取扱いは改めて示されるとされている)
支給決定期間
原則1か月。例外事由に該当することが支援開始後に判明した場合に限り一度のみ再度1か月、当初から明らかな場合は2か月
特別支援学校等の在学者
高等部1年次から利用可能・在学中に複数回も可。15歳以上18歳未満は児童相談所長が適当と認め市町村長に通知することが必要
制度基準日2025.10.01
根拠:厚生労働省「就労選択支援の実施について」(令和7年3月31日障障発0331第3号/最終改正 令和7年9月30日障障発0930第3号)
目次

対象者の定義は2つの層でできている

厚生労働省の課長通知は、就労選択支援の対象者を「就労移行支援又は就労継続支援を利用する意向を有する者及び現に就労移行支援又は就労継続支援を利用している者」と定義しています。これから就労系サービスを使おうとしている人と、いま使っている人の両方が入るという、かなり広い定義です。

この広い定義の上に、もう一段の線引きが乗っています。令和7年10月から、就労継続支援B型の利用対象が「就労選択支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者」に変わりました。この入口要件の変更により、新規にB型を利用する人だけが実質的に就労選択支援を必須とされています。

類型ごとの対象と対象外

相談を受けたときに判断が必要になるのは、次の切り分けです。

利用者の類型就労選択支援の扱い(2026年8月時点)
新たにB型を利用する(下の例外に当たらない)原則として先に利用が必要
新たにB型を利用するが、50歳に達している/障害基礎年金1級受給者/就労経験があり年齢や体力の面で一般企業への雇用が困難になった必須ではない。本人の希望に応じて利用できる
新たに就労継続支援A型を利用する必須ではない。令和9年4月から原則利用の予定
新たに就労移行支援を利用する必須ではない。本人の希望に応じて利用できる
すでに就労移行支援・就労継続支援を利用中で、支給決定の更新等を検討している必須ではない。本人の希望に応じて利用できる
就労移行支援を標準利用期間を超えて更新する現時点では任意。令和9年4月から原則利用の予定
新たにB型を利用したいが、近隣に就労選択支援事業所がない/待機が生じる就労移行支援事業所等による従来の就労アセスメントを経てB型を利用できる
特別支援学校高等部等の在学者高等部1年次から利用可能。在学中に複数回も可

「必須ではない」と書いた行も対象者の定義からは外れていません。使えるけれども義務ではない、という位置づけです。制度の枠組みは就労選択支援とは何か、施行時期はいつから始まるのかで扱っています。

この表は類型を並べたものなので、実際に相談を受けたときの確認の順番は図1のように上から下へたどることになります。

就労選択支援が必要かどうかは、相談を受けた順番どおりに4段階で判定する。まずQ1で新規に利用するのか更新等かを確認し、更新等なら必須ではなく本人の希望に応じて利用できる。新規ならQ2で新たに利用するサービスを確認し、就労継続支援A型は必須ではないが令和9年4月から原則利用の予定、就労移行支援も必須ではなく、標準利用期間を超える更新は令和9年4月から原則利用の予定とされている。就労継続支援B型ならQ3で例外3類型に当たるかを見て、当たれば必須ではない。当たらない場合はQ4で地域の事情による例外に当たるかを見て、当たれば従来の就労アセスメントを経てB型を利用できる。いずれにも当たらない場合だけ、原則として先に就労選択支援を利用することが必要になる。なお同一法人が運営する就労選択支援は原則として利用できない。
図1就労選択支援が必要かどうかの判定順序厚生労働省「就労選択支援の実施について」(障障発0331第3号)をもとに作成

例外3類型と、事業所がない場合の逃げ道

B型の新規利用で就労選択支援を経なくてよいのは、50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などです。従来の就労アセスメントでも同じ扱いだった区分が引き継がれています。

もう一つ、地域の事情による例外があります。課長通知は、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で近隣に就労選択支援事業所がない場合と、利用可能な事業所数が少なくて待機期間が生じる場合の2つを挙げ、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用を認めています。同じ例外は留意事項通知(障障発0331第2号 1の(3)②ア(ア))にもありますが、そちらの書き方は「近隣に就労選択支援事業所がない場合」までで、通所の困難さに触れているのは課長通知のほうです。近さだけでなく通所できるかどうかで判断してよいという根拠は、課長通知に当たることになります。事業所数は令和8年6月時点で全国965か所ですが、指定権者別に見ると0か所の県や市も残っており、この例外が実務上まだ生きている地域があります。実施主体の要件はどこがやるのかで整理しました。

支給決定と受給者証の扱い

就労選択支援は障害福祉サービスなので、市町村への申請と支給決定を経て、法第22条第8項に基づく受給者証が交付されます。すでにB型などの受給者証を持っている人でも、就労選択支援について改めて申請と支給決定が必要です。

支給決定期間は原則1か月です。進路に関する自己理解に大きな課題がある場合など、通知が挙げる例外事由に該当することが支援開始後に判明したときに限り、一度だけ再度1か月の支給決定を行えます。当初から明らかなら最初から2か月の支給決定も可能ですが、その場合は延長ができません。詳細は利用の流れと期間にまとめています。

もう一点、見落としやすいのが同一法人の制限です。就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が受給者証の更新や事業所の変更を検討して就労選択支援を使う場合、そのサービスを提供している事業所と同一法人が運営する就労選択支援は利用できません。近隣に別法人の事業所がない場合だけ例外が認められます。

実務ではこう組めます

相談を受けた時点でまず確認するのは、新規に利用するのか、いま利用しているサービスの更新かという点です。新規でB型なら原則として就労選択支援が先に必要になり、更新なら本人の希望次第で扱いが変わります。

次に例外の3類型に当たるかを見ますが、年齢や障害基礎年金の等級は市町村が支給決定の場面で判断する事項です。事業所側で結論を出さず、相談支援専門員を通じて市町村の障害福祉担当に確認を回すほうが安全です。同一法人の制限もあるので、受給者証で現在の利用サービスと支給決定期間を確認したうえで案内先を組み立てることになります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

特別支援学校の在校生をどう扱うか

就労選択支援は18歳以上の障害者向けのサービスですが、特別支援学校高等部、高等学校、中等教育学校の後期課程に在籍する生徒は、1年次から利用できます。在学中に複数回受けることも、職場実習のタイミングで受けることも可能です。

15歳以上18歳未満の生徒が利用する場合は、児童相談所長が障害福祉サービスを受けることが適当と認め、その旨を市町村長に通知することが必要になります。授業日に通所する場合の出欠は、校長の判断で「出席停止・忌引等の日数」に計上することも、学校の教育活動に位置づけて出席として扱うこともできるとされています。作業観察は、生徒が事業所に通所する形のほか、教育課程に位置づけられた校内実習や実習の場面に事業者が出向いて行うことも認められています。

令和9年4月に何が変わるか

新たに就労継続支援A型を利用する場合と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合についても、令和9年4月以降は就労選択支援事業所によるアセスメントが行われている人を対象とする予定とされています。ただし通知は「令和9年4月以降の取扱いについては改めてお示しする」と述べるにとどまっており、2026年8月16日時点で詳細な要件は示されていません。

対象が広がれば、商圏で受けられる就労選択支援の枠が足りるかどうかが直接効いてきます。B型の新規利用だけで待機が出ている地域は、A型と就労移行支援が加わったときの負荷を先に見積もっておきたいところです。運用上の論点はデメリットと課題でも触れています。

なお、対象者の判断や支給決定の運用は市町村ごとに幅があります。手続きの進め方や必要書類は、事業所の所在地を管轄する市町村の障害福祉担当課と指定権者に確認してください。

よくある質問

Q. 新しく就労継続支援B型を利用したい人は、必ず就労選択支援を経る必要がありますか?
A. 原則として必要です。令和7年10月から、就労継続支援B型は「就労選択支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者」が利用対象となったため、新たにB型を利用する意向がある場合は就労選択支援をあらかじめ利用します。ただし50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などは、就労選択支援事業者によるアセスメントを行うことなくB型を利用できます。
Q. 近くに就労選択支援事業所がない場合はどうなりますか?
A. 就労移行支援事業所等による従来の就労アセスメントを経てB型を利用できます。課長通知「就労選択支援の実施について」(障障発0331第3号 1の(2))は、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に事業所がない場合と、利用可能な事業所数が少なく就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合の2つを挙げています。同じ例外は留意事項通知(障障発0331第2号 1の(3)②ア(ア))にも置かれていますが、そちらは「近隣に就労選択支援事業所がない場合」と短く記されています。事業所数は令和8年6月時点で全国965か所(都道府県532・指定都市213・中核市220)で、指定権者によって0か所の地域も残っています。
Q. すでに就労継続支援B型を利用している人も対象になりますか?
A. 対象になりますが、利用は任意です。現に就労移行支援または就労継続支援を利用している人も就労選択支援の対象者に含まれ、支給決定の更新や事業所の変更を検討するときに本人の希望に応じて利用できます。令和7年10月の施行によって既存の利用者にさかのぼって義務が生じるものではありません。
Q. 就労選択支援を利用するのに受給者証は必要ですか?
A. 必要です。就労選択支援は障害福祉サービスなので、市町村に申請して支給決定を受け、障害者総合支援法第22条第8項に基づいて受給者証が交付されます。支給決定期間は原則1か月です。すでに他のサービスの受給者証を持っている人でも、就労選択支援について改めて申請と支給決定が必要になります。
Q. 特別支援学校の生徒はいつから利用できますか?
A. 高等部の1年次から利用でき、在学中に複数回受けることもできます。就労選択支援は18歳以上の障害者向けのサービスですが、特別支援学校高等部・高等学校・中等教育学校の後期課程に在籍する生徒は学年を問わず利用可能とされています。15歳以上18歳未満の生徒が利用する場合は、児童相談所長が障害福祉サービスを受けることが適当と認め、その旨を市町村長に通知することが必要です。
Q. 自法人のB型利用者に、自法人の就労選択支援を提供できますか?
A. 原則としてできません。就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が受給者証の更新や事業所の変更を検討するにあたって就労選択支援を利用する場合、そのサービスを提供している事業所と同一の法人が運営する就労選択支援は利用できないと通知に定められています。ただし、最も近い就労選択支援事業所であっても通所が困難であるなど、近隣に別法人が運営する就労選択支援事業所や就労移行支援事業所がない場合は認められます。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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