就労選択支援と就労移行支援、
従来の就労アセスメントは
何がどう違うのか
就労選択支援は就労先や働き方を選ぶための評価を行う障害福祉サービスで、就労移行支援は一般就労に必要な知識と能力を高めるための訓練を行うサービスです。目的が「選ぶ」と「訓練する」で分かれており、支給決定期間も原則1か月と標準2年で大きく違います。従来の就労アセスメントは、就労継続支援B型の新規利用にあたって就労移行支援事業所等が実施してきた評価で、令和7年10月(2025年10月)から原則として就労選択支援に置き換わりました。ただし、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で近隣に事業所がない場合と、利用可能な事業所数が少なく待機期間が生じる場合は、従来どおり就労移行支援事業所等の就労アセスメントを経たB型利用が認められています(2026年8月16日時点)。
- 就労選択支援の目的
- 短期間の生産活動等を通じた適性・知識・能力の評価と就労に関する意向の整理
- 就労移行支援の目的
- 就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練と就職に向けた支援
- 期間の違い
- 就労選択支援は支給決定期間が原則1か月/就労移行支援は標準利用期間2年
- 報酬の違い
- 就労選択支援サービス費は1日につき1,210単位/就労移行支援サービス費(Ⅰ)は利用定員と就労定着者の割合に応じた区分
- 従来の就労アセスメントの現在地
- B型の新規利用では原則として就労選択支援に置き換わったが、近隣に事業所がない場合や待機期間が生じる場合は引き続き認められる
- 用語の重なり
- 「就労アセスメント」は手法の名称でもあり、就労選択支援もこの手法を活用するサービスとして創設された
目次
混乱の元は「就労アセスメント」という言葉が二重に使われていること
就労選択支援は、令和4年法律第104号による障害者総合支援法等の改正を受けて、令和7年10月1日から始まった障害福祉サービスです。厚生労働省の説明では「就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する」サービスと位置づけられています。
ここで話がややこしくなります。「就労アセスメント」という言葉は、就労選択支援が使う手法の名前であると同時に、それ以前からB型の利用手続きの中で就労移行支援事業所等が行ってきた評価そのものを指す言葉でもありました。同じ言葉が制度の内側と外側で使われているため、3つが並ぶと関係が見えにくくなります。
3つを列で並べて対比する
| 項目 | 就労選択支援 | 就労移行支援 | 従来の就労アセスメント |
|---|---|---|---|
| 制度上の位置づけ | 障害福祉サービス(令和7年10月創設) | 障害福祉サービス | サービスではなく、B型の利用に先立つ評価の手続き |
| 目的 | 就労に関する適性・知識・能力の評価と意向の整理を行い、進路の選択を支援する | 就労に必要な知識及び能力の向上のための訓練を行い、就職と定着まで支援する | 就労面の課題等を把握したうえでB型を利用できるようにする |
| 実施主体 | 指定就労選択支援事業者(就労選択支援員を配置) | 指定就労移行支援事業者 | 就労移行支援事業所等 |
| 期間 | 支給決定期間は原則1か月(例外事由に該当する場合のみ2か月、または一度だけ再度1か月) | 標準利用期間2年 | 就労移行支援等の枠組みの中で実施 |
| 報酬 | 就労選択支援サービス費 1,210単位/日 | 就労移行支援サービス費(Ⅰ)は利用定員と就労定着者の割合に応じた区分 | 独立したサービス費の区分はない |
| 利用者から見た位置づけ | 進路を決めるための入口 | 一般就労を目指して通う場 | B型に入るための前提となる手続き |
期間の差は運営上の性格の違いをそのまま表しています。就労選択支援は1か月で結論を出し、アセスメント結果を作成して関係機関に引き継ぐところまでが仕事です。利用者を長く抱えるサービスではありません。詳しい進め方は就労選択支援の利用の流れと期間で扱っています。
従来の就労アセスメントはどう扱われることになったのか
いちばん確認したいのはここでしょう。令和7年3月31日付で改正された留意事項通知の新旧対照表では、B型の支給決定手続について次のように書き加えられました。令和7年10月からは就労選択支援事業者によるアセスメントにより就労面の課題等を把握したうえでB型を利用することとし、ただし近隣に就労選択支援事業所がない場合や、利用可能な事業所数が少なく就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用を認める、という内容です。
つまり従来の就労アセスメントは、原則としては就労選択支援に置き換わり、例外的な場合に限って併存しています。全国一律に廃止されたわけでも、選択制になったわけでもありません。この例外は期限を切った経過措置としてではなく、地域の事業所整備の状況に応じた例外事由として書かれている点も押さえておきたいところです。
なお、50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などは、そもそも就労選択支援事業者によるアセスメントを行わずにB型を利用できます。対象と例外の線引きは就労選択支援の対象者で詳しく整理しています。
A型と就労移行支援の扱いは令和9年4月に動く
現時点で原則利用が求められているのはB型の新規利用だけです。A型を新たに利用する場合や就労移行支援を利用する場合は、本人の希望に応じて就労選択支援を使えますが、必須ではありません。留意事項通知にも、当面の間はA型の利用にあたって就労選択支援の利用は必須ではないと明記されています。
厚生労働省は、令和9年4月以降は新たにA型を利用する場合と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合についても就労選択支援によるアセスメントが行われている者を対象とする予定で、取扱いは改めて示すとしています。A型や就労移行支援を運営している事業者は、この時期に利用申込みの入口が変わる前提で準備しておく必要があります。
B型の新規利用の申込みを受けたときは、まず本人が就労選択支援を経ているかどうかを確かめておくと、その後の案内が変わります。経ていない場合は、50歳到達・障害基礎年金1級・就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難といった、就労選択支援を経ずに利用できる要件に当てはまるかどうかを見ることになります。
いずれにも当てはまらない場合は、就労選択支援を先に利用してもらうのが原則です。近隣に就労選択支援事業所がない、または待機期間が生じるために従来の就労アセスメントで進めたいときは、その扱いを認めるかどうかを判断するのは支給決定を行う市町村なので、申込みの段階で市町村に確認しておくと手戻りが減ります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
経営判断として見たときの3つの違い
自事業所で就労選択支援の指定を取るかどうかを考えるなら、就労移行支援との違いは収支構造の違いとして読むことになります。就労選択支援は1人あたり原則1か月で終わる日額報酬なので、利用者の回転が前提です。就労移行支援のように2年かけて関係を作るサービスとは、必要な人員配置も営業の仕方も変わります。
一方で、これまでB型の利用者確保のために就労アセスメントを引き受けてきた就労移行支援事業所にとっては、その役割の受け皿が就労選択支援へ移ったことになります。指定を取らなければ、地域でB型につながる入口から外れる可能性があります。制度の全体像は就労選択支援とはにまとめました。
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
