現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

就労選択支援の流れと利用期間
B型・就労移行支援が
受け入れ側で備えること

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

就労選択支援の支給決定期間は原則1か月です。厚生労働省の実施マニュアルは、1週目から4週目にかけて本人への情報提供、作業場面等を活用した状況把握、多機関連携によるケース会議、アセスメントシートの作成、事業者等との連絡調整を進める「標準1か月イメージ」を示しています(2025年10月1日施行、令和7年9月30日改正通知時点)。

受け入れ側から見ると、新たに就労継続支援B型を利用する人については、従来の暫定支給決定によるアセスメントに代えて、この1か月と、その前後に2回発生する支給決定手続きが挟まります。問い合わせから利用開始までの所要期間は市町村の支給決定事務によって変わるため、管内市町村への確認が必要です。

支給決定期間
原則1か月(例外事由に該当する場合のみ一度だけ再度1か月、または当初から2か月)
1か月の利用日数上限
各月の暦日数から8日を控除した日数
B型を新たに利用する場合
2025年10月から、原則としてあらかじめ就労選択支援を利用する
アセスメント結果の有効期間
原則1年以内に実施されたものを活用する
受け入れ側の制約
利用中のサービスと同一法人が運営する就労選択支援は原則利用できない
制度基準日2025.10.01
根拠:厚生労働省「就労選択支援の実施について」(令和7年9月30日 障障発0930第3号による一部改正)
目次

相談から利用開始までに、1か月分の工程が増えた

就労選択支援は、障害者総合支援法の改正に伴う新しい障害福祉サービスとして、2025年(令和7年)10月1日から実施されています。就労移行支援または就労継続支援を利用する意向がある人と、現に利用している人が対象です。

受け入れ側にとって影響が大きいのは、就労継続支援B型の利用対象者の書き換えです。2025年10月から、B型は従来の就労アセスメントに代わり「就労選択支援事業所によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者」が対象になりました。つまり新たにB型を利用する意向がある人は、あらかじめ就労選択支援を利用することになります。

ただし全員ではありません。50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などは、就労選択支援を経ずにB型を利用できます。また、最も近い就労選択支援事業所であっても通所が困難であるなど近隣に事業所がない場合や、利用可能な事業所数が少なく待機期間が生じる場合は、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用が認められています。

なお、就労継続支援A型を新たに利用する場合と、標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合についても、令和9年4月以降は就労選択支援事業所によるアセスメントを受けた人を対象とする予定とされています。取扱いは改めて示されることになっているため、現時点で確定しているのはB型の部分だけです。

相談から利用開始までの流れ

厚生労働省の実施マニュアルと通知から、時系列を並べると次のようになります。段階ごとの手続きの細部は市町村によって異なります。

段階主な主体受け入れ側の事業所で発生すること
1. 働くことについての相談本人/市町村・相談支援事業所・学校・就労支援機関この時点で見学や問い合わせが入ることがある。利用するサービスはまだ決まっていない
2. 就労選択支援の申請とサービス等利用計画案の作成本人/指定特定相談支援事業所特になし
3. 就労選択支援の支給決定市町村原則1か月の支給決定が行われる
4. 利用契約とサービス担当者会議就労選択支援事業所/指定特定相談支援事業所現に利用中の事業所は関係機関として会議に呼ばれることがある
5. 本人への情報提供、作業場面等を活用した状況把握就労選択支援事業所他の就労系サービス事業所の作業場面での観察も想定されている
6. 多機関連携によるケース会議就労選択支援事業所が招集関係機関として参集を依頼されることがある。指定特定相談支援事業者は原則参加
7. アセスメントシートの作成と本人へのフィードバック就労選択支援事業所/本人特になし
8. 事業者等との連絡調整就労選択支援事業所面談・見学・実習の依頼がこの段階で入る
9. 就労系サービスの申請と計画案の作成本人/指定特定相談支援事業所特になし
10. 支給決定と利用開始市町村/受け入れ事業所利用契約、個別支援計画の作成へ

ケース会議は利用状況に合わせて随時開催されるもので、利用初期にスケジュールを共有し、中期にアセスメント結果を共有し、後期に進路の方向性を共有するといった開催例が示されています。1回しか開かれないわけではありません。

期間は原則1か月、延長は例外に限られる

支給決定期間は原則1か月です。通知は延長を原則想定していないと明記したうえで、1か月の支給決定を行い、支援開始後に次の例外事由に該当することが明らかになった場合に限り、一度だけ再度1か月の支給決定を行って差し支えないとしています。

  • 進路に関する自己理解に大きな課題があり、改善に向けて1か月以上の時間をかけた継続的な作業体験を行う必要がある場合
  • 集中力や体力の持続、体調や精神面の安定等に課題があり、進路を確定するに当たって1か月以上の時間をかけた観察が必要な場合

当初から例外事由に該当することが明らかな場合に限り、最初から2か月の支給決定を行うこともできますが、その場合は延長できません。1か月あたりの利用日数の上限は、就労移行支援等と同じく各月の暦日数から8日を控除した日数です。

アセスメントそのものに実施日数の定めはありません。実施マニュアルは1週目から2週目に面談と作業観察を置く「標準1か月イメージ」を示しており、新潟市の集団指導資料は約2週間程度が想定されているものの規定日数はなく5日間程度でも構わないと説明しています。

気をつけたいのは、この1か月が「相談から利用開始まで」の全体ではないことです。前後に就労選択支援の支給決定と就労系サービスの支給決定という2回の手続きが入るため、実際のリードタイムはそれより長くなります。所要期間は市町村の支給決定事務の運び方によって差が出るので、管内市町村に確認しておくのが確実です。

就労選択支援は、働くことについての相談から利用開始まで10の段階を踏む。原則1か月とされる支給決定期間がかかるのは、このうち段階4の利用契約とサービス担当者会議から段階8の事業者等との連絡調整までであり、相談から利用開始までの全体ではない。その前後にあたる段階3の就労選択支援の支給決定と段階10の支給決定と利用開始で、市町村の支給決定手続きが2回入る。期間は例外事由に該当する場合のみ一度だけ再度1か月の支給決定を行い、当初から明らかな場合は2か月で延長はできない。相談から利用開始までのリードタイムは、市町村の支給決定事務により変動する。
図1相談から利用開始までの10段階と、原則1か月がかかる範囲厚生労働省「就労選択支援の実施について」および就労選択支援実施マニュアルをもとに作成

受け入れ側が先に知っておくべき制度上の制約

まず、自法人で就労選択支援を立ち上げても、自法人のB型へ利用者を送り込む装置にはなりません。通知は、就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が受給者証の更新や事業所の変更を検討して就労選択支援を利用する場合、そのサービスを提供している事業所と同一法人が運営する就労選択支援は利用できないとしています。近隣に別法人の就労選択支援事業所も就労移行支援事業所もない場合に限って例外が認められます。

加えて特定事業所集中減算があります。就労選択支援事業所は年度に2回、判定期間中にアセスメントを終了した利用者について、就労移行支援・A型・B型それぞれの移行先を集計し、移行率が最も高い法人の割合が80%を超えた場合に減算が適用されます。判定期間が前期(1月1日から6月末日)なら適用期間は10月1日から3月31日まで、後期(7月1日から12月末日)なら4月1日から9月30日までです。

そして、就労選択支援事業所は振り分けを行いません。通知は、就労選択支援事業者が本人の就労の可否や利用すべきサービス、利用する事業所を判断・決定するものではないとしたうえで、アセスメントシートに想定される事業所名を記載する場合も、今後の支給決定に向けた参考情報に過ぎず、あっせんを行うものではないと念を押しています。選ぶのは本人です。

一方で、制度は情報が本人に届く経路を用意しています。指定基準は就労選択支援事業所に対して、利用者に就労に必要な知識や能力の向上に資する事業所等を適切に情報提供できるよう、協議会への定期的な参加等により日頃から地域の社会資源に関する情報収集に努めることを求めています。通知では、概ね1年に1回以上協議会に参加して運営状況を報告し、要望や助言を聞く機会を設けるといった取組が例示されています。受け入れ側が協議会の就労支援部会に出ていくことは、制度に沿った接点の持ち方だと言えます。

既存の利用者についても役割が示されています。通知は、他の就労系障害福祉サービス事業者に対して、計画相談支援を行う者と連携し、支給決定の更新時など定期的に就労選択支援に関する情報提供を行い、その利用を促すよう求めています。B型を運営する側にも動きが求められている部分です。

定員計画と見学対応で見込んでおきたいこと

ここから先は制度の条文から直接導けるものではないので、備え方の候補として挙げます。

見学の位置づけは変わる可能性があります。通知は、就労選択支援を利用した人がアセスメント結果を踏まえ、面談、見学、実習その他の支援によって進路選択を支援することを「事業者等との連絡調整」の内容としています。従来の「本人や家族が直接見学に来て、そのまま申請へ」という流れに加えて、就労選択支援事業所や相談支援専門員を経由した見学・実習の依頼が入る場面が増えることが見込まれます。窓口を電話とフォームだけに絞らず、支援機関からの依頼にも答えられる形にしておく備え方が考えられます。

空き情報の伝え方も同じです。就労選択支援事業所は地域の社会資源の情報収集に努めることとされているので、定員の空き状況、受け入れ可能な時期、作業の種類や通所日数の柔軟性といった項目を、協議会の場や問い合わせで即答できる形に整理しておくことが考えられます。

定員計画については、新規のB型利用者に就労選択支援の1か月と前後の支給決定手続きが挟まる分、問い合わせから利用開始までの期間が従来より延びる前提で見ておく必要があります。具体的に何日延びるかは市町村の事務の運び方次第なので、まずは管内市町村と、日頃つながりのある相談支援事業所に実際の所要日数を確認するところから始めるのが現実的です。

実務ではこう組めます

就労選択支援を経由して来る問い合わせでは、相談支援専門員との連絡の際に次の項目を確認しておくと、受け入れの段取りが組みやすくなります。就労選択支援の支給決定期間の開始日と終了予定日、多機関連携によるケース会議に呼ばれるかどうかと日程、アセスメントシートを共有してもらえるかどうかと時期、見学や実習の希望時期の4点です。

見学の受付から利用開始までの間には、就労系サービスの申請、サービス等利用計画案の作成、市町村の支給決定が順に入ります。見学の場で利用開始日を約束できる段階ではないことを、本人と家族に先に伝えておく必要があります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

制度の全体像は就労選択支援とは、対象になる人の範囲は就労選択支援の対象者、運用上の課題は就労選択支援のデメリットと課題で整理しています。

よくある質問

Q. 就労選択支援の利用期間はどれくらいですか?
A. 支給決定期間は原則1か月です。延長は原則想定されておらず、1か月の支給決定を行った後、支援開始後に進路に関する自己理解に大きな課題があるなどの例外事由に該当することが明らかになった場合に限り、一度だけ再度1か月の支給決定を行うことができます。当初から例外事由に該当することが明らかな場合は2か月の支給決定も可能ですが、その場合は延長できません。
Q. 新たに就労継続支援B型を使う人は、必ず就労選択支援を経る必要がありますか?
A. 原則として必要ですが、対象外となる人と例外の取扱いがあります。2025年10月から、新たにB型を利用する意向がある場合はあらかじめ就労選択支援を利用することとされていますが、50歳に達している人、障害基礎年金1級の受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった人などは対象外です。また、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で近隣に事業所がない場合と、利用可能な事業所数が少なく就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合は、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用が認められます。
Q. 自法人で就労選択支援を運営すれば、自法人のB型につなげられますか?
A. いいえ、つなげる仕組みにはなりません。就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が受給者証の更新や事業所の変更を検討して就労選択支援を利用する場合、そのサービスを提供している事業所と同一法人が運営する就労選択支援は原則として利用できないとされています。さらに特定事業所集中減算があり、判定期間にアセスメントを終了した利用者のうち、移行率が最も高い法人へ移った割合が80%を超えた場合は減算が適用されます。
Q. 就労選択支援のアセスメントは何日くらい行うのですか?
A. 実施日数の規定はありません。厚生労働省の実施マニュアルは1週目から2週目に面談と作業観察を配置した「標準1か月イメージ」を示していますが、日数の定めはなく、新潟市の集団指導資料は「厚生労働省は約2週間程度の期間と想定しているが、規定日数はなく、5日間程度の短期間実施でも構わない」と説明しています。1か月あたりの利用日数の上限は、各月の暦日数から8日を控除した日数です。
Q. すでにB型を利用している人にも就労選択支援は関係しますか?
A. 関係します。現に就労移行支援または就労継続支援を利用している人も就労選択支援の対象で、本人の希望に応じて利用できます。厚生労働省の通知は、他の就労系障害福祉サービス事業者に対して、計画相談支援を行う者と連携し、支給決定の更新時など定期的に就労選択支援に関する情報提供を行い、その利用を促すよう求めています。
Q. 就労選択支援事業所が利用先の事業所を決めるのですか?
A. いいえ、決めません。厚生労働省の通知は、就労選択支援事業者が本人の就労の可否や利用すべき就労系障害福祉サービス、利用する事業所等を判断・決定するものではないとしています。アセスメントシートに想定される事業所名を記載する場合もありますが、今後の支給決定に向けた参考情報に過ぎず、利用サービス等のあっせんを行うものではないとされています。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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