中小企業省力化投資補助金は
障害福祉事業所で使えるか
一般型とカタログ注文型の違い
中小企業省力化投資補助金には一般型とカタログ注文型があり、上限額も補助率も別に定められています。2026年8月23日時点で、一般型の第8回は公募開始が2026年8月18日、申請受付開始が2026年9月中旬の予定、締切が2026年10月中旬の予定です。カタログ注文型は公募回を設けず随時受付です。障害福祉の事業所が使えるかどうかは、業種ではなく法人格で決まります。株式会社は中小企業者の規模要件を満たせば対象、社会福祉法人は所轄庁の認可・従業員300人以下・収益事業の範囲内という3要件を満たせば対象です。一般社団法人と財団法人は公募要領に名指しで対象外と書かれています。
補助率と上限額は従業員数で変わります。一般型の補助率は中小企業が1/2、小規模企業者・小規模事業者が2/3です。社会福祉法人とNPO法人は、従業員20人以下の場合に限り2/3が適用されます。一般型の補助上限額は1事業者あたり従業員5人以下で750万円、6〜20人で1,500万円です。B型の利用者は事業所と雇用契約を結ばないため、従業員数や事業場内最低賃金といった賃上げ要件の計算には入らないと解されます。ただし公募要領に就労継続支援A型・B型という語は一度も出てこないため、これは組み合わせから導いた結論です。
- 一般型の補助上限額(令和8年度・第8回)
- 1事業者あたり従業員5人以下750万円/6〜20人1,500万円/21〜50人3,000万円/51〜100人5,000万円/101人以上8,000万円。大幅賃上げ特例の適用時はそれぞれ1,000万円・2,000万円・4,000万円・6,500万円・1億円
- 一般型の補助率
- 中小企業は1/2、小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3。社会福祉法人・NPO法人・歯科医業を営む医療法人は従業員20人以下の場合に限り2/3
- カタログ注文型の補助上限額(令和8年度)
- 1事業者あたり従業員5人以下500万円/6〜20人以下750万円/21人以上1,000万円。補助率は1/2以下で、補助額が25万円未満になる申請はできない(借用の場合を除く)
- 第8回のスケジュール(2026年8月23日時点)
- 公募開始日2026年8月18日/申請受付開始日2026年9月中旬(予定)/公募締切日2026年10月中旬(予定)/採択発表日2027年2月上旬(予定)
- 対象外になる法人格
- 公益・一般を問わず社団法人・財団法人と法人格のない任意団体は補助対象外。医療法人は一般型では歯科医業を営む法人だけが対象
- 事前着手の禁止
- 交付決定前に発生した経費・契約はいかなる理由でも補助対象外(一般型・カタログ注文型とも共通)
目次
一般型とカタログ注文型は別の制度
省力化投資補助金には一般型とカタログ注文型の2種類があり、上限額も補助率も別に定められています。
正式な事業名は「中小企業省力化投資補助事業」です。実施主体は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)です。名前が同じなので1つの制度に見えますが、一般型とカタログ注文型は別制度として動いています。公募要領も別々に出ています。
目的は共通しています。人手不足に悩む中小企業等が、IoT・ロボット等のデジタル技術を活用した専用設備を導入する費用を補助する制度です。省力化投資を促し、付加価値額や生産性の向上、賃上げにつなげることが目的とされています。
違いは次のとおりです。
| 項目(令和8年度) | 一般型 | カタログ注文型 |
|---|---|---|
| 受付の方式 | 公募回制。第8回の締切は2026年10月中旬(予定) | 随時受付。公募回・締切日の設定なし |
| 補助上限額(従業員5人以下) | 1事業者あたり750万円 | 1事業者あたり500万円 |
| 補助率 | 1/2または2/3(規模による) | 1/2以下 |
| 対象経費 | 機械装置・システム構築費が必須。運搬費・外注費なども対象 | カタログ登録済みの省力化製品1つと、その導入費 |
| 事業の実施期間 | 交付決定日から17か月以内 | 交付決定日から原則12か月以内 |
申請はどちらも電子申請システム(jGrants)だけで受け付けます。紙の申請はできません。GビズIDプライムアカウントの取得が前提になります。申請者本人が入力することも必須で、代理入力が発覚すると不採択や取消の対象になります。
もう1つの共通点は事前着手の禁止です。交付決定前の発注は対象外になります。一般型の公募要領は「いかなる理由であっても事前着手は認められません」と書いています。
一般型の上限額と補助率
一般型の補助上限額は、1事業者あたり従業員5人以下で750万円、101人以上で8,000万円です。
上限額は従業員数の区分で5段階に分かれます。いずれも1事業者あたりの上限額で、設備1台ごとの上限ではありません。
| 従業員数(令和8年度・第8回) | 補助上限額(1事業者あたり) | 大幅賃上げ特例の適用時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
右の列は、大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例を使ったときの額です。この特例は、1人当たり給与支給総額を年平均成長率3.5%以上に加えてさらに増やし、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にすることが条件です。未達の場合は、引き上げ分の返還を求められます。最低賃金引き上げ特例と併用したときの上限額は、公募要領からは読み取れません。
補助率は法人の規模で変わります。中小企業は1/2です。小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3です。社会福祉法人・NPO法人・歯科医業を営む医療法人は、従業員20人以下なら2/3が適用されます。交付決定後に20人を超えた場合は、2/3から1/2への計画変更になります。
最低賃金引き上げに係る補助率引き上げの特例を使うと、中小企業の補助率も2/3になります。ただし小規模企業者・小規模事業者と再生事業者、常勤従業員がいない場合は適用できません。
対象経費は7種類です。中心になるのは機械装置・システム構築費で、この経費の計上は必須です。単価50万円(税抜)以上という条件も付きます。
- 機械装置・システム構築費(必須。単価50万円税抜以上)
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費(1日あたり5万円が上限)
- クラウドサービス利用費
機械装置・システム構築費以外の経費は、合計500万円(税抜)が補助の上限です。事業の実施期間は交付決定日から17か月以内で、採択発表日からは19か月以内になります。事業計画の期間は、補助事業が完了した年度の翌年度を1年目として3〜5年です。
カタログ注文型の対象と上限額
カタログ注文型は登録済みの省力化製品を1つ選ぶ形式で、上限額は1事業者あたり500万円から1,000万円です。
| 従業員数(令和8年度) | 補助上限額(1事業者あたり) | 大幅な賃上げの達成時 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 500万円 | 750万円 |
| 6〜20人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
補助率は1/2以下です。製品ごとに補助上限額が決められていて、購入価格がその2倍を上回ると補助率は1/2より下がります。補助額が25万円未満になる申請はできません(借用の場合を除く)。
対象になる経費は2つだけです。1つは製品本体の価格で、単価50万円(税抜)以上、事前に登録された補助上限額までが対象です。もう1つは導入に要する費用で、設置作業・運搬費・動作確認・マスタ設定などが入ります。こちらは製品本体価格の2割が上限です。導入費だけの申請はできません。複数の製品を同時に申請することもできません。
補助の対象になるのはカタログに登録された製品だけです。製品カテゴリ一覧(令和8年8月6日時点版)で「対象業種」の欄に介護業と書かれているのは、次の4カテゴリです。
- 清掃ロボット
- 配膳ロボット
- 飲料ディスペンサー、とろみ調整・給茶機
- 再加熱キャビネット、カート
ここは読み方に注意が要ります。この「介護業」が介護保険法に基づく事業者を指すのか、障害福祉サービス業まで含む広い意味なのかは、製品カテゴリ一覧にも公募要領にも定義が書かれていません。障害福祉の事業所が当然に含まれるとは読めないため、導入を検討するなら中小機構への個別確認が先になります。
受付は随時です。公募回も締切日もなく、2024年6月25日から随時受付が続いています。採択・交付決定までは申請からおおむね1〜2か月です。補助事業の実施期間は交付決定日から原則12か月以内になります。
設備投資の補助金 比較表(障害福祉版)
省力化投資補助金を含む5つの設備投資の補助金について、上限額・補助率・法人格ごとの対象可否・締切を横並びにしています。
資料を見る →社会福祉法人・NPO法人・株式会社で変わる対象可否
省力化投資補助金の対象は業種ではなく法人格で決まり、社団法人と財団法人は名指しで除かれています。
| 法人格 | 一般型・カタログ注文型の対象可否(令和8年度) |
|---|---|
| 株式会社・合同会社 | 中小企業者の規模要件を満たせば対象 |
| 社会福祉法人 | 3つの要件をすべて満たせば対象 |
| NPO法人 | 5つの要件をすべて満たせば対象 |
| 一般社団・公益社団・一般財団・公益財団 | 対象外(公募要領に明記) |
| 医療法人 | 一般型は歯科医業を営む法人のみ対象 |
| 法人格のない任意団体 | 対象外(公募要領に明記) |
株式会社・合同会社は、中小企業等経営強化法第2条第1項の資本金または常勤従業員数の基準を満たせば対象です。サービス業なら、資本金5,000万円以下または常勤従業員100人以下が基準になります。
社会福祉法人が満たすべき3つの要件は次のとおりです。
- 社会福祉法第32条の所轄庁の認可を受けて設立されていること
- 従業員数が300人以下であること
- 収益事業の範囲内で補助事業を行うこと
NPO法人は条件が5つに増えます。
- 広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う法人であること
- 従業員数が300人以下であること
- 法人税法上の収益事業を行っていること
- 認定特定非営利活動法人でないこと
- 交付申請時までに経営力向上計画の認定を受けていること
障害福祉サービスの提供を主な目的とするNPO法人が、1つ目の要件を満たすかどうかは公募要領に判断基準がありません。個別に確認することになります。
一般社団法人と財団法人は対象外です。公益・一般を問わず、社団法人・財団法人・法人格のない任意団体は補助対象にならないと公募要領に明記されています。障害福祉サービスを一般社団法人で運営している場合、一般型もカタログ注文型も使えません。
医療法人は一般型では歯科医業を営む法人だけが対象です。診療所を併設して生活介護などを運営する医療法人は、一般型の補助対象者のどれにも当たりません。カタログ注文型には「介護事業を営む法人」という別の区分があります。ただしこの区分は、介護保険法に基づくサービスの範囲内で補助事業を行うことが条件です。障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスがこの区分に含まれるかどうかは、公募要領に書かれていません。
賃上げ要件とB型の利用者の扱い
一般型は労働生産性と給与の伸びを3〜5年の計画で約束する制度で、B型の利用者はその計算に入らないと解されます。
一般型の基本要件は4つで、すべてを満たす事業計画が必要です。
- 労働生産性の年平均成長率を4.0%以上増加させること
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること
- 事業場内最低賃金を、事業を実施する都道府県の地域別最低賃金+30円以上の水準に維持すること
- 従業員数21人以上の場合は、一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表すること
最低賃金引き上げ特例を使う事業者は、このうち1つ目・2つ目・4つ目の3つになります。
カタログ注文型の基本要件は1つです。補助事業の終了後3年間、毎年、申請時と比べて労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる計画を作ることです。上限額の引き上げを希望する場合は要件が増えます。事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6%以上引き上げる計画にします。どちらも補助事業実施期間の終了時点で達成する見込みであることが必要です。申請時に従業員へ賃上げ計画を表明することも求められます。
問題は、この「従業員」と「事業場内最低賃金」にB型の利用者が入るかどうかです。公募要領には、就労継続支援A型・B型という語が一度も出てきません。判定は2つの事実を組み合わせることになります。
1つ目は、補助対象者の判定で使う「常時使用する従業員」の意味です。これは中小企業基本法の定義にならい、あらかじめ解雇の予告を必要とする者を指します。2つ目は、B型の利用者が事業所と雇用契約を結ばないことです。B型は雇用契約を結ばない通所の就労・生産活動支援で、利用者は工賃を受け取ります。
この2つを合わせると、利用者は従業員数に入らないという結論になります。事業場内最低賃金や給与支給総額の計算にも入らないことになります。ただしこれは組み合わせから導いた結論で、公募要領が明記しているわけではありません。
A型の利用者は判断が逆になります。雇用契約を結ぶ労働者なので、常勤で相応の雇用形態であれば従業員に含まれ得ます。有期雇用の期間や勤務日数によって変わるため、断定はできません。
| 対象 | 従業員数・賃上げ要件の計算 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| B型の利用者 | 入らないと解される | 公募要領に明記なし。「常時使用する従業員」の定義と、雇用契約を結ばない利用契約であることを合わせた帰結 |
| A型の利用者 | 入りうる | 雇用契約を結ぶ労働者。ただし雇用形態によって変わり、公募要領にA型の明記もない |
| 事業所の職員 | 入る | 通常の雇用契約。日雇い、2か月以内の有期、季節的な4か月以内の有期、試用期間中の者は除かれる |
応募の時点で従業員が0名の場合、または対象となる給与の支給を受ける従業員が0名の場合は応募できません。カタログ注文型でも、2回目以降の交付申請で常勤従業員がいないと、最低賃金の賃上げ要件を満たせないため申請できません。
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型事業所の収支構造を分解する 生産活動収入と職員人件費の位置づけ
第8回のスケジュールと申請の準備
第8回は2026年8月18日に公募が始まり、申請受付の開始は9月中旬、締切は10月中旬の予定です。
| 第8回の日程(2026年8月23日時点) | 日付 |
|---|---|
| 公募開始日 | 2026年8月18日 |
| 申請受付開始日 | 2026年9月中旬(予定) |
| 公募締切日 | 2026年10月中旬(予定) |
| 採択発表日 | 2027年2月上旬(予定) |
取り違えやすいのは最初の2行です。公募開始日は申請できる日ではないという点に注意が要ります。第8回の公募要領はすでに公表されていて、発行表記は2026年8月です。電子申請を出せるようになるのは2026年9月中旬の予定で、そこから締切までは1か月ほどしかありません。事業計画は公募開始から締切までの期間で作ることになります。
準備で先に済ませるのはGビズIDプライムアカウントの取得です。アカウントがないと電子申請そのものができません。認定経営革新等支援機関の利用は必須ではなく、事業計画の策定に専門的な支援が必要なときの相談先として案内されているだけです。利用した場合は、支援者名と報酬額を申請時に記載します。なお、省力化投資補助金の申請支援には資格の制限がありません。社会保険労務士にしか代行できない雇用関係の助成金とは、ここが違います。
システムメンテナンスの予定も公表されています。2026年9月17日の10時から18時頃まで、申請マイページが対象です。
他の国の補助金と補助対象経費が重複する事業は対象外です。複数の類似補助金で交付決定を重ねて受けたことが分かった場合、交付決定日が遅いほうが取り消されます。生産活動の設備で候補に挙がるものづくり補助金は、23次締切(2026年5月8日)が最新の掲載回で、24次の日程は公表されていません。
厨房設備や加工機、梱包機を一般型で申請するなら、機械の話より先に、いまの作業を時間で書き出す順番になります。
一般型が求めているのは、労働生産性を年平均4.0%以上伸ばす3〜5年の計画です。設備そのものではなく、設備を入れた後に人の時間がどう動くかを説明することになります。
B型の場合、その説明の主語は職員になります。利用者は従業員数に入らないと解されるためです。下ごしらえや梱包の準備に職員の何時間が取られているかを工程ごとに測り、機械に置き換わる時間を出します。
そのうえで、空いた時間の行き先を書きます。受注の拡大に回すのか、支援の時間に戻すのかで、計画に載せる数字が変わります。
設備の見積もりを取るのは、この順番の最後です。交付決定より前の発注は理由を問わず対象外なので、見積もりの段階で止めておくことになります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
関連する記事を挙げます。
- B型事業所の作業種目 生産活動の中身と必要な設備の関係
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
