就労継続支援B型の仕事内容は
どう選ぶかで工賃も
利用者の集まりも変わる
就労継続支援B型の仕事内容は、法令で種目が限定されているわけではありません。ただし厚生労働省は令和7年11月28日付けの障障発1128第1号で、公費による就労支援の生産活動として適さない可能性がある活動を具体的に例示し、指定権者に6つの観点で内容を確認するよう求めています。2026年8月16日時点の情報です。
種目の選定が経営判断になるのは、工賃の原資が生産活動の収入に限られているからです。指定基準省令第201条第1項は、生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うと定めており、第202条で準用する第192条第6項は、その支払いに要する額を原則として自立支援給付をもって充ててはならないとしています。売れない作業を選べば、そのまま工賃が出せません。
前年度の平均工賃月額は令和8年6月1日以降の基本報酬区分を決める要素でもあるため、種目の選択は翌年度の報酬にも効きます。一方で、どの種目の工賃が高いかを示す国の公表データは存在しません。令和6年度の工賃実績で公表されているのは全国・都道府県別の平均工賃月額までで、種目別の内訳はありません。
- 生産活動の適切性を見る6つの観点(令和7年11月28日 障障発1128第1号)
- 具体的な生産活動の場面があるか/当該生産活動により一般就労に必要な能力向上が見込まれるか/それにより安定した生産活動収入を得ることができるか/地域の中に当該生産活動により習得した能力が活かされる労働市場や求人があるか/生産活動の収益が適当か/業務委託費が妥当か
- 適さない可能性があると例示された活動
- eスポーツ、植物の水やりを1日数回行うだけの活動、卓球教室や麻雀教室での手伝いに相当するような活動、所定の場所に居ればよいというような活動
- 工賃の原資
- 生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額。支払いに要する額は原則として自立支援給付をもって充ててはならない(指定基準省令第201条第1項、第202条で準用する第192条第6項)
- 工賃の下限
- 利用者それぞれに支払われる1月当たりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならない(同第201条第2項)
- 取引先についての確認事項
- 複数の生産活動、取引先を確保しているか。単一の取引先の場合は十分な量の生産活動を確保しているか
- 令和6年度の全国平均工賃月額(B型)
- 24,141円/月(集計18,245か所。令和8年3月修正版。種目別の内訳は公表されていない)
目次
仕事内容の議論は、工賃をどこから出すかから始まる
B型の仕事内容を「利用者に何をしてもらうか」から考えると、経営判断としては順序が逆になります。先に決まっているのは、工賃の出どころのほうです。
指定基準省令第201条第1項は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うと定めています。第202条が準用する第192条第6項は、その支払いに要する額を原則として自立支援給付をもって充ててはならないとしています。給付費で工賃を埋める運営はできない、という前提です。そのうえで第201条第2項が、利用者それぞれに支払われる1月当たりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならないと定めています。この基準を満たさない事業所に対しては、留意事項通知(障障発0331第2号)が重点的な指導監査の実施を指定権者に求めています。
厚生労働省は令和7年11月28日の通知の鑑文で、B型について「自立支援給付費から利用者への工賃を補填するなど、不適切な運営を行っている事業所があると指摘されている」と明記しました。仕事内容の選び方は、この指摘の当否がそのまま問われる場所です。
国が示した6つの観点と、名指しされた活動
同じ通知の別紙は、指定権者が新規指定の審査で生産活動の適切性を確認する観点を具体的に列挙しています。既存事業所についても、運営指導で公費による就労支援の生産活動として適切な内容になっているかが確認されるため、種目を追加するときの自己点検にそのまま使えます。
| 確認の観点 | 何を見ているか |
|---|---|
| 具体的な生産活動の場面があるか | 作業として成立しているか |
| 一般就労に必要な能力向上が見込まれるか | 訓練としての中身 |
| それにより安定した生産活動収入を得ることができるか | 工賃の原資 |
| 地域の中に習得した能力が活かされる労働市場や求人があるか | 出口との接続 |
| 生産活動の収益が適当か(収入が支出と合っているか) | 採算 |
| 業務委託費が妥当か(取引価格や単価が過大又は過小に設定されていないか) | 単価の妥当性 |
そのうえで、公費による就労支援の生産活動として適さない可能性がある活動として、eスポーツ、植物の水やりを1日数回行うだけの活動、卓球教室や麻雀教室での手伝いに相当するような活動、所定の場所に居ればよいというような活動が例示されました。共通しているのは、収入が立たないことと、地域の求人につながらないことです。
実際に選ばれている種目は、清掃と軽作業に寄っている
令和6年度障害者総合福祉推進事業の調査で、B型事業所に「収入(売上高)上位3つ」を尋ねた結果が公表されています。配布17,295件に対し回収5,243件(回収率30.3%)で、延べ13,398件の回答です。上位は次のとおりでした。
| 生産活動の種類 | 件数(上位3つの合計) |
|---|---|
| 清掃(公園、公共施設、企業、集合住宅等) | 1,358 |
| 袋詰め | 1,119 |
| 雑貨類(陶芸、和紙、木工、織物、藍染、革製品、ビーズ、縫製等) | 946 |
| 組立 | 879 |
| 箱折 | 586 |
| 洋菓子系(焼き菓子、チョコ等) | 569 |
| 農業(野菜・果物) | 563 |
| ラベル・シール貼り | 542 |
| 部品加工 | 495 |
| リサイクル | 419 |
施設外就労を行っている事業所は1,954件(37.8%)で、その内訳は清掃が1,183件と突出し、農作業手伝い267件、植栽管理・環境整備176件が続きます。清掃が多いのは、設備投資が小さく、施設外就労として組み立てやすいためだと読めます。ただしこれは選ばれている数であって、儲かっている数ではありません。国が公表している工賃実績には種目別の内訳がなく、種目名から収益性を判断できる公的データは確認できませんでした。
受注型と自主製品型で、抱えるリスクの種類が変わる
清掃や組立のように取引先から仕事を受ける形は、販路を持たなくてよい代わりに、単価と受注量の決定権が相手側にあります。だからこそガイドラインは、収支予算書の審査事項として「複数の生産活動、取引先を確保しているか」「単一の取引先の場合は、十分な量の生産活動を確保しているか」を挙げています。取引先が関係会社等の場合に取引価格の妥当性を確認する記述もあり、身内からの受注で売上を作る構図は真っ先に疑われます。
菓子や雑貨のような自主製品型は、単価を自分で決められる代わりに、販路と在庫のリスクを事業所が丸ごと抱えます。需要側の公的な仕組みとして働くのが、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)です。同法第9条は都道府県・市町村・地方独立行政法人に、毎年度の調達方針の作成と公表、年度終了後の調達実績の概要の公表を求めています。自治体が公表している調達方針は、自事業所の製品や役務が入る余地を確認できる一次情報です。
利用者の適性を、減算と加算の境目で見直す
種目は工賃だけでなく、誰が通えるかも決めます。1日4時間以上の作業を前提に組み立てた種目は、体力や体調の面でそこまで通えない人を最初から外すことになります。この線引きは報酬にも直結していて、利用時間が4時間未満の利用者等の割合が利用者全体の100分の50以上になると、短時間利用減算で所定単位数が70/100になります。送迎のみを実施する時間はこの利用時間に含まれません。
逆に、重い障害のある利用者を受け入れる方向で工程を設計する道もあります。障害基礎年金1級受給者が利用者の100分の50以上で重度者支援体制加算(Ⅰ)を算定している場合、報酬算定に使う平均工賃月額に2,000円(1月あたり)を加えた額を用いることができます。どの層に来てほしいかという利用者像の設計と、どの作業を置くかは同じ判断です。
効いてくるのは翌年度からになる
種目を入れ替えて工賃が上がっても、報酬にはすぐ反映されません。基本報酬の区分は前年度の平均工賃月額で決まり、その算定式は「年間工賃支払総額 ÷(年間延べ利用者数 ÷ 年間開所日数)÷ 12月」です。分母が開所日1日当たりの平均利用者数なので、稼働率が低いまま工賃総額だけ増やしても数字は伸びますが、稼働率が上がると同じ工賃総額では区分が下がる関係にあります。区分の届出は原則として毎年度4月で、令和8年度は改めて6月にも届出を行います。この構造はB型の収支構造と合わせて見ないと判断を誤ります。
新しい種目を入れる前に確認する順番は、通知と様式から逆算できます。まず作業1件あたりの受注単価と職員が張り付く時間から、支援者人時売上(支援者が1人で1時間作業したとして得られる金額)を出し、次に生産活動収支を工賃総額で割った賃金・工賃カバー率を試算する順番です。生産活動シートの解説資料は、この比率が100%以上なら良好、80%未満はかなり足りない、という目安を示しています。100%を割る種目は、続ければ給付費からの補填に近づきます。そのうえで、施設外就労として行うなら運営規程への位置づけと個別支援計画への事前の位置付け、職員の同行、実施時の事業所内人員配置、緊急時対応まで先に固めておく必要があります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
工賃は都道府県でかなり違います。全国の就労継続支援B型の平均工賃月額は24,141円ですが、いちばん高い徳島県は30,231円、いちばん低い山形県は19,621円です(厚生労働省 令和6年度工賃実績)。
47都道府県のデータを見る →よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
