デジタル化・AI導入補助金2026で
障害福祉の記録・請求ソフトは
入れられるか
2026年8月23日時点で「IT導入補助金2026」という名称の制度はありません。正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業で、通称はデジタル化・AI導入補助金2026です。障害福祉の記録・請求ソフトは、通常枠の対象経費の枠組みに合致し得ます。通常枠の対象経費はソフトウェア購入費・クラウド利用費・導入関連費で、クラウド利用料は最大2年分です。ただし補助対象になるのは事務局に登録済みのITツールだけで、IT導入支援事業者との共同申請になります。
通常枠の補助額は申請1件あたり5万円〜450万円以下で、補助率は1/2以内です。プロセス数により5万円〜150万円未満(1プロセス以上)と150万円〜450万円以下(4プロセス以上)に分かれます。社会福祉法人・NPO法人・医療法人は中小企業等の定義に含まれるので申請できます。ただし小規模事業者の優遇補助率は使えません。就労継続支援は社会福祉法第2条第3項第4号の2の第二種社会福祉事業なので、賃上げ要件は適用除外です。事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であるという基本要件は免除されません。1次締切分の交付申請締切は2026年8月25日(火)17:00で、2次以降の日程は2026年8月23日時点で公表されていません。
- 現行の名称(2026年度)
- 正式名称は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」。通称はデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)。申請枠は5つ
- 通常枠の補助額と補助率
- 申請1件あたり5万円〜150万円未満(1プロセス以上)または150万円〜450万円以下(4プロセス以上)。補助率1/2以内、条件を満たす場合2/3以内
- 通常枠の対象経費
- ソフトウェア購入費・クラウド利用費(クラウド利用料は最大2年分)・導入関連費。事務局に登録済みのITツールに限る
- 法人格の扱い
- 医療法人・社会福祉法人は常時使用する従業員300人以下で対象。NPO法人は主たる業種の従業員規模以下で対象。いずれも小規模事業者の優遇補助率は使えない
- 賃上げ要件
- 第一種・第二種社会福祉事業を行う事業者は適用除外。ただし事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上という基本要件は全事業者に適用
- 1次締切分の日程(2026年度)
- 交付申請締切2026年8月25日(火)17:00、交付決定予定日2026年10月7日(水)、事業実施期間と実績報告期限2027年3月31日(水)17:00。2次以降は2026年8月23日時点で未公表
- 申請前に必要な手続
- GビズIDプライムの取得と、IPA「SECURITY ACTION」の★一つ星または★★二つ星の宣言
目次
IT導入補助金は2026年に名称が変わった
2026年度の正式名称は中小企業デジタル化・AI導入支援事業で、通称はデジタル化・AI導入補助金2026です。
「IT導入補助金2026」という名称の制度は、2026年8月23日時点では存在しません。事務局サイトの表記は「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」です。制度そのものが無くなったわけではなく、名前が変わって続いています。
実施体制も変わっています。独立行政法人中小企業基盤整備機構が採択し、同機構と中小企業庁の監督のもとでTOPPAN株式会社が事務局業務を運営しています。
2026年度の申請枠は5つあります。
- 通常枠
- インボイス枠(インボイス対応類型)
- インボイス枠(電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠
会計・受発注・決済の機能を持たない記録・請求ソフトを単体で入れる場合、検討の中心は通常枠になります。理由は次章以降の補助率と対象経費で説明します。
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型に「国からの補助金」はあるのか 開設・設備投資・雇用の制度全体の位置づけ
枠ごとの上限額と補助率
通常枠は補助額5万円〜450万円以下・補助率1/2以内で、枠によって上限額も補助率も変わります。
次の表の額は申請1件あたりの補助額です(複数者連携枠のみグループ構成員1者あたり)。
| 申請枠(2026年度) | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 5万円〜150万円未満(1プロセス以上)/150万円〜450万円以下(4プロセス以上) | 1/2以内(条件により2/3以内) |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | ITツール分は下限なし〜350万円 | 50万円以下の部分3/4以内(小規模事業者4/5以内)、50万円超〜350万円の部分2/3以内 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 下限なし〜350万円 | 2/3以内 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円〜150万円 | 中小企業1/2以内、小規模事業者2/3以内 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠(基盤導入経費) | グループ構成員1者あたり上限50万円(1機能のみ)/上限350万円(2機能以上) | 3/4以内(小規模事業者4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内 |
通常枠の補助率が2/3以内になるのは、小規模事業者だからではありません。まったく別の条件が置かれています。令和6年10月から令和7年9月までの間の賃金水準を見る条件です。地域別最低賃金以上、かつ令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員を数えます。この従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上あることが条件です。
セキュリティ対策推進枠の対象は、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスです。対象経費はサービス利用料で、最大2年分までです。
大分類Ⅲ「役務」に当たる経費もあります。次の3つです。
- 導入コンサルティング
- 導入設定・マニュアル作成・導入研修
- 保守サポート
通常枠では、この役務の補助対象経費が合計200万円までです。保守サポートは1回の交付申請につき1つだけです。期間はソフトウェアの利用範囲内で最大2年分です。
ITツール登録制と対象になる経費
補助対象になるのは、IT導入支援事業者があらかじめ事務局に登録したITツールだけです。
自社で選んだ記録・請求ソフトをそのまま契約しても、対象にはなりません。登録済みのITツールに限るという制限が、この補助金の入り口を決めています。登録済みのITツールとIT導入支援事業者は、事務局のITツール検索ページで確認できます。
申請の形も一般的な補助金とは違います。事業者とIT導入支援事業者が共同事業体となり、事務局に各種申請を行う仕組みです。ITツールの選定・商談・見積依頼は、事業者からIT導入支援事業者へ行います。交付申請は双方が入力したうえで、事業者が最終提出します。
通常枠の対象経費は3つです。
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用費(クラウド利用料は最大2年分)
- 導入関連費
記録・請求ソフトのクラウド利用料は、この枠組みには合致し得ます。ただし合致し得るのは経費の種類の話です。個別の製品が実際にITツールとして登録されているかどうかは、製品ごとに検索して確かめる必要があります。
パソコンやタブレットは事情が違います。通常枠ではハードは対象外です。ハードウェア関連費を対象にできるのは2つの枠だけです。インボイス枠(インボイス対応類型)と、複数者連携デジタル化・AI導入枠の基盤導入経費です。どちらも会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアとセットで導入することが条件です。PC・タブレット等は補助率1/2以内・上限10万円、レジ・券売機等は補助率1/2以内・上限20万円です。
もうひとつ確認しておくことがあります。5つの枠の公募要領本文に、「障害」という文字は一度も出てきません。業種・プロセス一覧(別紙2)に「介護業」の区分はありますが、これは介護保険法上の介護事業を指す区分です。障害福祉サービス業という専用の区分は置かれていません。どのプロセス区分で申請するかは、IT導入支援事業者と事務局への個別確認が必要になります。
製品を先に決めてから補助金を探す順番にはなりません。事務局のITツール検索で、登録されている製品とIT導入支援事業者を先に見ることになります。
すでに使いたいソフトが決まっている場合は、そのベンダーがIT導入支援事業者として登録しているかを確かめるところから始まります。登録が無ければ、その製品はこの補助金では入れられません。
クラウド利用料の補助は最大2年分です(ソフトウェアの形態によっては最大1年分)。補助が切れたあとの月額は自己負担に戻るので、その後の負担額まで見込んだうえで導入の可否を決めることになります。
交付決定より前に契約・発注・納品・支払いを行うと補助金を受けられません。ベンダーとの契約日を交付決定日より後ろに置く段取りを、見積の段階で決めておくことになります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
設備投資の補助金 比較表(障害福祉版)
デジタル化・AI導入補助金を含む5つの設備投資の補助金について、上限額・補助率・法人格ごとの対象可否・締切を横並びにしています。
資料を見る →社会福祉法人・NPO法人の扱いと賃上げ要件
社会福祉法人・NPO法人は申請できますが、小規模事業者の優遇は使えません。
公募要領の「中小企業等の定義」には、医療法人と社会福祉法人が挙げられています。条件は常時使用する従業員の数が300人以下であることです。特定非営利活動法人は、主たる業種に記載された従業員規模以下の者として挙げられています。一方で「小規模事業者の定義」では、これらの組織形態は小規模事業者に該当しないものとすると明記されています。
社会福祉法人立・NPO法人立の事業所は、中小企業者の区分の補助率までしか使えないことになります。株式会社立・合同会社立の事業所はこの除外の対象ではなく、公募要領の定義に沿って小規模事業者に当たるかを判定します。なお対象外の事業者として、宗教法人と法人格のない任意団体が明記されています。
賃上げ要件の扱いは、障害福祉の事業所にとって有利に働きます。賃上げ要件は適用除外です。公募要領は、第一種社会福祉事業・第二種社会福祉事業(更生保護事業を含む)を行う事業者を適用除外としています。就労継続支援などの通所の障害福祉サービス事業は、社会福祉法第2条第3項第4号の2の第二種社会福祉事業です。障害者支援施設(入所)は同条第2項第4号の第一種社会福祉事業です。
ただし免除されない要件があります。交付申請の直近月において、事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であることです。これは申請要件として全事業者に適用され、適用除外の対象になりません。
事業所の中の誰がこの補助金に関わるのかも整理しておきます。公募要領の「従業員」は、給与所得として課税される給料・賃金・賞与・各種手当を受け取る人を指し、パートを含みます。この定義と、B型の利用者が事業所と雇用契約を結ばず工賃を受け取ることを合わせると、B型の利用者は従業員に入らないという帰結になります。公募要領がB型の利用者を名指しして除外しているわけではありません。
| 立場 | この補助金での位置づけ | 根拠の強さ |
|---|---|---|
| B型の利用者 | 補助金の直接の対象にはならない。法人が導入したソフトを事業所の業務で使うことはできる | 要件の組み合わせによる帰結(従業員の定義と雇用契約がないこと) |
| A型の利用者 | 雇用契約があるため「従業員」に算入され得る。ただし賃上げ要件自体が適用除外なので、賃金が判定に使われる場面は通常想定されない | 要件の組み合わせによる帰結 |
| 事業所の職員 | 「従業員」に当たる。給与支給総額・事業場内最低賃金の算定対象 | 公募要領の従業員の定義に明記 |
補助金の交付先は法人であり、利用者個人への給付ではありません。B型の利用者を対象に含めるかどうかという論点自体、公募要領には登場しません。
締切回と申請の流れ
1次締切分の交付申請締切は2026年8月25日(火)17:00で、2次以降の日程は公表されていません。
事務局サイトは確定分のみを公表する運用です。2026年8月23日時点で具体的な日付が出ているのは1次締切分だけで、2次から6次までの締切日は確認できません。
| 1次締切分の日程(2026年度) | 期日 |
|---|---|
| 交付申請の締切 | 2026年8月25日(火)17:00 |
| 交付決定の予定日 | 2026年10月7日(水) |
| 事業実施期間 | 交付決定日〜2027年3月31日(水)17:00 |
| 実績報告の期限 | 2027年3月31日(水)17:00 |
締切当日の17:00をもって、申請マイページとIT事業者ポータルからの申請・提出が一切できなくなります。IT導入支援事業者の登録申請とITツール登録申請は、2026年3月30日(月)10:00から始まっています。
申請の前に済ませておく手続が2つあります。
- GビズIDプライムを取得すること(申請要件(ウ))
- IPAの「SECURITY ACTION」で★一つ星または★★二つ星のいずれかを宣言すること(申請要件(エ))
GビズIDプライムの取得は、補助事業の流れの最初のステップに位置づけられています。SECURITY ACTIONは、宣言内容の確認のため事務局がIPAと交付申請情報の一部を共有することに同意する必要があります。2026年4月から運用が始まったSECURITY ACTION管理システムでは、第2回公募以降は宣言済みであれば申請できます。
順番の間違いは取り返しがつきません。交付決定より前の契約は対象外になります。交付決定前に契約・発注・納品・支払い等を行った場合は補助金を受けられず、交付決定前に購入したITツールは補助対象外経費として明記されています。
法人を複数持っている場合の制限もあります。親会社が議決権の50%超を持つ子会社、同一の個人が議決権の50%超を持つ複数の法人、代表者・住所・実質的支配者が同じ法人などは「みなし同一法人」として扱われ、1社のみ申請できます。IT導入支援事業者として登録している事業者は、同じ年度の補助事業者と重複できません。
交付を受けたあとの効果報告
賃上げ目標が必須になる申請では事業計画期間3年分の効果報告が義務づけられ、未達なら返還を求められます。
報告の期間は、1次締切分の交付決定を前提に次のように示されています。
| 効果報告の対象(1次締切分) | 報告期間 |
|---|---|
| 事業計画期間前 | ITツール導入後〜2027年3月(受付時期は順次公表) |
| 1年度目(交付申請時点の翌事業年度) | 2028年4月〜2029年1月 |
| 2年度目 | 2029年4月〜2030年1月 |
| 3年度目 | 2030年4月〜2031年1月 |
期間内に効果報告が提出されない場合、補助金の全部または一部の返還を求められます。事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合は、未達となった年度に応じて按分して返還します。1年度目の未達は全額、2年度目の未達は返還率2/3、3年度目の未達は返還率1/3です。
賃上げ要件が適用除外になる事業者について、この返還規定がどこまで及ぶかは公募要領に明記がありません。断定せずに、IT導入支援事業者と事務局に確認することになります。
返還が生じるのは未達の場合だけではありません。効果報告が完了する前に、導入したITツールを解約または利用停止した場合も対象です。廃業・倒産・事業廃止・事業譲渡・吸収合併等で補助事業を取りやめる場合は、辞退の手続が必要です。この場合も交付済み補助金の全部または一部の返還が必要になり得ます。加算金・延滞金を伴う場合もあります。
加点を受けて採択された場合の措置も置かれています。申請した加点要件を達成できなかった場合、効果報告で未達が報告されてから18か月間、中小企業庁が所管する他の補助金の申請で大幅に減点されます。正当な理由がある場合を除きます。対象として、次の補助金等が挙げられています(令和8年1月時点)。
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・M&A補助金
- Go-Tech事業
- 事業再構築補助金
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型事業所の収支構造を分解する 導入費用を判断する土台になる収支の全体像
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
