法人格で変わるB型の補助金
社会福祉法人・NPO法人・株式会社で
使える制度と使えない制度
令和8年度時点で、B型が使える補助金の可否は法人格によって割れます。小規模事業者持続化補助金の第20回公募要領は、社会福祉法人・医療法人・一般社団法人・一般財団法人などを「補助対象にならない者」として名指しで挙げています。中小企業省力化投資補助金の一般型も、一般社団法人・一般財団法人を明記して除外しています。一方で社会福祉施設等施設整備費補助金は、国庫補助の対象になる設置者に営利法人やNPO法人も含めています。株式会社立のB型事業所も設置者になりえます。
キャリアアップ助成金や業務改善助成金など、主な雇用関係の助成金は法人格による対象外の定めを置いていません。区切っているのは企業規模と、誰を雇っているかです。資本金の無い社会福祉法人・NPO法人などは、常時使用する労働者数だけで中小企業かどうかを判定します。
- 社会福祉法人
- 小規模事業者持続化補助金(第20回)は「補助対象にならない者」に明記して対象外。省力化投資補助金の一般型とデジタル化・AI導入補助金2026は、従業員300人以下などの条件つきで対象
- NPO法人
- 設備投資系の3制度とも条件つきで対象。持続化は法人税法上の収益事業を行い認定NPO法人でないこと、省力化の一般型は経営力向上計画の認定などが要件
- 株式会社・合同会社
- 中小企業者の要件を満たせば設備投資系の3制度の対象。社会福祉施設等施設整備費補助金でも「営利法人等」として設置者に含まれる
- 一般社団法人・一般財団法人
- 持続化補助金と省力化投資補助金の一般型はいずれも明記して対象外。施設整備費補助金の設置者には含まれる
- 雇用関係の助成金
- キャリアアップ・業務改善など主な制度に法人格による対象外の定めなし。資本金の無い法人の中小企業判定は常時使用する労働者数で行う(業務改善助成金Q&A 問1)
- 従業員数の数え方
- 「常時使用する従業員」は労働基準法第20条の解雇予告の対象者。B型の利用者は雇用契約がないため含まれないと解される(名指しの一次情報は未確認)
目次
法人格で何が変わるか
変わるのは制度ごとの補助対象者の範囲で、同じB型でも法人格によって申請できる制度が違います。
B型事業所は、社会福祉法人だけが運営しているわけではありません。NPO法人・株式会社・合同会社・一般社団法人が運営する事業所もあります。障害福祉サービスの指定を受けるだけなら、法人格による差はありません。ところが補助金の側は、対象者を法人格で細かく区切っています。
区切り方には型があります。
- 経済産業省系の補助金は、公募要領の「補助対象者」で対象になる法人格を列挙する
- 厚生労働省系の雇用関係の助成金は、法人格による対象外の定めを置かない
- 施設整備費補助金は、設置者として認める法人格を脚注で広く列挙する
つまり制度ごとに扱いがばらばらです。制度の側から調べると全体像がつかめないので、この記事では法人格の側から並べます。数値はいずれも令和8年度時点のものです。
社会福祉法人の場合
社会福祉法人がB型で使う制度のうち、法人格の時点で対象外になるのは小規模事業者持続化補助金です。
第20回公募要領は「補助対象にならない者」を列挙しており、その欄に社会福祉法人が入っています。医療法人・一般社団法人・公益社団法人・一般財団法人・公益財団法人も同じ欄に並んでいます。NPO法人のように条件を満たせば対象になる扱いではなく、一律の除外です。
中小企業省力化投資補助金の一般型は、逆に社会福祉法人を条件つきで対象にしています。要件は3つです。
- 社会福祉法第32条の所轄庁の認可を受けて設立されていること
- 従業員数が300人以下であること
- 収益事業の範囲内で補助事業を行うこと
3つ目の条件は見落としやすい点です。公募要領が求めているのは、収益事業の範囲内で補助事業を行うことです。自法人のどの事業が収益事業に当たるかは、公募要領に書かれていません。所轄庁や税理士に確認する事項になります。なお同じ一般型で、医療法人は歯科医業を営む法人だけが対象です。
デジタル化・AI導入補助金2026は、常時使用する従業員が300人以下の社会福祉法人を中小企業等の定義に含めています。ただし小規模事業者の優遇補助率は使えません。公募要領は、社会福祉法人を含む区分について「小規模事業者に該当しないものとする」と定めています(8ページ)。
NPO法人の場合
NPO法人は設備投資系の3つの補助金すべてで対象になりえますが、いずれも条件つきです。
持続化補助金は条件を2つ置いています。法人税法上の収益事業を行い、確定申告書を提出できること。認定特定非営利活動法人でないことです。両方を満たす場合に限り対象になります。従業員数の区分は「その他(製造業その他、20人以下)」を使います。
省力化投資補助金の一般型は、要件が5つあります。
- 広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行うこと
- 従業員数が300人以下であること
- 法人税法上の収益事業を行うこと
- 認定特定非営利活動法人でないこと
- 交付申請時までに経営力向上計画の認定を受けていること
このうち1つ目は、判断の基準が公募要領に書かれていません。障害福祉が主目的のNPO法人が満たすかどうかは、一次情報からは判断できません。申請の前に事務局へ確認する項目になります。
デジタル化・AI導入補助金2026は、主たる業種の従業員規模以下であればNPO法人も対象です。こちらも社会福祉法人と同じで、小規模事業者の優遇補助率は使えません。
設備投資の補助金 比較表(障害福祉版)
設備投資の補助金5つについて、法人格ごとの対象可否を根拠つきで横並びにしています。
資料を見る →株式会社・合同会社の場合
株式会社・合同会社は設備投資系の制度で制約が最も少なく、施設整備費補助金の設置者にも含まれます。
持続化補助金は「会社および会社に準ずる営利法人」を補助対象となりうる者に挙げており、株式会社・合同会社はここに入ります。省力化投資補助金の一般型とデジタル化・AI導入補助金2026も、中小企業者の要件を満たせば対象です。法人格そのものを理由に落ちる場面はありません。
施設整備費補助金も株式会社を排除していません。厚生労働省の会議資料は、国庫補助の対象になる設置者の脚注に「営利法人等」を挙げています。同じ脚注には社会福祉法人・医療法人・日本赤十字社・NPO法人・一般社団法人・一般財団法人なども並んでいます。「社会福祉法人しか使えない補助金」ではありません。
福祉医療機構(WAM)の福祉貸付も似た形です。就労継続支援を含む障害福祉サービス事業では、融資を受けられる方の欄が「法人」とだけ書かれており、法人格を限定する記載がありません。ただし入所施設である障害者支援施設は、社会福祉法人・日本赤十字社・一般社団法人に限られています。通所と入所で対象が違う点に注意が必要です。
法人格をクリアしても、持続化補助金には別の壁が残ります。補助対象外となる経費の欄に「就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費」が名指しで挙げられているためです。どこまでが重複に当たるのかを説明した記述は、公募要領にも参考資料にも見当たりません。株式会社立であっても、経費の内容によっては対象外になりえます。
雇用関係の助成金は法人格を問わない
主な雇用関係の助成金は法人格による対象外の定めを置かず、どの法人格でも同じ要件で申請します。
主な制度は、補助対象者を法人格で切っていません。キャリアアップ助成金・特定求職者雇用開発助成金・人材開発支援助成金・業務改善助成金がこれに当たります。区切っているのは企業規模と、誰を雇っているかです。株式会社でも社会福祉法人でもNPO法人でも、判定の仕方は変わりません。
対象になるかどうかは、雇用契約の有無で決まります。3者に分けると次のようになります。
| 対象 | 雇用関係の助成金の扱い |
|---|---|
| B型の利用者 | 対象にならない |
| A型の利用者 | 制度によって分かれる |
| 事業所の職員 | 対象になりうる |
B型の利用者が対象にならないのは、要件の組み合わせによる帰結です。多くの助成金は、雇用保険の被保険者として雇い入れることを支給要件にしています。この要件と、B型の利用者が事業所と雇用契約を結ばないことを合わせると、要件を満たせないという結論になります。厚生労働省がB型を名指しして対象外と書いているわけではありません。
A型の利用者は制度によって正反対になります。キャリアアップ助成金の正社員化コースは「就労継続支援A型の事業所における利用者以外の者であること」を対象労働者の要件に置いています。一方で特定求職者雇用開発助成金は、A型事業所が自法人の利用者をハローワークの紹介で雇い入れる場合も対象になりえます。ただし過去の対象者の離職率が25%を超えると支給されません。
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型に「国からの補助金」はあるのか 収入の仕組みと制度全体の位置づけ
中小企業者の数え方
社会福祉法人のように資本金の無い法人は、常時使用する労働者数だけで中小企業かどうかを判定します。
中小企業の判定は、資本金または従業員数で行います。社会福祉法人・NPO法人・一般社団法人・医療法人には資本金がないため、資本金の側の基準が使えません。厚生労働省の業務改善助成金のQ&Aは、この点を問1で示しています。資本金が無い場合は常時使用する労働者数で判断する、という扱いです。
では誰を数えるのか。経済産業省系の補助金がいう「常時使用する従業員」は、中小企業基本法の定義に沿ったものです。労働基準法第20条の、あらかじめ解雇の予告を必要とする者を指します。次の人は含まれません。
- 役員
- 同居の親族従業員
- 日雇労働者
- 2か月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
- 試用期間中の者
B型の利用者は、この定義に当たらないと考えられます。利用者は事業所と雇用契約を結ばず、工賃を受け取る利用契約の関係にあります。解雇の予告の対象になる労働契約がありません。ただし公募要領にB型・A型という語自体は登場しません。定義との組み合わせによる帰結であり、名指しの一次情報は確認できていません。
A型の利用者は逆に、算定に含まれうる立場です。雇用契約を結び最低賃金法の適用を受けるため、常勤であれば従業員数に入りえます。ただし契約期間や勤務日数によって判断は変わり、一律には断定できません。
株式会社が運営するB型で設備投資の補助金を申請するなら、従業員数を確定させるところから始めることになります。この数で補助上限も補助率の区分も変わるからです。
まず名簿を人ごとに分け、雇用契約の有無で線を引きます。利用者は工賃を受け取る利用契約なので、この線の外側に置くことになります。
残った職員から、役員と同居の親族を外します。試用期間中の人と、2か月以内の期間を定めて雇っている人も外します。
ここまで数えて常時使用する従業員が5人以下なら、サービス業の小規模事業者の区分に当たる可能性が出てきます。区分が変われば補助率も変わるので、事業計画を書き始める前に確定させておく順番になります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
法人格別の一覧表
法人格の時点で対象外になる組み合わせがあるのは、持続化補助金と省力化投資補助金の一般型です。
| 制度(令和8年度時点) | 社会福祉法人 | NPO法人 | 株式会社・合同会社 | 一般社団・一般財団法人 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(第20回) | 対象外(明記) | 条件つきで対象 | 対象になりうる | 対象外(明記) |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 条件つきで対象 | 条件つきで対象 | 対象になりうる | 対象外(明記) |
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 対象(小規模の優遇なし) | 対象(小規模の優遇なし) | 対象になりうる | 中小企業等の定義に区分あり |
| 社会福祉施設等施設整備費補助金 | 設置者に含む | 設置者に含む | 設置者に含む(営利法人等) | 設置者に含む |
| 福祉医療機構の福祉貸付(障害福祉サービス事業) | 法人であれば対象 | 法人であれば対象 | 法人であれば対象 | 法人であれば対象 |
| 雇用関係の助成金(主な制度) | 法人格の定めなし | 法人格の定めなし | 法人格の定めなし | 法人格の定めなし |
表の可否は法人格だけを見たものです。実際にはこのほかに、従業員数・収益事業の範囲・経費の内容といった条件がかかります。とくに持続化補助金は、法人格をクリアしても障害福祉サービス事業と重複する経費が対象外になりえます。
開設の場面で法人格を選ぶなら、補助金の可否だけで決める話にはなりません。それでも、設備投資に補助金を使う計画があるかどうかで、選択の重みは変わります。
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型は儲かるのか 開設の判断に関わる収支全体の考え方
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
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