受給者証とは
障害福祉・通所・自立支援医療で
根拠法も交付主体も別物
「受給者証」という名前の証票は一つではありません。障害者総合支援法と児童福祉法だけでも6種類あり、それぞれ別の条文を根拠に交付されます。障害者総合支援法の体系にあるのは、障害福祉サービス受給者証、地域相談支援受給者証、自立支援医療受給者証、療養介護医療受給者証の4つです。児童福祉法にあるのは、通所受給者証と入所受給者証の2つです。根拠法も、交付する役所も、有効期間の決め方も、記載事項も違います。根拠条文は本文にまとめました(2026年8月16日時点で施行されている条文)。
事業所が手元の1枚を見分けるときは、記載欄を見るのが確実です。「障害支援区分」の欄があるのは障害福祉サービス受給者証です。名義が保護者で「障害児通所支援の種類及び支給量」が書かれていれば通所受給者証です。医療を受ける指定自立支援医療機関の名称・所在地が記載されていれば自立支援医療受給者証です。ハローワークが交付する雇用保険受給資格者証や、自治体の条例に基づく医療費助成の受給者証は、障害福祉の支給決定とは関係がありません。
目次
利用者やその家族から「受給者証を持ってきました」と言われて出てきた1枚が、自事業所の請求根拠になる証票とは限りません。障害者総合支援法と児童福祉法の体系だけでも、名称が「受給者証」で終わる証票は6つあります。ここでは検索されることの多い3つを軸に、根拠条文と交付主体の違いから整理します。以下はいずれも2026年8月16日時点で施行されている条文にもとづいています。
まず3つを見分ける
| 名称 | 根拠条文 | 交付する主体 | 有効期間の決まり方 | 見分けやすい記載欄 |
|---|---|---|---|---|
| 障害福祉サービス受給者証 | 障害者総合支援法第22条第8項 | 市町村 | 決定日からその月の末日までの期間に、サービスの種類ごとに1月間から12月間、1月間から36月間などの範囲で市町村が定める期間を合算(同法施行規則第15条) | 「障害支援区分」の欄がある |
| 通所受給者証 | 児童福祉法第21条の5の7第9項 | 市町村 | 決定日からその月の末日までの期間に、1月間から12月間の範囲で市町村が定める期間を合算(同法施行規則第18条の17) | 名義が保護者。「障害児通所支援の種類及び支給量」の欄がある |
| 自立支援医療受給者証 | 障害者総合支援法第54条第3項 | 市町村(精神通院医療は都道府県) | 1年以内(同法施行規則第43条) | 「指定自立支援医療機関の名称、所在地及び連絡先」の欄がある |
3つとも「支給決定(支給認定)を受けたことの証明」であり、サービスや医療を受けるときに提示させる点は共通しています。しかし根拠となる給付が違うので、1枚で他の給付を兼ねることはできません。
障害福祉サービス受給者証
市町村が支給決定を行ったときに交付する証票です。記載事項は省令で8項目と定められています。内容は次のとおりです。
- 本人の氏名・居住地・生年月日
- 交付年月日と受給者証番号
- 支給量
- 支給決定の有効期間
- 障害支援区分
- 負担上限月額に関する事項など
このうち「障害支援区分」の欄があるのは、6つの受給者証のなかでこれだけです。ただし、区分欄が埋まっていないことがあります。区分の認定手続が置かれているのは、次の2つの支給決定を受けようとする場合だけです(同法施行令第10条第1項)。
- 介護給付費(特例介護給付費を含む)
- 共同生活援助に係る訓練等給付費(特例訓練等給付費を含む)
就労継続支援B型や就労移行支援だけを利用する人には、この手続がありません。区分欄が空欄でも受給者証としては有効です。
関連する記事で詳しく扱っています。
- 受給者証をもらうまでの手続き … 交付までの流れと必要書類
- 受給者証の更新 … 有効期間の終期が近づいたときの取扱い
- 障害福祉サービス受給者証の記載事項 … 証票そのものの読み方
通所受給者証(障害児通所支援)
児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの障害児通所支援を利用するための証票です。交付するのは障害福祉サービス受給者証と同じ市町村ですが、名義は障害児本人ではなく保護者になります。児童福祉法は通所給付決定を受けた保護者を「通所給付決定保護者」と呼び、この保護者に対して交付すると定めています。
記載事項は7項目です。内容は次のとおりです。
- 通所給付決定保護者の氏名・居住地・生年月日
- 障害児の氏名・生年月日
- 交付年月日と通所受給者証番号
- 障害児通所支援の種類と支給量
- 通所給付決定の有効期間
- 障害児通所支援負担上限月額等に関する事項
障害支援区分は含まれていません。障害児通所支援の支給決定は、区分認定を経ずに行われるためです。
自立支援医療受給者証
医療費の公費負担のための証票で、障害福祉サービスの利用とは切り離された仕組みです。自立支援医療は育成医療、更生医療、精神通院医療の3種類です。このうち精神通院医療については都道府県が支給認定を行います。育成医療と更生医療は市町村が行います。
もう一つの特徴が、受給者証に医療機関名が書かれていることです。市町村等は支給認定をしたときに、その人が医療を受ける機関を定めることとされています。選ぶ先は、都道府県知事が指定する指定自立支援医療機関です。その名称・所在地・連絡先が受給者証に記載されます。有効期間は1年以内です。
「精神科に通っているので受給者証を持っています」と言われることがあります。それが自立支援医療受給者証であれば、障害福祉サービスの支給決定はまだ受けていない可能性があります。B型や就労移行支援の見学から利用につなげる場面では、ここを取り違えると計画相談支援の依頼や支給申請の段取りがまるごと抜け落ちます。
障害福祉の中にある、その他の受給者証
- 地域相談支援受給者証(障害者総合支援法第51条の7第8項)。地域移行支援・地域定着支援の給付決定を受けた人に市町村が交付します。
- 療養介護医療受給者証(同法施行規則第64条の2第3項)。療養介護に係る支給決定を受けた人に、障害福祉サービス受給者証とは別に市町村が交付します。
- 入所受給者証(児童福祉法第24条の3第6項)。障害児入所給付費の入所給付決定を受けた保護者に、都道府県が交付します。通所受給者証と交付主体が違う点に注意が必要です。
障害福祉とは無関係の「受給者証」
雇用保険受給資格者証は、離職票を提出して受給資格の決定を受けた人に管轄公共職業安定所の長が交付するものです。個人番号カードを提示して手続きをした人が希望した場合は、受給資格者証ではなく雇用保険受給資格通知が交付されます。就労支援の場面で名前が出てきますが、障害福祉サービスの支給決定とは何の関係もありません。
医療費助成の受給者証も別系統です。指定難病の特定医療費については難病法にもとづき都道府県が医療受給者証を交付します。こども医療費や重度心身障害者医療費の助成は各自治体の条例にもとづくため、名称も様式も自治体ごとに異なります。これらは障害福祉サービスの請求根拠にはなりません。
利用契約の前に受給者証を見せてもらったら、まず表題を読んでください。「障害福祉サービス受給者証」でなければ、自事業所の請求根拠にはなりません。表題を確認したら、次の3点を押さえておくと契約支給量の記入で迷いません。
- サービスの種類の欄に、自事業所が提供するサービスが含まれているか
- 支給量はどれだけか
- 支給決定の有効期間はいつまでか
法律上、受給者証はサービスを受けるたびに提示することとされています(障害者総合支援法第29条第2項、同法施行規則第26条)。支給決定の変更があった場合、市町村は受給者証の提出を求めます(同法第24条第2項)。決定事項を記載したうえで返還します(同条第6項)。そのため、事業所が持っている写しは変更のたびに古くなります。契約時に取った写しをそのまま使い続けず、変更決定の連絡を受けたら差し替える運用にしておくと、報酬請求の根拠と手元の記録がずれません。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
前後の手続きは次の記事で扱っています。
- 障害福祉サービス受給者証
- 障害者総合支援法第22条第8項/市町村が交付/記載事項8項目(同法施行規則第14条)
- 通所受給者証
- 児童福祉法第21条の5の7第9項/市町村が交付/記載事項7項目(同法施行規則第18条の18)
- 自立支援医療受給者証
- 障害者総合支援法第54条第3項/市町村が交付(精神通院医療は都道府県)/有効期間は1年以内
- 見分ける手がかり
- 障害支援区分欄=障害福祉サービス/保護者名義=通所/指定自立支援医療機関の記載=自立支援医療
- 障害福祉とは別の制度のもの
- 雇用保険受給資格者証(雇用保険法施行規則第19条第3項・公共職業安定所長が交付)、特定医療費の医療受給者証(難病法第7条第4項・都道府県が交付)
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
