現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

サービス等利用計画と個別支援計画
作る人も根拠条文も違う
2つの計画の関係

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
結論

サービス等利用計画は、指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が作る計画です(障害者総合支援法第5条第23項)。個別支援計画は、サービス事業所のサービス管理責任者が作る計画です(指定障害福祉サービス基準第58条。就労継続支援B型は第202条が準用)。作る人も根拠条文も別で、どちらかがどちらかを兼ねることはできません。

省令の条文には「サービス等利用計画に沿って個別支援計画を作れ」という一文はありません。2026年8月16日時点の現行の省令(令和7年10月1日施行版)を通しで確認しても、「サービス等利用計画」という語は一度も出てきません。義務の根拠は解釈通知の側にあり、サービス管理責任者は指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画を踏まえて個別支援計画の原案を作成するものとされています。

根拠:厚生労働省「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号)」第四の3の(7)
目次

2つの計画は、根拠にしている法令からして別物

サービス等利用計画の根拠は、障害者総合支援法第5条第23項です。同項は「サービス利用支援」を、申請者の心身の状況や意向等を勘案してサービス等利用計画案を作成し、支給決定等が行われた後に関係者との連絡調整を行ったうえでサービス等利用計画を作成すること、と定義しています。これを行うのが指定特定相談支援事業所の相談支援専門員です。

個別支援計画の根拠は、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条です。就労継続支援B型では第202条が第57条から第60条までを準用し、条文中の「療養介護計画」を「就労継続支援B型計画」と読み替えて適用します。作成業務は、管理者がサービス管理責任者に担当させる建て付けです(第58条第1項)。

つまり、片方は市町村の支給決定を挟んで生活全体を組み立てる計画、もう片方は支給決定を受けたあとに自事業所の中で提供する支援を具体化する計画です。作成者の所属も監督する法令も違うため、片方があればもう片方が要らない、という関係にはなりません。

誰が何を書くのかを並べる

省令が定める記載事項と手続を、2つの計画で並べると次のようになります。

サービス等利用計画個別支援計画
作る人相談支援専門員サービス管理責任者
根拠法第5条第23項、施行規則第6条の15、指定計画相談支援基準第15条指定障害福祉サービス基準第58条(B型は第202条で準用)
対象範囲障害福祉サービス以外の福祉サービスや地域の活動も含めた生活全般自事業所が提供する支援の内容
主な記載事項本人と家族の意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、目標と達成時期、サービスの種類・内容・量・日時、利用料、担当する者、留意事項本人と家族の意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、目標と達成時期、提供上の留意事項
会議サービス担当者会議(第15条第2項第12号)個別支援会議(第58条第6項)
同意文書により利用者等の同意(第13号)文書により利用者の同意(第58条第7項)
交付先利用者等と担当者(第14号)利用者と指定特定相談支援事業者等(第58条第8項)
見直し市町村が定めるモニタリング期間ごと少なくとも6月に1回以上(B型の場合)

サービス等利用計画の記載事項は、案の段階では施行規則第6条の15第1項の6項目で、支給決定後の本計画では第2項によって「利用料」と「これを担当する者」が加わります。担当する者、つまり事業所名が計画に載るのは支給決定のあとだという点は、受け入れ前の問い合わせ対応で押さえておくと話が早くなります。

個別支援計画の側の手順は個別支援計画とは?運営基準が定める作成の手順と原案に書くべき記載事項で条文に沿って整理しています。相談支援事業所の側の仕組みは計画相談支援を参照してください。

「サービス等利用計画に沿って作れ」と条文は書いていない

個別支援計画をサービス等利用計画に沿わせる法的義務があるのかは、省令の条文だけを追っても答えが見つかりません。e-Gov法令検索が公開している指定障害福祉サービス基準の全文(令和7年10月1日施行の版)を本則から附則まで検索しても、「サービス等利用計画」という語は一度も出てきません。省令が事業所に課しているのは、作成した個別支援計画を指定特定相談支援事業者等に交付すること(第58条第8項)、市町村や相談支援事業者が行う連絡調整にできる限り協力すること(第12条)です。

義務の根拠は解釈通知の側にあります。基準解釈通知の第四の3の(7)②は、サービス管理責任者の役割として次のように書いています。指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画を踏まえて、当該事業所以外の保健医療サービス等との連携も含めて計画の原案を作成する、というものです。同じ箇所は計画の交付についても、サービス等利用計画を踏まえた個別支援計画の作成等を可能とするため、相談支援事業者が実施するサービス担当者会議に参加して必要な情報を共有し、相互に連携を図ることを求めています。就労継続支援B型については、第十二の3の(2)がこの第四の3の(6)から(9)までを参照する形になっているので、そのままB型に効きます。

なお、個別支援計画を相談支援事業所へ交付する義務は令和6年度報酬改定で新設されたものです。厚生労働省の改定資料には、障害児者の状況を踏まえたサービス等利用計画の作成を推進する観点から交付を義務付ける、と趣旨が書かれています。それ以前の条文(令和5年4月1日施行の版)では、第58条第7項が「当該療養介護計画を利用者に交付しなければならない」とだけ定めていて、交付先に相談支援事業者は入っていませんでした。令和6年4月1日施行の改正で「利用者及び指定特定相談支援事業者等に交付」となり、現在の第58条第8項になっています。

一方、相談支援専門員がサービス等利用計画を担当者に交付する義務は、この改正より前からありました。令和5年4月1日施行の版では指定計画相談支援基準第15条第2項第13号、現在は同項第14号です。つまり、相談支援事業所から事業所へ計画が渡る仕組みは以前からあり、事業所から相談支援事業所へ渡す義務が令和6年4月1日に加わったことで、両方向の交付が省令上そろいました。

食い違いが起きたとき、どこで直すか

2つの計画に上下関係を定めた条文はありません。ただし量については答えが決まっています。事業所が契約できる量の総量は、受給者証に記載された支給量を超えられません(第10条第2項)。個別支援計画に週5日の通所と書いても、支給量が月15日であれば、超えた分は報酬の対象になりません。受給者証で支給決定の有無、有効期間、支給量を確かめる義務が第14条にあるのは、そのためです。受給者証の読み方は障害福祉サービス受給者証で扱っています。

支給量そのものを変える必要があるときは、事業所が単独で決められる話ではなくなります。相談支援専門員がモニタリングでサービス等利用計画を見直し、必要に応じて支給決定の変更申請を勧奨する、というのが法第5条第24項が定める継続サービス利用支援の流れです。事業所の側は、支援の実態と計画のずれをモニタリングで拾い、担当者会議やモニタリング結果の交換を通じて相談支援専門員に伝えることになります。事業所側のモニタリングの詰め方は個別支援計画のモニタリングにまとめました。

解釈通知は、モニタリングに際しても相談支援事業者との相互連携を求めており、モニタリング結果を相互に交付すること、サービス担当者会議と個別支援会議を合同で開催するか相互の会議に出席することを、連携強化の方法として挙げています。合同開催が認められている点は、日程調整の負担を減らす材料として押さえておく価値があります。

実務ではこう組めます

サービス等利用計画の写しは、利用申込みを受けた時点で担当の相談支援事業所に依頼しておく方法があります。相談支援専門員には作成した計画を担当者に交付する義務があるので(指定計画相談支援基準第15条第2項第14号)、届くのを待つよりも、こちらから依頼するほうが早く動けます。受け取った写しを利用者ごとのファイルの先頭に綴じておけば、個別支援計画の原案を書くときに横に置いて確認できます。

受給者証の支給量と契約支給量の突き合わせは、いつ行うかをあらかじめ決めておくと抜けにくくなります。契約時と支給決定の更新時の2回を最低ラインに置く組み方なら、支給量が動く場面をひととおり拾えます。個別支援計画の目標に通所日数を書き込む前に支給量を見る順番にしておくと、書き直しが減ります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

セルフプランの利用者は、連携相手がいない

セルフプランは、身近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合か、申請者本人がその提出を希望する場合に限って認められます(法第22条第5項、施行規則第12条の4)。この場合、事業所には情報をやり取りする相談支援専門員がいません。第58条第8項の交付先である指定特定相談支援事業者等が存在しないためです。

さらに、厚生労働省の事務処理要領は、指定特定相談支援事業者以外の者がサービス等利用計画案を作成した場合は継続サービス利用支援の対象外になると明記しています。相談支援側の定期的なモニタリングが働かないということです。生活状況の変化に気づく機能を事業所のモニタリングだけで担うことになるので、セルフプランの利用者が何名いるかは、受け入れ時に把握しておく価値があります。

要点の整理
作る人
サービス等利用計画は相談支援専門員/個別支援計画はサービス管理責任者
根拠条文
法第5条第23項・施行規則第6条の15/指定障害福祉サービス基準第58条(B型は第202条で準用)
作る順序
支給決定の前にサービス等利用計画案、決定後に本計画。個別支援計画はそれを踏まえて原案を作る(解釈通知 第四の3の(7)②)
交付の義務
個別支援計画は利用者と指定特定相談支援事業者等に交付する(第58条第8項。令和6年度改定で義務付け)
量の上限
契約支給量の総量は受給者証の支給量を超えてはならない(第10条第2項)
見直しの周期
個別支援計画はB型で少なくとも6月に1回以上/サービス等利用計画のモニタリング期間は市町村が定める(B型利用者の標準は6月間、65歳以上は3月間。介護保険の居宅介護支援等の利用者を除く)
制度基準日2026.04.01

よくある質問

Q. 個別支援計画は、サービス等利用計画に沿って作らなければならないのですか。
A. 省令の条文に明文はありませんが、解釈通知が「踏まえて作る」ことを求めています。指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)の本文には「サービス等利用計画」という語が一度も出てきません。一方、基準解釈通知の第四の3の(7)②は「サービス管理責任者は、指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画を踏まえて、当該指定療養介護事業所以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、療養介護計画の原案を作成し」と定めており、就労継続支援B型はこの「療養介護計画」を「就労継続支援B型計画」と読み替えたうえで、この部分を参照する扱いです。
Q. サービス等利用計画の写しが届いていません。個別支援計画を先に作ってもよいですか。
A. 作成を止める規定はありませんが、写しを取り寄せてから仕上げるのが安全です。個別支援計画の作成手順を定めた第58条には、サービス等利用計画の到着を待てという条件はありません。ただし解釈通知はサービス等利用計画を踏まえた作成を前提にしており、相談支援専門員には作成したサービス等利用計画を担当者に交付する義務があります(指定計画相談支援基準第15条第2項第14号)。届いていない場合は、担当の相談支援事業所に交付を求めてください。
Q. サービス等利用計画と個別支援計画の内容が食い違ったら、どちらに合わせるのですか。
A. 上下関係を定めた条文はないため、担当者会議で調整して両方を直します。ただし量については答えが決まっていて、事業所が契約できる量の総量は受給者証に記載された支給量を超えられません(第10条第2項)。支給量そのものを変える必要があるときは、相談支援専門員がサービス等利用計画を見直し、利用者に市町村への変更申請を勧奨する流れになります(法第5条第24項)。申請するのは利用者本人または保護者です。
Q. 作った個別支援計画を相談支援事業所に渡さないといけませんか。
A. はい、交付は義務です。第58条第8項は、サービス管理責任者が個別支援計画を作成した際には、利用者及び指定特定相談支援事業者等に交付しなければならないと定めています。これは令和6年度報酬改定で新たに義務付けられたもので、厚生労働省の改定資料でも「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者が作成した個別支援計画について相談支援事業者への交付を義務付け」と説明されています。
Q. セルフプランの利用者の場合はどうなりますか。
A. 個別支援計画の作成義務は変わりませんが、連携相手がいません。セルフプランは、身近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合か、申請者本人がその提出を希望する場合に限って認められるものです(法第22条第5項、施行規則第12条の4)。この場合は相談支援専門員が付かないため、第58条第8項の交付先となる指定特定相談支援事業者等が存在せず、厚生労働省の事務処理要領では継続サービス利用支援(相談支援側のモニタリング)の対象外とされています。利用者の状況の変化に気づく役割を、事業所側のモニタリングだけで担うことになります。
この記事の根拠資料
1.
e-Gov法令検索(デジタル庁)
2026年08月16日確認(令和7年10月1日施行の版。本則から附則まで全文を検索し「サービス等利用計画」の語がないことを確認)。令和5年4月1日施行の版(第58条第7項は交付先が利用者のみ)と令和6年4月1日施行の版(第58条第8項で指定特定相談支援事業者等を追加)も同じ方法で照合
5.
e-Gov法令検索(デジタル庁)
2026年08月16日確認(令和7年10月1日施行の版)。第15条第2項第14号「相談支援専門員は、サービス等利用計画を作成した際には、当該サービス等利用計画を利用者等及び担当者に交付しなければならない」の出典。同じ規定は令和5年4月1日施行の版では第15条第2項第13号
7.
厚生労働省
2026年08月16日確認(意思決定支援の推進・個別支援計画の相談支援事業者への交付義務付け)
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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