受給者証の更新と
支給決定の有効期間、
事業所側の期限管理
支給決定の有効期間は市町村が定めます。就労継続支援は障害者総合支援法施行規則第15条で1月間から36月間の範囲とされていますが、厚生労働省の事務処理要領(令和8年7月版)は運用上、支給決定時に50歳未満の就労継続支援B型利用者について1年を上限としています。更新は自動ではなく、本人の支給申請に基づいて市町村が改めて行う支給決定です。有効期間が切れた後に提供したサービスには訓練等給付費が支給されないため、事業所は受給者証の終期月を自ら管理する必要があります。〔2026年8月16日時点〕
目次
有効期間はどう決まるか
障害者総合支援法第23条は、支給決定は主務省令で定める期間内に限って効力を持つと定めています。その期間を具体的に決めているのが同法施行規則第15条で、「支給決定を行った日からその日が属する月の末日までの期間」に、サービス種類ごとの期間を合算したものが有効期間になります。支給決定日が月の初日であれば、種類ごとの期間がそのまま有効期間です。
種類ごとの上限は次のとおりです(2026年8月16日時点の現行規定)。
| サービスの種類 | 施行規則第15条第1項が定める範囲 |
|---|---|
| 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、短期入所、重度障害者等包括支援、自立訓練、就労移行支援、就労定着支援、自立生活援助 | 1月間から12月間まで |
| 療養介護、生活介護、施設入所支援、就労継続支援、共同生活援助 | 1月間から36月間まで |
| 就労選択支援 | 1月間又は2月間 |
| 就労移行支援・就労継続支援(在職者が一時的に利用する場合) | 1月間から6月間まで |
| 就労移行支援(養成施設を利用する場合) | 1月間から60月間まで |
この範囲の中で、実際に何か月にするかは市町村が定めます。事務処理要領(令和8年7月版)は、支給決定の有効期間は原則として障害支援区分の有効期間と同一期間とし、居宅介護等や標準利用期間を設定するサービスは最長1年間、就労選択支援は原則1か月とする考え方を示しています。
B型で見落としやすい「50歳未満は1年」
就労継続支援B型を運営していると、省令の「36月間まで」だけを見て3年の受給者証を前提に段取りを組んでしまいがちです。ところが事務処理要領は、運用による取扱いとして、支給決定時に50歳未満の就労継続支援B型利用者については上限を1年としています。同じB型でも、50歳未満の方は毎年更新が回ってくる前提で管理しなければなりません。
もう一点、事務処理要領は運用上、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援を同じグループとして扱い、原則としてグループごとに有効期間の終期を合わせるとしています。就労移行支援からB型へ移る利用者などで、複数の終期がばらばらに動くことは想定されていません。
更新は自動ではなく、新しい支給決定
事務処理要領は「支給決定の更新」を、有効期間が終了した場合に本人が引き続き利用を希望するときに、本人からの支給申請を受けて市町村が勘案事項を勘案し、利用継続の必要性が認められれば改めて行う支給決定と定義しています。手続としては通常の支給決定と同じもので、有効期間の満了によって自動的に延長される仕組みではありません。
就労継続支援については、さらに踏み込んだ記述があります。「通常の事業所に雇用されることが困難な障害者」に該当する利用者について、支給決定の更新の段階で、協議会や障害者雇用支援合同会議等において、それまでの利用実績とサービス管理責任者による評価等を踏まえ、一般就労や他の事業の利用の可能性を検討し、更新の要否を判断するとされています。更新は形式的な事務ではなく、サビ管の評価が判断材料として使われる場面です。個別支援計画のモニタリングの記録が、そのまま更新の説明材料になります。
「何日前までに申請」は市町村が決める
ここが市町村差の出るところです。事務処理要領は、更新前の有効期間が満了するまでに(必要な場合は障害支援区分の認定を含めて)更新手続が終了するよう留意すべきとしたうえで、「制度上、支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間の満了する日の何日前までに更新に係る支給申請をすることは定められていない」と明記しています。そのため市町村が、自ら定める行政手続法上の標準処理期間を念頭に、満了日の何日前から何日前までに申請するよう本人へ周知し、相談支援事業者やサービス事業所にも適切な申請援助ができるよう併せて周知することとされています。
つまり「更新は2か月前から」といった全国共通のルールは存在しません。事業所が押さえるべきは、自分の利用者の支給決定を行っている各市町村が、それぞれ何日前からの申請を求めているかです。利用者が複数の市町村にまたがる事業所では、市町村ごとに期限が違う前提で台帳を作る必要があります。
計画相談支援のモニタリングの月と終期月の関係
ここでいうモニタリングは、前節のサービス管理責任者が行う個別支援計画のモニタリングではなく、相談支援専門員が行う計画相談支援のモニタリングです。計画相談支援のモニタリング(継続サービス利用支援)の標準期間は施行規則第6条の16が定めており、就労継続支援B型の利用者で他の号に該当しない方は6月間、65歳以上の方は3月間が標準になります。ただしこれは標準であって、実際の期間は市町村が個別に必要と認める期間として定めます。
事務処理要領は、支給決定の有効期間の終期月に継続サービス利用支援を実施することを前提として、そこからモニタリング期間を勘案して開始月を設定するとしています。終期月には、対象者の状況に応じて、継続サービス利用支援と併せて更新のためのサービス利用支援を実施しますが、報酬はサービス利用支援の報酬のみを算定します。1人の利用者に複数の終期がある場合は、最長の有効期間の終期月にモニタリングを実施することが前提です。
言い換えると、更新の起点は相談支援事業所側のモニタリング月に組み込まれています。事業所としては、担当の相談支援専門員がいつモニタリングに来る予定になっているかを把握しておくと、更新の抜けに気づきやすくなります。
更新が間に合わなかったときの請求
これがいちばん重い論点です。障害者総合支援法第29条第1項は、訓練等給付費・介護給付費を支給する対象を「支給決定の有効期間内において」受けた指定障害福祉サービス等としています。有効期間が切れた翌日以降に提供したサービスは、この条文の対象になりません。
救済の余地がまったくないわけではありません。同法第30条第1項第1号は、第20条第1項の申請をした日から当該支給決定の効力が生じた日の前日までの間に、緊急その他やむを得ない理由により指定障害福祉サービス等を受けたときは、市町村が必要があると認めるときに特例訓練等給付費を支給できると定めています。ただし条件は厳しめです。
| 論点 | 条文上の扱い |
|---|---|
| 対象になる期間 | 更新の支給申請をした日から、支給決定の効力が生じた日の前日まで(法第30条第1項第1号) |
| 支給の可否 | 市町村が「必要があると認めるとき」の裁量。「緊急その他やむを得ない理由」も要件 |
| 請求する人 | 支給決定障害者等本人が申請書を市町村に提出する(施行規則第31条)。事業所からの国保連請求ではない |
注目すべきは、対象期間の起点が「申請をした日」だという点です。申請自体をしていなければ、特例給付が届く期間にすらなりません。更新の書類が全部そろわなくても、まず申請だけは有効期間内に出してもらうことが、事業所の収益を守るうえで決定的に効きます。
事業所側の期限管理に落とす
指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)は、サービス提供事業者に2つの義務を課しています。第14条は、サービスの提供を求められた場合に、本人が提示する受給者証によって支給決定の有無、支給決定の有効期間、支給量等を確かめることとしています。第15条第2項は、支給決定に通常要すべき標準的な期間を考慮し、支給決定の有効期間の終了に伴う支給申請について必要な援助を行わなければならないと定めています。就労継続支援B型には第202条によってこの2条が準用されます。
厚生労働省の解釈通知は、第15条第2項について「利用者の支給決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者が当該事業者のサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたもの」と説明しています。更新の遅れは、利用者の不手際である前に事業所の運営基準上の課題として見られる、ということです。
運営基準から素直に導ける手順は次の3つです。第1に、受給者証の写しを取った時点で、終期月と支給量、負担上限月額を利用者台帳に転記し、終期月でソートできる形にしておくこと。第14条は確認の場面を「サービスの提供を求められた場合」としており、契約時の1回に限る書き方をしていません。第2に、支給決定を行っている市町村ごとに「更新申請は満了の何日前から受け付けるか」を一度だけ問い合わせて記録し、その日数を差し引いた着手月を台帳に持たせること。市町村が違えば期限も違います。第3に、相談支援事業所のモニタリング実施月と終期月がそろっているかを確認し、ずれている利用者は早めに相談支援専門員へ共有すること。指定計画相談支援基準第13条は、相談支援事業者にも支給決定の有効期間の終了に伴う申請についての援助義務を課しています。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
負担上限月額にも別のサイクルがあります。施行規則第7条第3項は、支給決定障害者等は毎年、負担上限月額の認定に必要な書類を市町村に提出しなければならないと定めています(市町村が公簿等で確認できるときは省略可能です)。事務処理要領は、認定した負担上限月額の適用期間を、有効期間が1年以内なら満了日まで、1年を超える場合は翌年(認定した日の属する月が1月から6月の間であれば当該年)の6月30日までとして1年ごとに見直すとしています。受給者証の有効期間が3年でも、上限額の欄は毎年動く可能性があるということです。受給者証の記載事項全体については障害福祉サービス受給者証とはも併せて確認してください。
- 有効期間の上限(就労継続支援)
- 1月間から36月間の範囲内で市町村が定める(施行規則第15条第1項第2号)
- B型の運用上の上限
- 支給決定時に50歳未満の者は1年(事務処理要領 令和8年7月版)
- 更新申請の時期
- 「満了日の何日前まで」という全国一律の定めはなく、市町村が定めて周知する
- 有効期間外に提供したサービス
- 訓練等給付費の支給対象外(法第29条第1項)
- 事業所側の義務
- 受給者証による受給資格の確認と、更新申請への必要な援助(指定基準第14条・第15条第2項)
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
