現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

受給者証をもらうには
市町村への申請から交付までの流れと
事業所が関われる場面

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
結論

障害福祉サービス受給者証は、本人または障害児の保護者が市町村へ支給申請を行い、市町村が支給決定をしたときに交付されます(障害者総合支援法第20条第1項・第22条第8項、2026年8月16日時点の現行法)。就労継続支援B型や就労移行支援などの訓練等給付は障害支援区分の認定を要しないため、医師意見書の徴取と一次判定・二次判定・区分認定の工程を通りません(同法施行令第10条第1項)。

申請から交付までに何日かかるかは法令に定めがなく、市町村が行政手続法上の標準処理期間を各自で定めています。全国一律の日数はないので、事業所は管轄の市町村に確認してください。なお事業所には、支給決定を受けていない人から利用の申込みがあったときに速やかな申請を援助する義務があります。

根拠:厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領・令和8年7月版)」
目次

受給者証は「支給決定」の結果として交付される

障害福祉サービス受給者証は、窓口で申し込めばもらえる証書ではありません。介護給付費等の支給を受けようとする障害者または障害児の保護者が市町村に申請し(障害者総合支援法第20条第1項)、市町村が勘案事項とサービス等利用計画案を踏まえて支給要否決定を行い(同法第22条第1項・第6項)、支給決定をしたときに、支給量その他の事項を記載した受給者証を交付しなければならないと定められています(同法第22条第8項)。つまり受給者証の交付は支給決定に付随する行為であって、独立した手続きではありません。

見学者から「受給者証はどこでもらえますか」と聞かれたときの正確な答えは、居住地の市町村の障害福祉担当課にサービスの支給申請をすると決定の結果として届く、になります。申請の名義人は本人(障害児の場合は保護者)であり、事業所が事業所の名前で申請することはできません。

ただしこれは、申請書を窓口へ持っていく行為まで本人がひとりで行わなければならない、という意味ではありません。事務処理要領は支給申請の代行を、障害者本人の支給申請の意思表示の内容を本人に代わり伝える行為と位置づけ、本人から代行の依頼を受けたものであれば誰であっても可能で、必ずしも書面により依頼されている必要はないとしています(第2 Ⅱ 1(2))。事業所の職員が書類の書き方を一緒に確認したり、本人の依頼を受けて申請書を窓口に届けたりすることは、制度上できます。順序としては本人が申請するかどうかを決めているのが先で、代行はその意思を窓口に伝えるための手段です。誰の名前で何を決めるのかという部分まで事業所が肩代わりするものではありません。

申請から交付までの工程

厚生労働省の事務処理要領(令和8年7月版)は、支給決定の流れを工程ごとに整理しています。訓練等給付か介護給付かで通る工程が変わるため、そこを分けて並べます。

工程行う人根拠訓練等給付(B型・就労移行支援等)の場合
支給申請本人または障害児の保護者 → 市町村法第20条第1項、施行規則第7条同じ
サービス等利用計画案の提出依頼市町村 → 申請者(書面)法第22条第4項、施行規則第12条の3同じ
障害支援区分認定調査・概況調査市町村(指定一般相談支援事業者等に委託可)法第20条第2項・第3項認定調査項目に係る調査は必ずしも要しない。市町村が聞き取り等で心身の状況を把握する
医師意見書の徴取市町村 → 主治医等事務処理要領 第2 Ⅰ 3(5)行わない
一次判定・二次判定・障害支援区分の認定市町村・市町村審査会法第21条第1項行わない
サービス利用意向の聴取市町村 → 申請者事務処理要領 第2 Ⅰ 3(9)行う
サービス等利用計画案の提出指定特定相談支援事業者 → 市町村法第22条第4項行う
支給決定案の作成・支給決定市町村法第22条第1項行う
受給者証の交付市町村 → 本人法第22条第8項行う
サービス等利用計画の作成指定特定相談支援事業者法第5条第23項行う

区分認定を要するのは、介護給付費・特例介護給付費と、共同生活援助に係る訓練等給付費・特例訓練等給付費の支給決定を受けようとする障害者だけです(施行令第10条第1項)。就労継続支援B型、就労移行支援、就労選択支援、就労定着支援、自立訓練、自立生活援助は訓練等給付なので、認定調査から区分認定までの重い工程を通りません。「障害福祉サービスの利用にはすべて区分認定が必要」という説明を見かけますが、これは誤りです。

なお計画案の提出依頼は申請後に直ちに行われますが、介護給付に係るサービスは区分認定を踏まえて計画案を作成する必要があるため、市町村への計画案の提出は区分認定の後になります(相談支援に関するQ&A・令和7年3月18日 問35)。訓練等給付ではこの待ち時間が発生しません。

障害福祉サービスの支給申請から受給者証の交付までの工程は、支給申請(法第20条第1項)とサービス等利用計画案の提出依頼(法第22条第4項)までが共通で、そこから介護給付と訓練等給付に分かれる。介護給付は障害支援区分認定調査・概況調査、医師意見書の徴取、一次判定・二次判定・障害支援区分の認定を通る。就労継続支援B型や就労移行支援などの訓練等給付は、認定調査項目に係る調査は必ずしも要せず市町村が聞き取り等で心身の状況を把握し、医師意見書の徴取と一次判定・二次判定・障害支援区分の認定は行わない(区分認定は不要・施行令第10条第1項)。両方の経路はサービス利用意向の聴取で合流し、サービス等利用計画案の提出、支給決定(法第22条第1項)、受給者証の交付(法第22条第8項)、サービス等利用計画の作成へ進む。所要期間は法令に定めなし。市町村が定める標準処理期間による。
図1支給申請から受給者証交付までの工程と、介護給付・訓練等給付の分岐厚生労働省の事務処理要領(令和8年7月版)と障害者総合支援法をもとに作成

所要期間は市町村ごとに違う

申請から支給決定までに何日かかるかは、法令にも通知にも定めがありません。事務処理要領は更新申請について「制度上、支給決定又は地域相談支援給付決定の有効期間の満了する日の何日前までに更新に係る支給申請をすることは定められていない」としたうえで、市町村が各々の行政手続法上の標準処理期間を念頭に置いて申請時期を周知し、指定一般相談支援事業者・指定特定相談支援事業者・サービス事業所・施設等に対しても、適切な申請援助ができるよう周知を図るよう求めています(第2 Ⅶ)。

裏を返せば、事業所側が管轄市町村の標準処理期間を把握していることが前提とされています。「申請から利用開始まで最大2か月」といった全国共通の数字には法令上の根拠がないので、商圏の市町村ごとに窓口へ確認し、受入計画に反映してください。

支給決定の有効期間も市町村が定めます。施行規則第15条の範囲は、就労継続支援(在職者が一時的に利用する場合を除く)が1月間から36月間まで、就労移行支援(在職者の一時利用と養成施設の場合を除く)が1月間から12月間まで、就労選択支援が1月間又は2月間です。実際の有効期間は、支給決定を行った日からその月の末日までの期間にこの期間を合算したものになります(支給決定日が月の初日の場合はこの期間そのもの)。更新の考え方は受給者証の更新で扱っています。

まだ申請していない見学者に、事業所は何ができるか

ここが経営上いちばん取りこぼしの出る場面です。指定障害福祉サービス基準は、支給決定を受けていない人からの利用の申込みへの対応を、努力義務ではなく義務として定めています。

第15条第1項は、支給決定を受けていない者から利用の申込みがあった場合は、その者の意向を踏まえて速やかに支給の申請が行われるよう必要な援助を行わなければならない、と定めています。条文自体は居宅介護の章に置かれていますが、第93条により生活介護へ、第184条により就労移行支援へ、第202条により就労継続支援B型へ準用されます。第2項では、支給決定に通常要すべき標準的な期間を考慮して、有効期間の終了に伴う支給申請についても必要な援助を行うこととされています。

具体的に取れる行動は次のとおりです。いずれも条文から導ける内容です。

  • 市町村の障害福祉担当課への申請を案内する。申請書には申請者の氏名・居住地・生年月日・個人番号・連絡先や、介護給付費等の受給状況などを記載します(施行規則第7条第1項)。
  • 手帳がないことを理由に断らない。精神障害者については精神障害者保健福祉手帳のほか、精神障害を事由とする年金証書等、特別障害給付金の証明書類、自立支援医療受給者証(精神通院医療)、医師の診断書などでも確認するとされ、これらに限定されないと明記されています。難病等対象者は医師の診断書、特定医療費(指定難病)受給者証、登録者証(指定難病)などです(事務処理要領 第1 Ⅱ 1(3))。
  • 指定特定相談支援事業者につなぐ。計画案を作成するのはこの事業者であり、動かないと支給決定まで進みません。基準第12条は、市町村または一般相談支援事業・特定相談支援事業を行う者が行う連絡調整にできる限り協力することを求めています。
  • 自事業所での受入れが難しいと判断した場合は、適当な他の事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じる(基準第13条)。

窓口へ行くこと自体が負担になっている人には、申請書の提出を手伝う余地もあります。事務処理要領は、支給申請の代行を本人の申請の意思表示を本人に代わって伝える行為とし、本人から依頼を受けたものであれば誰であっても可能としています(第2 Ⅱ 1(2))。委任状を求めるかどうかは市町村の判断だとしたうえで、本人に実際の申請意思があるかどうかは認定調査や勘案事項の聴取りの過程で確認できるため、申請時に一律に委任状の提出を求める必要はないとも書かれています。本人が代理権を授与した場合は代理人として申請でき、成年後見人が選任されている人については成年後見人が本人に代わって申請します(同(3))。

ただし、ここで事業所が担えるのはあくまで本人が決めたことを窓口へ届ける部分です。申請するかどうか、どのサービスを希望するかを事業所側で決めてしまわないよう、本人の意向を確認した記録を残しておいてください。個人番号の扱いにも制限があります。本人に代わって申請書等に個人番号を記載することはできず、本人が記入した申請書を職員が使者として提出する場合は、その職員が番号を見ることのないよう封筒に入れる等の措置をとることとされています(同(2))。

受給者証が届いた後の扱いも基準にあります。サービスの提供を求められたときは提示された受給者証で支給決定の有無・有効期間・支給量等を確かめること(第14条)、契約したときは契約支給量その他の受給者証記載事項を受給者証に記載し市町村に遅滞なく報告すること、契約支給量の総量が支給量を超えてはならないこと(第10条)です。

実務ではこう組めます

見学対応の記録用紙に「申請状況」の欄を設け、未申請・申請済・支給決定済のどれかを必ず埋める運用にしておくと、基準第15条の申請援助が抜けません。未申請だった場合は、管轄市町村の担当課名と地域の指定特定相談支援事業所の候補を書いた紙をその場で渡すところまでを標準手順に含めておくと、援助を行った事実がそのまま記録に残ります。なお相談支援事業所の指定権者は事業所所在地の市町村ですが、利用者は居住市町村以外の市町村が指定した事業所も利用できます(相談支援に関するQ&A・令和7年3月18日 問12)。候補を自市町村内に限る必要はありません。援助した内容を書き残しておくと、実地指導などで対応を尋ねられたときにも説明できます。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

受給者証そのものの記載事項や読み方は障害福祉サービス受給者証とは、交付の条件は受給者証の条件、計画相談支援事業所との連携は計画相談支援で整理しています。

要点の整理
申請先
原則として本人(障害児は保護者)の居住地の市町村。居住地がない、または明らかでないときは現在地の市町村(法第19条第2項)
申請の名義人
支給決定を受けようとする障害者本人、または障害児の保護者(法第20条第1項)。事業所が事業所の名前で申請することはできない
申請の代行
本人から依頼を受けた者であれば誰であっても可能。依頼は必ずしも書面でなくてよい(事務処理要領 第2 Ⅱ 1(2))。代行できるのは本人の意思表示を伝える部分であり、申請するかどうかを決めるのは本人
障害支援区分の認定
介護給付と共同生活援助に係る訓練等給付のみ必要。B型・就労移行支援・就労選択支援・自立訓練などは不要(施行令第10条第1項)
サービス等利用計画案
市町村が指定特定相談支援事業者の作成する計画案の提出を書面で求める(法第22条第4項、施行規則第12条の3)
所要期間
法令に一律の定めなし。市町村が定める標準処理期間による
事業所の義務
支給決定を受けていない人から利用の申込みがあったときは、その意向を踏まえて速やかに申請が行われるよう必要な援助を行う(指定障害福祉サービス基準第15条第1項。B型は第202条で準用)
制度基準日2026.07.01

よくある質問

Q. 受給者証をもらうには障害者手帳が必要ですか。
A. いいえ、障害の種別によっては手帳がなくても申請できます。事務処理要領(令和8年7月版)は、市町村が支給申請を受けた際の対象者確認方法として、身体障害者は身体障害者手帳、知的障害者は療育手帳または知的障害者更生相談所の意見、精神障害者は精神障害者保健福祉手帳のほか精神障害を事由とする年金証書等・特別障害給付金の証明書類・自立支援医療受給者証(精神通院医療)・医師の診断書など(これらに限定されない)、難病等対象者は医師の診断書・特定医療費(指定難病)受給者証・登録者証(指定難病)などを挙げています。手帳を持たない見学者を門前払いする必要はありません。
Q. 事業所が本人に代わって支給申請をすることはできますか。
A. 申請の名義人になることはできませんが、本人から依頼を受けていれば、申請書を窓口に提出する行為を代行することはできます。申請できるのは支給決定を受けようとする障害者本人または障害児の保護者です(障害者総合支援法第20条第1項)。そのうえで事務処理要領(令和8年7月版)は、支給申請の代行を「障害者本人の支給申請の意思表示の内容を本人に代わり伝える行為」と位置づけ、本人から代行の依頼を受けたものであれば誰であっても可能で、必ずしも書面により依頼されている必要はないとしています(第2 Ⅱ 1(2))。代行できるのは本人の意思を窓口に伝える部分であり、申請するかどうかを決めるのは本人です。また指定障害福祉サービス基準第15条第1項は、支給決定を受けていない人から利用の申込みがあった場合に、その意向を踏まえて速やかに申請が行われるよう必要な援助を行うことを事業者に求めています(就労継続支援B型は同基準第202条、就労移行支援は第184条、生活介護は第93条で準用)。窓口の案内や相談支援事業所への橋渡しもこの援助にあたります。
Q. 就労継続支援B型を利用するのに障害支援区分の認定は必要ですか。
A. いいえ、必要ありません。区分認定が必要なのは介護給付費・特例介護給付費と、共同生活援助に係る訓練等給付費・特例訓練等給付費の支給決定を受けようとする障害者に限られます(障害者総合支援法施行令第10条第1項、2026年8月16日時点)。したがってB型では医師意見書の徴取・一次判定・二次判定・区分認定の4工程を行いません。ただし市町村は聞き取り等により障害の程度を含む心身の状況を把握します。
Q. 申請から受給者証の交付まで何日かかりますか。
A. 全国一律の日数は決まっていません。法令にも事務処理要領(令和8年7月版)にも申請から支給決定までの日数の定めはなく、市町村が行政手続法上の標準処理期間を各自で定めています。事務処理要領も、市町村が各々の標準処理期間を念頭に置いて申請時期を周知し、サービス事業所・施設等にも適切な申請援助ができるよう周知するよう求めています。受入計画を立てるときは管轄市町村に実際の期間を確認してください。
Q. 見学に来た人が相談支援事業所とつながっていない場合はどうすればよいですか。
A. 市町村への申請援助と、指定特定相談支援事業者への橋渡しの両方が必要です。サービス等利用計画案を作成するのは指定特定相談支援事業者であり(障害者総合支援法第22条第4項)、相談支援事業所は市町村が通知する計画作成依頼書によって依頼対象者であることを確認します(厚生労働省「相談支援に関するQ&A」令和7年3月18日 問2)。また指定障害福祉サービス基準第12条は、市町村または一般相談支援事業・特定相談支援事業を行う者が行う連絡調整にできる限り協力することを事業者に求めています。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

福祉経営ナビでは、厚生労働省・自治体・WAM NET等の一次情報を確認しながら、現場での経営判断に必要な情報を整理しています。

プロフィールを見る →

自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?

障害福祉 商圏ミニレポート

所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。

その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。

知りたいこと必須複数選択できます

先に開業状況を選んでください。

送信いただいた内容は、レポートの作成とご連絡のためだけに使用します。送信によりプライバシーポリシーに同意したものとみなします。

送信後、2〜3営業日以内にメールでお送りします。