受給者証が交付される条件。
対象となる障害の範囲と、
障害支援区分が要るサービス
障害福祉サービス受給者証は、障害者総合支援法第4条第1項の障害者(または児童福祉法第4条第2項の障害児)に該当し、市町村が支給の要否を決定したうえで交付されます。対象となるのは4類型です。身体障害者福祉法第4条の身体障害者と、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上の人が入ります。精神保健福祉法第5条第1項の精神障害者(発達障害者を含む)のうち18歳以上の人も対象です。政令で定める難病等による障害がある18歳以上の人も含まれます。厚生労働省の事務処理要領は「身体障害者を除き、支給決定又は地域相談支援給付決定を行うに際し、障害者手帳を有することは必須要件ではない」と明記しています。療育手帳や精神障害者保健福祉手帳がなくても、医師の診断書などで確認できれば対象になります。障害支援区分の認定が必要なのは、介護給付と共同生活援助に係る訓練等給付だけです。就労継続支援B型をはじめとする訓練等給付は、区分認定を経ずに支給決定されます(2026年8月16日時点)。
目次
就労継続支援B型の新規相談で、「障害者手帳は持っていないのですが」という切り出しは想定しておきたい入口です。ここで「では対象外ですね」と答えると、本当は受給者証が出る人を追い返すことになります。対象に当たるかどうかと、いつから利用が始まるかは、別の話として扱う必要があります。
僕は埼玉県志木市で就労継続支援B型「ぽちぽちの道」を運営していて、利用者獲得の営業も自分でやっています。だから、この場面の判断は自分の事業所の損得に直結します。この記事は、障害者総合支援法と厚生労働省の事務処理要領を読んで、相談を受ける側の順番に並べ直したものです。
先に答えを書きます。手帳が必須なのは4類型のうち身体障害者だけです。そして就労継続支援B型は、障害支援区分の認定を受けていなくても支給決定されます。
受給者証は、どういう人に交付されるのか
障害者総合支援法第4条第1項の障害者(障害児は児童福祉法第4条第2項)に該当し、市町村の支給決定を受けた人に交付されます。法律の組み立ては二段構えです。まず定義に当てはまるかどうかがあります。次に市町村が支給の要否を決めます。支給決定が行われて初めて、法第22条第8項に基づいて受給者証が交付されます。
この二段を混ぜると、事業所の判断が狂います。前段は、誰を見学に受け入れられるかの話です。後段は、いつから利用が始まるかの話です。問い合わせの電話で見るのは前段だけでいい、というのが僕の考えです。手帳がないという一言で入口を閉じるのは、もったいないと思います。
対象になるのは、どんな障害のある人か
対象になるのは、障害者総合支援法第4条第1項が定める4類型で、いずれも18歳以上が前提です。
| 類型 | 定義の内容 | 年齢要件 |
|---|---|---|
| 身体障害者 | 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者 | 同法の定義上18歳以上 |
| 知的障害者 | 知的障害者福祉法にいう知的障害者 | 18歳以上 |
| 精神障害者 | 精神保健福祉法第5条第1項に規定する精神障害者(発達障害者支援法第2条第2項の発達障害者を含み、知的障害者を除く) | 18歳以上 |
| 難病等対象者 | 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が主務大臣の定める程度である者 | 18歳以上 |
正直に言うと、僕がこの表を最初に読んだときは、条文の引き写しにしか見えませんでした。実務で効くのは、表に載らない診断名をどう扱うかです。厚生労働省の事務処理要領は、高次脳機能障害を「器質性精神障害として精神障害に分類されるもの」と整理しています。精神障害者であることが確認できれば給付の対象になる、という書き方です。診断名から対象かどうかを判断しにくいときに、根拠として使える一文だと思っています。
障害者手帳がないと、対象外なのか
手帳が必須なのは身体障害者だけで、知的障害・精神障害・難病等は手帳がなくても支給決定や地域相談支援給付決定の対象になります。事務処理要領は、4類型を並べた直後にこう書いています。「身体障害者を除き、支給決定又は地域相談支援給付決定を行うに際し、障害者手帳を有することは必須要件ではない」。
身体障害者だけは手帳が前提になります。身体障害者福祉法第4条が身体障害者を「別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」と定義しているためです。定義そのものに手帳が組み込まれています。一方、精神保健福祉法第5条第1項の精神障害者の定義に手帳は登場しません。知的障害者福祉法には知的障害者の定義規定自体がないので、条文をたどる限り、手帳で線を引いているのは身体障害者だけです。
市町村が実際に確認する書類は、要領が類型ごとに示しています。
| 類型 | 確認する書類・方法 |
|---|---|
| 身体障害者 | 身体障害者手帳 |
| 知的障害者 | 療育手帳。ない場合は市町村が必要に応じて知的障害者更生相談所に意見を求めて確認 |
| 精神障害者 | 精神障害者保健福祉手帳/精神障害を事由とする年金の証書等/同じく特別障害給付金の証明書類/自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る)/医師の診断書 など(これらに限定されない) |
| 難病等対象者 | 医師の診断書、特定医療費(指定難病)受給者証、登録者証(指定難病)、指定難病に罹患していることが記載されている難病医療費助成の却下通知 など |
要領は続けて「各種援助措置を受けやすくする観点から、できる限り障害者手帳の取得を勧奨することが望ましい」とも述べています。必須ではないが取得は勧める、という二段の書き方です。僕はこれを、案内の順番の話として読んでいます。先に、手帳がなくても申請はできると伝える。そのうえで、取得しておくと各種援助を受けやすくなる、と足す。順番が逆になると、相談は手帳の話で止まります。
うちはIT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型で、利用者は精神・発達障害のある方が中心です。精神障害の類型なら、要領のとおり市町村が年金証書や医師の診断書でも確認できます。最初の電話で手帳の有無から聞く意味は薄い、と思っています。
なお、この表に出てくる自立支援医療受給者証や特定医療費(指定難病)受給者証は、障害福祉サービス受給者証とは別の制度の証票です。障害福祉サービス受給者証のほうは、支給決定を受けた人に交付されます。名前が似ているので、相談の場では取り違えが起きやすいところです。
難病のある人は、対象になるのか
政令で定める難病等による障害の程度が主務大臣の定める程度である18歳以上の人が対象で、対象疾病は令和7年(2025年)4月1日から376疾病です。難病等が対象に加わったのは平成25年4月でした。対象疾病は施行令第1条に基づく告示で定められています。2026年8月16日時点で、令和7年4月1日からの376疾病より新しい見直しは公表されていません。障害の程度は厚生労働省告示第7号に書かれています。「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける程度」です。
厚生労働省の周知用リーフレットは「対象となる方は、障害者手帳をお持ちでなくても、必要と認められた支援が受けられます」と書いています。あわせて「訓練系・就労系サービス等は障害支援区分の認定を受ける必要はありません」とも注記しています。就労系のサービスを運営している側からすると、この2行はそのまま案内に使えます。
気をつけたいのは疾病名の一覧です。載っているのは代表的な名称だけで、内含する疾病名までは書かれていません。一覧に見当たらないからといって、事業所の側で対象外と決めないほうがいいと思います。個別の病名は市町村の担当窓口が判断するので、そこは窓口に回すのが安全です。
障害支援区分の認定は、どのサービスで要るのか
障害支援区分の認定が必要なのは、介護給付費・特例介護給付費と、共同生活援助に係る訓練等給付費・特例訓練等給付費の支給決定を受けようとする障害者だけです。根拠は障害者総合支援法施行令第10条第1項です。法第28条の給付の区分と突き合わせると、線引きは次のようになります。
| 給付の種類 | サービス | 障害支援区分の認定 |
|---|---|---|
| 介護給付 | 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援 | 必要(同行援護は区分3以上支援加算の決定が不要な場合を除く) |
| 訓練等給付 | 共同生活援助 | 入浴、排せつ又は食事等の介護を伴う場合は必要 |
| 訓練等給付 | 自立訓練、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助 | 不要 |
| 地域相談支援給付 | 地域移行支援、地域定着支援 | 不要 |
就労継続支援B型は区分認定が不要です。訓練等給付であり、共同生活援助でもないからです。介護給付の生活介護と並べると、性格の違いがはっきりします。生活介護は「障害支援区分が区分3(障害者支援施設に入所する場合は区分4)以上である者」を対象者に据えていて、区分そのものが利用要件です。B型の対象者要件は区分ではありません。就労経験や年齢、就労選択支援によるアセスメントの側で組まれています。
ただし、区分認定が不要であることと、市町村が何も調べないことは別です。要領はまず「障害者等の身体障害者手帳や療育手帳、精神保健福祉手帳等に記載されている障害の状況又は疾病名のみに着目するのではなく」と書いています。続けて「障害があるがゆえに日常生活を営むのに支障をきたしている状況等を含めて勘案する必要がある」としています。そのうえで、認定調査の調査項目を活用した本人・家族・相談支援専門員からの聞き取りを求めています。区分は出なくても、市町村は心身の状況を把握するという設計です。
新規の相談で手帳の有無を最初に聞くと、対象になる人を入口で落とします。就労継続支援B型の問い合わせなら、先に確認するのは市町村に支給申請をしているかどうかです。次に、相談支援事業所が決まっているかを聞きます。手帳はその後で足ります。
手帳がない場合の道筋も、要領を根拠に案内できます。精神障害なら自立支援医療受給者証や医師の診断書です。難病等なら特定医療費(指定難病)受給者証などで市町村が確認します。
区分認定が不要なサービスでも、市町村は認定調査の調査項目を使った聞き取りで心身の状況を把握します。見学や体験で気づいた生活面の状況をメモに残しておくと、相談支援専門員がサービス等利用計画案を組むときの材料になります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
18歳未満の人や、介護保険が使える人はどうなるのか
18歳未満は障害児として児童福祉法第4条第2項の定義によりますが、15歳以上18歳未満は、障害者のみを対象とするサービスの利用が適当と児童相談所長が認めて市町村長に通知した場合に障害者とみなされます。要領は障害児について「必ずしも身体障害者手帳、療育手帳及び精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている必要はない」と念を押しています。年齢等を考慮して、必ずしも診断名がなくても障害が想定され支援の必要性が認められればよい、という整理です。難病等による障害の児童の場合だけは、医師の診断書等が必要です。
障害者のみを対象とするサービスを、15歳以上18歳未満の児童が使う場面もあります。根拠は児童福祉法附則第63条の2および第63条の3です。児童相談所長が利用を適当と認めて市町村長に通知した場合、その児童は障害者とみなされます。手続も障害者の側に沿って支給決定が行われます。この扱いでは、申請者は保護者ではなく本人になります。実務では見落としやすいところです。
もう一つ、法第7条が自立支援給付の他制度優先を定めています。同じ障害の状態について介護保険法の給付など政令で定める給付を受けられるときは、その限度で自立支援給付は行われません。65歳前後の相談では、ここが論点になります。事業所だけで結論を出せる話ではないので、市町村と相談支援専門員に早めに入ってもらうのが安全だと思っています。
条件を一言でまとめます。対象は法第4条第1項の4類型です。手帳が必須なのは身体障害者だけです。区分認定が必要なのは、介護給付と介護を伴う共同生活援助だけです。
結局、手帳の有無で入口を閉じないことが一番大事だと思っています。対象かどうかを決めるのは市町村であって、事業所ではありません。事業所にできるのは、断る前に申請の入口まで案内することです。そこで一人断ってしまうと、その人の選択肢も、事業所の側の機会も同時になくなります。
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受給者証そのものの読み方と、申請から更新までの流れは別の記事にまとめています。
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- 障害福祉サービス受給者証とは … 証票のどの面を事業所が読むか
- 受給者証をもらうまで … 申請から交付までの流れ
- 受給者証の更新 … 有効期間と更新の実務
区分ではなく就労経験や年齢で対象者を決めているのが、就労系サービスの特徴です。
- 就労選択支援の対象者 … B型の利用手前で挟まるアセスメント
- 対象となる障害の範囲
- 身体障害者/18歳以上の知的障害者/18歳以上の精神障害者(発達障害者を含む)/18歳以上の難病等対象者(障害者総合支援法第4条第1項)
- 手帳が必須なのは
- 身体障害者のみ。身体障害者福祉法第4条が「都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」と定義しているため
- 手帳がない場合の確認書類
- 知的障害は知的障害者更生相談所の意見、精神障害は年金証書・自立支援医療受給者証(精神通院医療)・医師の診断書など、難病等は医師の診断書・特定医療費(指定難病)受給者証など
- 難病等の範囲
- 令和7年(2025年)4月1日から376疾病。障害の程度は「継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける程度」
- 障害支援区分の認定が必要
- 介護給付費・特例介護給付費・訓練等給付費(共同生活援助に係るものに限る)・特例訓練等給付費(同)の支給決定(障害者総合支援法施行令第10条第1項)
- 障害支援区分の認定が不要
- 就労継続支援B型・就労移行支援・就労選択支援・就労定着支援・自立訓練・自立生活援助(共同生活援助のうち入浴・排せつ・食事等の介護を伴わない場合も不要)
- 交付の根拠
- 障害者総合支援法第22条第8項。市町村は支給決定を行ったときに受給者証を交付しなければならない
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
