処遇改善加算の計算方法
総単位数×加算率の構造を
就労継続支援B型の数字で追う
福祉・介護職員等処遇改善加算の額は、1月当たりの総単位数に加算率を乗じて計算します。総単位数は、基本サービス費に各種加算減算を加えた合計です。この合計から処遇改善加算だけを除きます。乗じる加算率は、加算区分とサービス類型ごとに定められています。就労継続支援B型の場合、令和8年6月以降は加算Ⅰイ10.5%、Ⅰロ10.9%、Ⅱイ10.3%、Ⅱロ10.7%、Ⅲ8.8%、Ⅳ7.4%です。根拠は令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号で、令和8年6月1日から適用されています。
令和8年4月・5月は改正前の率が適用されます。加算Ⅰ9.3%、Ⅱ9.1%、Ⅲ7.6%、Ⅳ6.2%になります。年度の加算額を見込むときは、この2か月分と6月以降の10か月分を分けて計算します。
- 計算式
- 1月当たりの総単位数(処遇改善加算を除く)× 加算率
- B型の加算率(令和8年6月以降)
- Ⅰイ10.5%/Ⅰロ10.9%/Ⅱイ10.3%/Ⅱロ10.7%/Ⅲ8.8%/Ⅳ7.4%
- B型の加算率(令和8年4月・5月)
- Ⅰ9.3%/Ⅱ9.1%/Ⅲ7.6%/Ⅳ6.2%
- 端数処理
- 単位数は小数点以下を四捨五入、金額換算時の1円未満は切り捨て
- 入金時期
- サービス提供月の報酬は国保連の審査を経て通常2か月後に振り込まれる
目次
加算額は1月当たりの総単位数に加算率を乗じて決まる
処遇改善加算の額は、職員数や賃金表から積み上げて決めるものではありません。決め方は国の事務処理手順通知にあります。加算の単位数は「サービス別の基本サービス費に各種加算減算(処遇改善加算を除く。)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分及びサービス類型別の加算率を乗じた単位数を算定する」と定められています。
告示では加算率が1000分のいくつという形で書かれています。就労継続支援B型の加算Ⅰイは「1から16の4までにより算定した単位数の1000分の105に相当する単位数」です。「1から16の4まで」は、基本サービス費から処遇改善加算の直前までの項目を指します。処遇改善加算そのものは対象に入りません。加算に加算を重ねる構造にはなっていないということです。
乗じる対象になる総単位数には、その月に算定した加算も減算もすべて反映させます。自治体が独自に設定している加算も同じです。国のQ&Aは、処遇改善加算の算定における障害福祉サービス等報酬総単位数に含める取扱いだとしています。稼働率が落ちて基本報酬が下がった月は、処遇改善加算も同じ割合で下がります。加算額が毎月一定にならないのは、この構造によるものです。
端数の扱いも決まっています。留意事項通知は次のように定めています。処遇改善加算は、基本報酬および各種加算を算定した単位数の合計に加算の割合を乗じて算定します。乗じて得た単位数は小数点以下を四捨五入します。単位数から金額に換算する際に生じる1円未満は切り捨てます。
加算率はサービス種別ごとに違う
加算率は、サービスごとの常勤換算職員数に基づいて設定されています。居宅介護などの訪問系では40%を超える率が設定されています。これに対して就労継続支援B型は10%前後にとどまります。同じ加算区分を取っても、サービスが違えば入ってくる額の水準はまったく違います。
就労継続支援B型の加算率は次のとおりです。令和8年度は期中改定の年にあたるため、4月・5月と6月以降で率が変わります。
| 加算区分 | 就労継続支援B型 | 障害者支援施設が行う就労継続支援B型 |
|---|---|---|
| Ⅰ(令和8年4月・5月) | 9.3% | 10.4% |
| Ⅱ(令和8年4月・5月) | 9.1% | 設定なし |
| Ⅲ(令和8年4月・5月) | 7.6% | 8.6% |
| Ⅳ(令和8年4月・5月) | 6.2% | 6.9% |
| Ⅰイ(令和8年6月以降) | 10.5% | 11.6% |
| Ⅰロ(令和8年6月以降) | 10.9% | 12.0% |
| Ⅱイ(令和8年6月以降) | 10.3% | 設定なし |
| Ⅱロ(令和8年6月以降) | 10.7% | 設定なし |
| Ⅲ(令和8年6月以降) | 8.8% | 9.8% |
| Ⅳ(令和8年6月以降) | 7.4% | 8.1% |
ⅠイとⅠロ、ⅡイとⅡロの差はいずれも0.4ポイントです。生産性向上や協働化の取組を満たして上乗せ区分のロを取ると、この0.4ポイント分が上乗せされます。区分ごとの要件は処遇改善加算の区分の違いで扱います。
B型の数字で1か月分を計算する
以下は計算の手順を示すための仮の前提で、国が示した数値ではありません。1か月の総単位数(処遇改善加算を除く)を250,000単位、地域区分はその他地域とします。就労継続支援の1単位の単価は、その他地域では10円に1000分の1000を乗じた10円です。一級地では1000分の1114を乗じるため11.14円になります。
| 加算区分 | 加算率 | 加算単位数 | 加算額(その他地域) |
|---|---|---|---|
| Ⅰイ | 10.5% | 26,250単位 | 262,500円 |
| Ⅰロ | 10.9% | 27,250単位 | 272,500円 |
| Ⅱイ | 10.3% | 25,750単位 | 257,500円 |
| Ⅱロ | 10.7% | 26,750単位 | 267,500円 |
| Ⅲ | 8.8% | 22,000単位 | 220,000円 |
| Ⅳ | 7.4% | 18,500単位 | 185,000円 |
| (参考)令和8年4月・5月のⅠ | 9.3% | 23,250単位 | 232,500円 |
同じ総単位数でも、加算Ⅰイと加算Ⅳでは月77,500円の差が出ます。令和8年4月・5月の加算Ⅰと6月以降の加算Ⅰイを比べると、月30,000円の増加になります。この増加分の扱いが、あとで賃金改善の話につながります。
年度の合計は月数を分けて出す
処遇改善計画書の個票(別紙様式2-2、2-3)は、(a×b×c)で加算額の見込額を出す構成になっています。(a)は1か月あたりの障害福祉サービス等報酬総額(処遇改善加算を除く)です。(b)が加算率、(c)が算定対象月にあたります。様式は4月・5月用と6月以降用に分かれています。算定対象月は通常、前者が令和8年4月から5月、後者が令和8年6月から令和9年3月とされています。
先ほどの前提だと(a)は2,500,000円です。加算Ⅰ・Ⅰイを算定した場合の年度合計は次のように出ます。
| 期間 | 計算 | 加算額の見込額 |
|---|---|---|
| 令和8年4月・5月(2か月) | 2,500,000円 × 9.3% × 2 | 465,000円 |
| 令和8年6月〜令和9年3月(10か月) | 2,500,000円 × 10.5% × 10 | 2,625,000円 |
| 令和8年度合計 | ― | 3,090,000円 |
計画書には令和7年度と比較して増加する加算額の見込額を書く欄もあります。加算率が上がった6月以降の分がここに反映されます。
入金額の読み方
加算額がそのまま満額振り込まれるとは限りません。加算額は障害福祉サービス等報酬の一部です。利用者負担が生じる利用者の分については、その負担分を控除した額が給付費として支払われます。訓練等給付費の額は、算定基準による費用額の合計から一定額を控除して得た額とされています。控除するのは、利用者の負担能力に応じて政令で定める額(費用額の1割を上限とする額)です。根拠は障害者総合支援法第29条第3項です。
入金の時期も押さえておく必要があります。6月サービス提供分の報酬は、7月の国保連の審査を経て8月に事業所へ振り込まれます。これは、6月に算定する加算の配分について国のQ&Aが示している説明です。加算率が上がるのは6月サービス提供分からなので、増えた加算が口座に反映されるのは8月になります。
賃金改善の支給時期は、算定対象月と同一である必要はありません。事業者は次の3つから任意に選べます。
- 当月に見込額で支払う方法
- 翌月に支払う方法
- 入金される翌々月に支払う方法
加算額と賃金改善所要額の関係
計算した加算額は、そのまま賃金改善の所要額になります。事業者は、加算の算定額に相当する職員の賃金改善を実施しなければなりません。この賃金には基本給・手当・賞与等が含まれます。賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分も算入できます。実績報告で賃金改善額が加算額を下回った場合は返還の対象になります。不足分を賞与等の一時金として追加配分すれば、返還を求めない取扱いも示されています。
加算額のうち一定額は、配分先の形が指定されています。月額賃金改善要件は、加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることを求めています。加算Ⅳ以外の区分を算定する場合も、基準の考え方は同じです。仮に加算Ⅳを算定したときに見込まれる加算額の2分の1以上になります。先ほどの前提なら、加算Ⅳ相当額は月185,000円です。その2分の1にあたる月92,500円分を、基本給または毎月決まって支払われる手当で改善している状態が必要です。
令和7年度と比べて増加した加算額には、別の扱いがあります。過去の賃金改善の実績に関わらず、新規に賃金改善を実施しなければなりません。その新規分はベースアップで行うことが基本とされています。加算率の引上げによる増加分もここに含まれます。配分の考え方は加算の配分ルールで詳しく扱います。
加算額の見込みは、直近月の請求データを出発点に置くと説明しやすくなります。処遇改善加算の単位数を差し引いた総単位数を、計画書の(a)欄を埋める際の根拠にすると再現しやすくなります。実績のある数字に加算率を掛ける形なので、後から根拠を尋ねられても同じ数字を再現できます。
令和8年度は4月・5月と6月以降で加算率が違うため、年間見込みは2本立てで計算する必要があります。1年分をまとめて新しい率で計算すると、4月・5月分を過大に見積もることになります。
月々の加算額は稼働率で動きます。実績報告で賃金改善額が加算額を下回ると返還になります。加算額の実績を毎月記録し、年度後半に一時金で調整できる余地を残しておく運用が安全です。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
関連する記事は次のとおりです。
- 令和8年度の処遇改善加算 … 令和8年度改定の全体像
- 処遇改善加算の要件 … 算定要件の整理
事業所数も定員も、都道府県でかなり違います。全国の就労継続支援B型は20,783事業所で、前回の公表から+874事業所でした(WAM NET 2026年3月31日時点)。自分の県の事業所数・定員・平均工賃は都道府県別データで確認できます。
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