社会福祉施設等施設整備費補助金
B型の開設・改修で使える
国と都道府県の負担と協議の流れ
社会福祉施設等施設整備費補助金は、障害福祉サービス事業所の建物の整備費を国と自治体が分担する制度です。負担割合は国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/4、設置者1/4です(厚生労働省の令和7年3月の障害保健福祉関係主管課長会議資料。令和7年度予算案時点の記載)。設置者には社会福祉法人だけでなくNPO法人や営利法人も含まれるため、株式会社立の就労継続支援B型事業所も対象になり得ます。土地の買収と整地に要する費用は補助対象外です。
事業者が国に直接申請する制度ではありません。設置者が都道府県等に事業計画書を提出し、都道府県等が国に国庫補助協議を行う2段階の構造です。事業計画書の提出時期は「建設予定年度の前年度の早い時期」とされ、原文に月の指定はありません。都道府県等から国への協議書提出は3月中、地方厚生(支)局のヒアリングは4月中です。内示の公表は令和7年度が令和7年6月30日、令和8年度が令和8年7月2日でした。協議額が予算額を超えた場合は、自治体が申請時に付した優先順位を踏まえて予算の範囲内で採択されます。
- 負担割合(令和7年度予算案時点)
- 国1/2・都道府県/指定都市/中核市1/4・設置者1/4。土地の買収と整地に要する費用は補助対象外
- 設置者になれる法人
- 社会福祉法人・医療法人・日本赤十字社・公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人・特例民法法人・NPO法人・営利法人等
- 窓口
- 都道府県・指定都市・中核市。事業者が国に直接申請する制度ではない
- 事業計画書の提出時期
- 建設予定年度の前年度の早い時期(原文に月の指定なし。締切は自治体ごと)
- 内示の公表日
- 令和7年度は令和7年6月30日、令和8年度は令和8年7月2日。いずれも一般整備分と国土強靱化対策分の2本立て
- 整備の区分
- 創設・増築・改築・大規模修繕等の4区分(令和7年度予算案時点)
目次
制度の骨格
社会福祉施設等施設整備費補助金は、障害福祉サービス事業所の建物の整備費を国と自治体が分担する制度です。
実施しているのは厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課)です。対象施設には、障害者総合支援法第5条に基づく障害福祉サービス事業所等が含まれます。就労継続支援B型の事業所も、この「社会福祉施設等」の中に入ります。
事業者が国に直接申請する制度ではありません。窓口は都道府県・指定都市・中核市です。設置者が都道府県等に事業計画書を出し、都道府県等が審査します。そのうえで都道府県等が厚生労働省(地方厚生(支)局)に国庫補助協議を行います。この2段階の構造が、公募に直接応募する補助金といちばん違うところです。
国庫補助を受けるには、各都道府県・指定都市・中核市・市町村の障害福祉計画に合致することが条件です。障害福祉関係の施設整備費については、令和5年度行政事業レビューの指摘を踏まえた運用が入りました。都道府県等が設置する外部有識者等を含む審査会等の合議制の審査を経て、国庫補助協議の対象施設を選定することとされています。優先順位の指標等の決定プロセスが確認できる書類の提出も必要です。
対象になる施設と設置者の範囲
設置者には社会福祉法人だけでなく、NPO法人や営利法人も含まれます。
厚生労働省の令和7年3月の会議資料は、57ページの脚注で対象となる設置者を列挙しています。挙がっているのは次の法人です。
- 社会福祉法人、医療法人、日本赤十字社
- 公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、特例民法法人
- NPO法人、営利法人等
株式会社を排除する記載はありません。株式会社立のB型事業所も、この補助金の設置者になり得ます。なお社会福祉法人を新たに設立して施設経営を始める場合は、所轄庁である都道府県・指定都市・中核市から設立認可を受けることが必要です。
一方で、この補助金は利用者や職員の個人に届く制度ではありません。補助を受けるのは施設を整備する法人です。立場ごとに整理すると次のようになります。
| 立場 | この補助金の対象になるか | 理由 |
|---|---|---|
| B型の利用者 | ならない | 補助の相手は設置者である法人。利用者個人への給付ではない |
| A型の利用者 | ならない | 同じ理由。雇用契約の有無は補助のスキームに関係しない |
| 事業所の職員 | ならない | 補助対象は建築資金・設備整備費等であり、人件費への補助ではない |
この3行は、制度の一次情報が利用者や職員を名指しで除外しているという意味ではありません。補助の相手が施設の設置者であることと、補助対象経費が施設整備費であることを合わせると、こうなります。
補助率と負担割合
負担割合は国1/2、都道府県・指定都市・中核市1/4、設置者1/4です。
| 負担者 | 割合 | 時点 |
|---|---|---|
| 国 | 1/2 | 令和6年度予算・令和7年度予算案 |
| 都道府県・指定都市・中核市 | 1/4 | 令和6年度予算・令和7年度予算案 |
| 設置者(法人) | 1/4 | 令和6年度予算・令和7年度予算案 |
補助対象経費には除外があります。土地の買収と整地の費用は対象外と明記されています。アスベストの除去等に要する費用は補助対象です。
整備の区分は4つに分かれます。
| 区分 | 内容(令和7年度予算案時点) |
|---|---|
| 創設 | 新たに施設を整備する |
| 増築 | 既存施設の定員増員のために整備する |
| 改築 | 一部改築・耐震化等整備を含む |
| 大規模修繕等 | 老朽化した施設の改修や利用者ニーズに合わせた改修等 |
大規模修繕等の対象事業には例示があります。施設の一部改修、附帯設備の改造、冷暖房設備の設置等、施設の模様替、介護用リフト等特殊附帯工事などです。消防法や建築基準法等の関係法令の改正により、新たに規定に適合させるために必要となった改修も挙がっています。「生産設備近代化整備等」という項目もあり、生産活動用の設備更新にも読める文言です。ただし公式資料に、B型の生産設備という直接の事例明記はありません。
1施設あたりの補助額は補助基準単価で決まります。令和7年度の補助基準単価は、資材費・労務費の動向等を踏まえて前年度比4.7%増の改定が予定されていました。単価表の絶対額は一次情報で確認できていないため、本記事では金額を示しません。
1年度あたりの予算規模も資料に出ています。令和6年度予算額が45億円、令和7年度予算案が50.4億円です。令和7年度は令和6年度補正予算額102億円と一体で編成され、国土強靱化分等を含め108.0億円として一体的に執行することとされています。
開設資金の組み立てシート(施設整備費補助金・WAM融資・自己資金)
総事業費から補助額と自己負担額を出し、協議から内示までの年度スケジュールと突き合わせられるようにしています。
資料を見る →協議から内示までの年度スケジュール
事業計画書の提出は建設予定年度の前年度の早い時期で、内示の公表は年度が明けた6月末から7月初めでした。
| 工程 | 動く主体 | 時期 |
|---|---|---|
| 事業計画書の提出・審査 | 設置者 → 都道府県等 | 建設予定年度の前年度の早い時期 |
| 事前の協議額調査 | 厚生労働本省 → 地方自治体 | 3月上旬 |
| 国庫補助協議書の提出 | 地方自治体 → 地方厚生(支)局 | 3月中 |
| 都道府県・市ヒアリング | 地方厚生(支)局 | 4月中 |
| 内示の公表 | 厚生労働省 | 令和7年度は令和7年6月30日、令和8年度は令和8年7月2日 |
3月上旬から4月中までの日程は、令和7年度予算案に係る国庫補助協議のスケジュールとして示されたものです。
事業計画書には、建設計画・資金計画・土地の確保の状況等を明らかにすることが求められます。時期は「建設予定年度の前年度の早い時期」とだけ書かれています。何月という指定は原文になく、締切は都道府県等ごとに置かれます。
協議額が予算額を超えた場合の扱いも決まっています。協議額が予算額を大幅に上回ることは例年見込まれており、超えた場合は各自治体が申請時に付した優先順位を踏まえて、予算の範囲内で採択されます。都道府県等の審査を通ることと、国の内示を受けることは別だと考えておく必要があります。
交付決定後の辞退も課題になっています。挙げられている理由は、法人負担分の資金確保が困難になった、用地の取得が困難になった、入札不調で工期が遅延した、といったものです。このため都道府県市は、協議対象施設を選ぶ段階で資金計画・工期等を厳格に審査し、交付決定後も進捗を確認することとされています。
前年度の協議に間に合わせるには、都道府県との詰めを逆算して組むことになります。
都道府県等が国に協議書を出すのが3月中です。事業計画書の審査はそれより前に終わっている必要があります。まず都道府県の障害福祉担当課に、事業計画書の締切と審査会の開催時期を確認するところから始めることになります。
次に固めるのが、土地の確保の状況と資金計画です。設置者負担の1/4をどこから出すかは、融資の相談状況まで含めて先に決めておくことになります。交付決定後の辞退理由として資金確保と用地取得が挙がっているため、審査でもここが見られます。
もう一つ確認しておくのが、自治体の障害福祉計画との整合です。国庫補助の条件が計画への合致なので、計画の中に整備の枠が残っているかどうかで、協議の土俵に乗れるかが変わります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
内示の実績
就労継続支援B型は、施設種別として単独で内示を受けた実績があります。
令和7年度の内示は2本立てで公表されました。うち防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策分(令和7年6月30日付)を見ます。施設種別ごとの表に「就労継続支援B型」が単独のカテゴリとして立っています。同じ表には生活介護・自立訓練・多機能型・共同生活援助・障害者支援施設も並んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年度・区分 | 令和7年度 国土強靱化5か年加速化対策分(令和7年6月30日付) |
| 施設種別 | 就労継続支援B型 |
| 内示 | 宮城県に1か所・55,824千円(約5,582万円。1か所あたりの内示額) |
令和8年度分の内示は、一般整備分と国土強靱化対策分が令和8年7月2日に公表されました。障害福祉分野の内示総額と件数は、公表PDFの本文まで読み込めていないため本記事では示しません。
公式資料に「B型の開設費がいくらだった」という金額付きの事例は載っていません。上の1か所は、B型が現に内示の対象になっているという事実を示すものです。
自己負担分をどう用意するか
設置者負担の1/4は、自己資金のほかに独立行政法人福祉医療機構(WAM)の福祉貸付で調達できます。
補助金側の資料にも、設置者負担分について福祉医療機構から低利の融資を受けることができると書かれています。WAM側の資料にも対応する記載があります。融資限度額を計算するときは「法的・制度的補助金」を所要額から差し引きます。その例として、社会福祉施設等施設整備費補助金(都道府県等の負担分を含む)が挙がっています。補助で埋まらない部分を融資で見るという組み合わせが、両方の資料で想定されています。
融資率の優遇も用意されています。対象は、この国庫補助金の交付が行われる障害福祉サービス事業所・障害者支援施設の整備事業です。融資率が通常の80%から85%に引き上げられます。取扱期間は2027年3月31日までです。
関連する記事を挙げます。
- 就労継続支援B型に「国からの補助金」はあるのか 開設・設備投資・雇用で使える制度の全体像
- 就労継続支援B型事業所の収支構造を分解する 開設後の収入と費用の見取り図
確認できていないこと
この記事で書けなかったことが4つあります。いずれも自治体や国に直接確認する必要がある部分です。
- 補助基準単価の絶対額。1施設あたり・1定員あたりの円建ての単価表には到達できていません
- 交付決定の時期。内示の公表日は確認できましたが、交付決定がいつ出るかは確認できていません
- 交付決定前の着工の可否。自治体の紹介ページには内示前の着手は補助対象外という説明が見られます。交付要綱の条文そのものは確認できていません
- 事業計画書提出の具体的な月。「前年度の早い時期」より細かい記載は原文にありません
窓口はいずれも都道府県・指定都市・中核市の障害福祉担当課です。実際の日程と金額は、整備を予定する年度ごとに自治体へ確認してください。
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
