計画相談支援事業所から
紹介がまわる事業所の共通点と
日常でできること
相談支援専門員が紹介先を選ぶときの土台になっているのは、指定計画相談支援基準が定める公正中立の原則と、地域の事業所情報を利用者へ適正に提供する義務です(2026年8月16日時点の現行制度)。事業所側にできるのは、正確な事業所情報を公表しておくこと、サービス担当者会議に出て情報を持ち帰ってもらうこと、個別支援計画を相談支援事業所へ交付する義務を確実に果たすことです。金品を渡して紹介を得る行為は、相談支援事業者側の収受も事業所側の供与も省令が明確に禁じています。
目次
相談支援専門員は何を基準に紹介先を選んでいるのか
計画相談支援事業所(指定特定相談支援事業者)は、利用者の希望や好みだけで事業所を選んでいるわけではありません。省令が方針を決めています。
指定計画相談支援基準の第2条は、事業の基本方針として、福祉サービス等が「多様な事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われる」こと(第3項)、そして「特定の種類又は特定の障害福祉サービス事業を行う者に不当に偏ることのないよう、公正中立に行われる」こと(第4項)を定めています。特定の1事業所に集中させない義務が、はじめから相談支援側にかかっています。
そのうえで、同基準の第15条第2項第4号が具体的な行為を求めています。相談支援専門員はサービス等利用計画の作成を始めるにあたり、利用者によるサービスの選択に資するよう、その地域の指定障害福祉サービス事業者等に関するサービスの内容や利用料等の情報を、利用者や家族に適正に提供しなければなりません。第8号では、アセスメントに基づき、地域におけるサービスの提供体制を勘案して最も適切な組み合わせを検討することとされています。
つまり相談支援専門員は、地域の事業所の内容を説明する立場に立たされています。説明できない事業所は、選択肢の一覧に並びません。ここが利用者獲得の実務としての出発点になります。
見返りは制度上、明確に禁止されている
同基準の第26条は「障害福祉サービス事業者等からの利益収受等の禁止」という見出しの条文です。第2項は相談支援専門員が利用者へ特定事業者のサービスを利用すべき旨の指示等を行うことを、第3項は、計画の作成・変更に関し、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として、その事業者から金品その他の財産上の利益を収受することを禁じています。
渡す側も無関係ではありません。指定障害福祉サービス基準第38条は、利用者を紹介してもらうことの対償として事業者が金品その他の財産上の利益を供与することも禁じており、就労継続支援B型は第202条でこの規定を準用しています。受け取る側と渡す側の双方にそれぞれの指定基準で禁止がかかっているため、関係づくりの手段としては最初から使えません。使えるのは、制度が「やりなさい」と書いている連携の方です。
事業所側にも連携の義務が置かれている
見落とされがちですが、サービス提供事業所の側にも連携に関する規定があります。就労継続支援B型では、指定障害福祉サービス基準第202条が、第9条から第17条までと第57条から第60条までを含む多くの規定を準用しています。
| 事業所側の規定 | 内容 |
|---|---|
| 第12条(連絡調整に対する協力) | 市町村または一般相談支援事業・特定相談支援事業を行う者が行う連絡調整に、できる限り協力する |
| 第15条第2項(申請に係る援助) | 支給決定の有効期間の終了に伴う支給申請について、必要な援助を行う |
| 第16条(心身の状況等の把握) | 利用者の心身の状況、環境、他の保健医療・福祉サービスの利用状況等の把握に努める |
| 第17条(事業者等との連携等) | 地域および家庭との結び付きを重視し、市町村や他の事業者等との密接な連携に努める |
| 第58条第8項(計画の交付) | 個別支援計画を作成した際、利用者および指定特定相談支援事業者等に交付する |
| 第59条第1号(サビ管の責務) | 利用申込者について、他の事業者等への照会等により心身の状況や利用状況を把握する |
第58条第8項の交付義務は、B型では「就労継続支援B型計画」と読み替えて適用されます。計画を変更した場合も第2項から第8項までが準用されるため(同条第11項)、変更のたびに交付が必要です。ここを止めると、相談支援専門員は自分の作った計画がどう動いているのかを書面で確認できなくなります。交付を確実に回している事業所は、それだけで相手の業務を軽くしています(個別支援計画の書き方)。
サービス担当者会議での姿勢
サービス担当者会議は、相談支援専門員が利用者と担当者を招集して開く会議です(同基準第15条第2項第12号)。この場で相談支援専門員は、計画案の内容を説明し、担当者から専門的な見地からの意見を求めなければならないとされています。テレビ電話装置等を活用して行うことも認められています。
厚生労働省の「相談支援に関するQ&A」(令和7年3月18日)問7は、全担当者の参加が困難な場合は主要な担当者の参加を求めて開催し、その他の担当者は事前に個別に意見調整を行って当日共有する扱いで差し支えないとしています。出られない回があっても、事前に文書で意見を出しておけば会議は前に進みます。
なお、モニタリングの実施時に担当者会議を開いた場合、相談支援事業所はサービス担当者会議実施加算(1月につき100単位。利用者1人につき1月に1回が限度)を算定できます。事業所側が開く会議への参加を相談支援専門員に求め、その会議で関係機関相互の連絡調整が行われた場合も、相談支援側は集中支援加算(1月につき300単位。同じく利用者1人につき1月に1回が限度。ただし基本報酬などを算定する月は算定できません)を算定できます。相手の時間を使う依頼だという前提で、日程と目的を先に固めて持ちかけるのが現実的です。
相談支援事業所とのやり取りは、担当者ごとの記憶ではなく事務手順として置いておくと崩れません。個別支援計画を作成・変更したら交付日を控えて記録に残す、担当者会議の案内が来たら出欠と代替の意見提出をその場で返す、この2つは省令とQ&Aから直接導ける最低限の段取りです。
会議で利用者や家族の個人情報を扱う場合、相談支援事業者はあらかじめ文書で本人等の同意を得ておく必要があります(指定計画相談支援基準第22条第3項)。同意の範囲を超える情報を求められた場合は、その場で確認を挟むほうが安全です。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
計画相談支援のモニタリングの機会に何を渡すか
以下でモニタリングというのは、相談支援専門員が行う計画相談支援のモニタリングのことです。事業所のサービス管理責任者が行う個別支援計画のモニタリング(指定基準第58条第9項・第10項)とは、根拠条文も担い手も別のものです。継続サービス利用支援(モニタリング)では、相談支援専門員は主務省令で定める期間ごとに利用者の居宅等を訪問して面接し、結果を記録しなければなりません(同基準第15条第3項第2号)。通所先の事業所を訪問しただけではモニタリングとして認められません。Q&A問6は、事業所等の一時的な滞在場所のみを訪問して面接した場合は適切に行われたものと認められないとしつつ、居宅訪問に加えて事業所で面接することは差し支えないとしています。
つまり、事業所での様子が相談支援専門員に届く経路は限られています。提供現場を訪問する加算の仕組みはありますが、日常的には、通所状況や体調の変化、作業内容の変更といった事実を、モニタリング月の前に文書で渡しておくほうが確実です。モニタリング期間の考え方は計画相談支援の仕組み、計画の構造はサービス等利用計画で整理しています。
就労継続支援B型・就労移行支援を提供している場合は、もう一つ接点があります。同基準第15条第3項第6号は、モニタリングの結果等を踏まえて就労選択支援の利用が必要と認められるときは、相談支援専門員が就労移行支援または就労継続支援の事業者と連携し、就労選択支援に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとしています。制度上、事業所と相談支援専門員が並んで判断する場面です(就労選択支援の全体像)。
情報公表を放置しない
最後に、最初の接点の話です。障害者総合支援法第76条の3は、指定障害福祉サービス事業者等を「対象事業者」とし、サービスの提供を開始しようとするときその他主務省令で定めるときに、事業所情報を所在地の都道府県知事へ報告することを義務づけています。都道府県知事は報告の内容を公表しなければならず、報告をしない場合や虚偽の報告をした場合には報告や是正を命ずることができ、命令に従わないときは指定の取消し等の対象になります。
公表された内容は、WAM NETの障害福祉サービス等情報公表システムで、地域・住所・法人名・事業所名・事業所番号から検索できます。相談支援専門員が地域の事業所を調べる入口の一つです。提供するサービスや対応できる障害種別といった基本情報が古いままだと、選択肢に挙がる前の段階で外れます。
なお、空き人数のような日々変動する情報をどう共有するかについては、法令や国の通知に定めがありません。地域の自立支援協議会や相談支援事業所の運用によるため、指定権者や地域の相談支援事業所に確認してください。制度としてできるのは、公表情報を正確に保ち、担当者会議と計画の交付を止めないところまでです。それを続けている事業所が、結果として相談支援専門員に説明してもらえる事業所になります。
- 相談支援側の原則
- 特定の事業者に不当に偏らず公正中立に行う(指定計画相談支援基準 第2条第4項)
- 情報提供の義務
- 計画作成の開始に当たり、地域の事業者のサービス内容・利用料等を利用者へ適正に提供(同 第15条第2項第4号)
- 事業所側の交付義務
- 個別支援計画を利用者と指定特定相談支援事業者等に交付(指定障害福祉サービス基準 第58条第8項。B型は第202条で準用)
- 連携への協力
- 市町村や特定相談支援事業者が行う連絡調整にできる限り協力(同 第12条。B型は第202条で準用)
- 禁止されていること
- 利用や紹介の対償としての金品その他の財産上の利益の収受・供与(指定計画相談支援基準 第26条第3項、指定障害福祉サービス基準 第38条)
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
