個別支援計画とは?
運営基準が定める作成の手順と
原案に書くべき記載事項
個別支援計画は、サービス管理責任者が定められた手順で作成する書面です。作成業務を担当させるのは管理者です。手順は条文の順に決まっています。まず利用者に面接してアセスメントを行い、原案を作成し、個別支援会議を開きます。会議には利用者本人も加わります。次に原案を説明し、文書により利用者の同意を得ます。完成した計画は、利用者と相談支援事業者に交付します。
作成後の見直しは、就労継続支援B型では少なくとも6か月に1回以上です。就労移行支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、自立生活援助は少なくとも3か月に1回以上になります。準用を定めた条文が第58条第9項の「六月」を「三月」に読み替えているためです。2026年4月1日時点の制度で、令和8年度報酬改定でこの手続は変更されていません。
この一連の業務のどれかが欠けていると、個別支援計画未作成減算の対象になります。計画書そのものが存在していても同じです。
- 作成する人
- サービス管理責任者(管理者が担当させる/省令第58条第1項)
- アセスメント
- 利用者に面接して行う(第58条第4項)
- 同意の方法
- 利用者又は家族に説明し、文書により利用者の同意を得る(第7項)
- 交付先
- 利用者及び指定特定相談支援事業者等(第8項)
- 見直しの頻度
- 就労継続支援B型は少なくとも6か月に1回以上(第9項)。就労移行支援・自立訓練・自立生活援助は準用時の読み替えで少なくとも3か月に1回以上
- 未作成減算
- 3か月未満は所定単位数の100分の70、3か月以上は100分の50
- 保存期間
- サービスを提供した日から5年間(第75条第2項第1号)
目次
個別支援計画は運営基準に根拠がある書面
個別支援計画の作成義務は、指定障害福祉サービスの人員・設備・運営基準にあります。定めているのは平成18年厚生労働省令第171号です。就労継続支援B型の場合、第202条が第57条と第58条を準用しています。条文中の「療養介護計画」を「就労継続支援B型計画」と読み替えて適用します。療養介護について書かれた条文が、そのままB型に効いているという構造です。
事業者は、個別支援計画に基づいて支援を行わなければなりません。提供が漫然かつ画一的なものにならないよう配慮することも求められています。第57条の定めです。計画は監査のために作る書面ではなく、日々の支援の根拠として位置づけられています。
計画の作成に関する業務は、管理者がサービス管理責任者に担当させるものとされています。根拠は第58条第1項です。書くのはサービス管理責任者です。ただし、誰に担当させ、どう体制を組むかを決める責任は管理者と事業者の側にあります。
作成の手順は条文の順番で決まっている
手順は、第58条が第1項から第11項まで順番に並べています。事業所が自由に省略できる項目はありません。
| 手順 | 根拠 | 外せない点 |
|---|---|---|
| アセスメント | 第2項・第4項 | 能力、環境、日常生活全般の状況を評価して希望と課題を把握する。利用者に面接して行い、面接の趣旨を説明して理解を得る |
| 意思決定への配慮 | 第3項 | 自ら意思を決定することが困難な場合は、意思、選好、判断能力等を丁寧に把握する |
| 原案の作成 | 第5項 | 事業所以外の保健医療サービスや福祉サービスとの連携も原案に位置付けるよう努める |
| 個別支援会議 | 第6項 | 利用者と、支援に当たる担当者等を招集して開催する。テレビ電話装置等の活用も可 |
| 説明と同意 | 第7項 | 原案を利用者又は家族に説明し、文書により利用者の同意を得る |
| 交付 | 第8項 | 利用者と指定特定相談支援事業者等に交付する |
| モニタリングと見直し | 第9項・第10項 | 就労継続支援B型は少なくとも6か月に1回以上見直す。就労移行支援や自立訓練は準用時の読み替えで3か月に1回以上。定期的な面接と、モニタリング結果の記録を行う |
会議に利用者本人を招集することが条文に明記されたのは令和6年度報酬改定です。基準解釈通知は、個別支援会議を原則として利用者が同席して行うものとしています。例外は、病状により同席自体が極めて困難な場合などやむを得ない場合に限られます。このときはテレビ電話装置の活用等で意向を確認して差し支えないと説明しています。
同じ解釈通知は、サービス管理責任者にさらに二つのことを求めています。一つは、相談支援事業者の作成したサービス等利用計画を踏まえて原案を作ることです。もう一つは、サービス担当者会議に参加して情報を共有することです。個別支援計画は事業所の中だけで完結する書面ではありません。
見直しの周期はサービスによって6月と3月に分かれる
見直しの周期は、すべてのサービスで同じではありません。第58条第9項は「少なくとも六月に一回以上」と定めています。ただし準用を定めた条文の側で、「六月」を「三月」に読み替えているサービスがあります。
| 見直しの周期 | サービスと準用の根拠 |
|---|---|
| 少なくとも6月に1回以上 | 療養介護(第58条)、生活介護(第93条)、就労継続支援A型(第197条)、就労継続支援B型(第202条)、基準該当就労継続支援B型(第206条)、就労定着支援(第206条の12)、共同生活援助(第213条)、日中サービス支援型共同生活援助(第213条の11)、外部サービス利用型共同生活援助(第213条の22) |
| 少なくとも3月に1回以上 | 自立訓練(機能訓練)(第162条)、自立訓練(生活訓練)(第171条)、就労移行支援(第184条)、自立生活援助(第206条の20) |
読み替えは条文にそのまま書かれています。たとえば就労移行支援の第184条には、次の一文が入っています。「第五十八条中「療養介護計画」とあるのは「就労移行支援計画」と、同条第九項中「六月」とあるのは「三月」と」。宿泊型自立訓練は指定自立訓練(生活訓練)の一形態なので、第171条の読み替えがそのまま及びます。
注意が必要なのは多機能型です。就労継続支援B型と就労移行支援を併設していると、同じ様式で計画を作っていても、見直しの期限は別々に走ります。就労移行支援の側を6か月の感覚で回すと、期限を過ぎてしまいます。その利用者について個別支援計画未作成減算の該当事由に当たる可能性があります。
なお、国の資料の側に食い違いもあります。厚生労働省の運営指導マニュアル別添「確認項目及び確認文書」です。自立訓練や就労移行支援の欄でも「少なくとも6か月に1回以上見直しを行っているか」と記載しており、省令の読み替えと合っていません。上位にあるのは省令なので、3か月側のサービスは3か月で運用しておくのが安全です。運用の確認方法に迷う場合は指定権者に確認してください。
原案に書く5つの項目
原案に書く記載事項は次の5つです。挙げているのは第5項です。
- 利用者及びその家族の生活に対する意向
- 総合的な支援の方針
- 生活全般の質を向上させるための課題
- サービスの目標及びその達成時期
- サービスを提供する上での留意事項
この5つが揃っていない原案は、条文の求める原案になっていません。国が定めた統一様式は、省令にも告示にも通知にも見当たりませんでした。自治体が様式例や記載要領を示している場合があります。指定権者の公表資料を確認してください。書き方の具体例は個別支援計画の書き方で扱います。
計画を変更するときも、第2項から第8項までが準用されます。第11項の定めです。目標を一つ変えるだけでも、アセスメントから文書同意、交付までを踏み直す必要があります。
手順が欠けると減算になる
留意事項通知は、個別支援計画未作成減算の該当事由を二つ挙げています。一つは、サービス管理責任者の指揮の下で計画が作成されていないことです。もう一つは、指定基準に規定する一連の業務が適切に行われていないことです。計画書が綴じてあっても、後者に当たる場合があります。面接によるアセスメントや個別支援会議、文書同意、交付のどれかが抜けているときです。
| 期間 | 算定される単位数 |
|---|---|
| 減算が適用される月から3か月未満 | 所定単位数の100分の70 |
| 減算が適用される月から連続して3か月以上 | 所定単位数の100分の50 |
この所定単位数は、各種加算がなされる前の単位数です。加算を含めた合計に乗じるものではありません。減算は該当する利用者ごとに適用されます。期間は該当する月から、状態が解消された月の前月までです。都道府県知事は遵守するよう指導するものとされています。指導に従わない場合は、特別な事情がある場合を除き指定の取消しを検討するとされています。日々の運営としては見過ごされがちですが、行政処分に直結する項目です。
個別支援計画は、サービスを提供した日から5年間の保存が義務づけられています(第75条第2項第1号)。同意を得た文書や会議記録は、第75条の列挙には入っていません。それでも計画と併せて保存しておくのが安全です。一連の業務を行ったことを示せるのは、これらの書類だからです。
見直しの期限は利用者ごとに違います。同意日と交付日を利用者名簿に記録しておきます。そこにサービスごとの周期を足した月が、次の見直し期限です。周期は就労継続支援B型なら6か月、就労移行支援や自立訓練なら3か月です。一覧にしておくと、期限が近い利用者から会議日程を押さえられます。多機能型の場合は、名簿にサービスの列を設けて先に分け、それから期限を計算する組み方があります。同じ様式で計画を作っていても周期は別々に走ります。一覧の上でも分けておくほうが数え間違いを防げます。
会議の記録に残す項目は、出席者、利用者本人の同席の有無、本人が述べた意向の3つを先に決めておきます。そうしておくと、あとから一連の業務を行ったことを示しやすくなります。本人が同席できなかった場合は、その理由と、どの方法で意向を確認したかも書き添えます。そこまで残すと、記録として筋が通ります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
就労選択支援には個別支援計画がない
令和7年10月に始まった就労選択支援は、個別支援計画の作成を不要としています。サービス管理責任者の配置も求めない設計です。多機能型で就労選択支援を追加するときも、他のサービスと同じ感覚で計画作成の体制を積む必要はありません。制度の全体像は就労選択支援とはで解説しています。
指定基準は、都道府県や市の条例に委任されています。そのため記録の保存期間の起算点など、細部が国の省令と異なる場合があります。実際の運用は指定権者の条例と要綱で確認してください。
関連する記事を挙げます。
- 個別支援計画のモニタリング … 見直しの進め方
- サービス管理責任者の資格要件 … 作成を担う人の要件
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
