小規模事業者持続化補助金は
B型で使えるか
法人格の壁と経費の壁が二重にある
小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の第20回公募要領(第8版)には、「補助対象にならない者」の一覧があります。社会福祉法人・医療法人・一般社団法人・一般財団法人はここに挙がっています。社会福祉法人立のB型事業所は、この時点で対象外です。株式会社・合同会社立であれば、法人格の要件はクリアできます。NPO法人は、法人税法上の収益事業を行い確定申告書を提出できること、認定NPO法人でないことの両方を満たす場合に限り対象になります。
法人格の要件をクリアしても、もう一段の壁があります。公募要領は補助対象外経費の例として、「就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費」を名指ししています。利用者募集の広報費がこれに当たるかどうかは、公募要領にも参考資料にも例示がありません。第20回の申請受付締切は2026年12月15日17時です。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年12月4日で、申請受付締切より前に来ます。
- 第一の壁(法人格)
- 社会福祉法人・医療法人・一般社団法人・一般財団法人・公益社団法人・公益財団法人は「補助対象にならない者」に明記。株式会社・合同会社等の営利法人は対象になりうる(第20回公募要領)
- 第二の壁(経費)
- 「就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費」が補助対象外経費として名指し。法人格の可否とは別に適用される
- 補助上限額(第20回)
- 1事業者あたり50万円。インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方を満たすと+200万円で最大250万円
- 補助率(第20回)
- 2/3。賃金引上げ特例のうち直近1期または直近1年間の課税所得が0以下の事業者は3/4
- 広報費・ウェブサイト関連費の上限
- それぞれ補助金交付申請額の上限30万円(税込)。どちらもその区分だけでの申請はできない
- 第20回の締切
- 申請受付締切は2026年12月15日17時。事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年12月4日で、締切後の発行依頼は不可
目次
壁は二段階ある
B型で持続化補助金を検討するときは、法人格の壁と経費の壁を別々に越える必要があります。
制度の正式名称は小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>です。実施主体は中小企業庁です。同じ持続化補助金の中に<創業型>や<共同・協業型>なども並んでいますが、この記事は<一般型 通常枠>だけを扱います。
壁は公募要領の別々の章に立っています。1つ目は補助対象者の章で、法人格によって申請そのものができない事業者が決まります。2つ目は補助対象外経費の章で、障害福祉サービス事業と重複する経費が名指しされています。
| 壁 | 第20回公募要領の該当箇所 | 何が決まるか |
|---|---|---|
| 第一の壁:法人格 | 2.補助対象者の範囲(P.4〜5) | 申請できる法人格かどうか |
| 第二の壁:経費 | 7.(4)補助対象外となる経費(P.18〜19) | 計上できる経費かどうか |
順番が大事です。法人格の壁で止まれば、経費の議論に進む必要はありません。
第一の壁は法人格
社会福祉法人・医療法人・一般社団法人は、公募要領の「補助対象にならない者」に名指しされています。
補助対象者の範囲には、対象になりうる者と対象にならない者が並べて書かれています。社会福祉法人は後者にあります。条件を満たせば対象になるという扱いではなく、一律の除外です。
| 法人格 | 第20回公募要領での扱い |
|---|---|
| 株式会社・合同会社等の営利法人 | 補助対象となりうる者に明記 |
| 特定非営利活動法人(NPO法人) | 2つの条件を両方満たす場合に限り対象 |
| 社会福祉法人 | 補助対象にならない者に明記 |
| 医療法人 | 補助対象にならない者に明記(医師個人は対象になりうる) |
| 一般社団法人・公益社団法人 | 補助対象にならない者に明記 |
| 一般財団法人・公益財団法人 | 補助対象にならない者に明記 |
| 協同組合等の組合 | 補助対象にならない者に明記(企業組合・協業組合を除く) |
NPO法人の2つの条件は次のとおりです。法人税法上の収益事業を行い、確定申告書を提出できること。認定特定非営利活動法人でないこと。この場合の従業員数の区分は「その他(製造業その他、20人以下)」を使います。
法人格の要件を満たしたら、次は小規模事業者かどうかを見ます。判定は常時使用する従業員の数で行い、区分は業種で分かれます。サービス業は常時使用する従業員5人以下です。この「常時使用する従業員」は、解雇の予告が必要な労働者を基準にした定義です(労働基準法第20条)。役員・同居の親族従業員・日雇労働者・試用期間中の者などは含まれません。
この定義を、B型の利用者・A型の利用者・職員の3者に当てはめると次のようになります。公募要領はA型・B型の利用者を名指ししていません。表の判定は、定義と雇用契約の有無を組み合わせた帰結です。
| 立場(2026年・第20回) | 雇用契約 | 「常時使用する従業員」に入るか |
|---|---|---|
| B型の利用者 | 結ばない(工賃を受け取る利用契約) | 入らないと考えられる(帰結) |
| A型の利用者 | 結ぶ(雇用契約に基づく労働者) | 常勤であれば入りうる(帰結) |
| 事業所の職員(支援員・サビ管等) | 結ぶ(通常の雇用契約) | 入る。役員・同居の親族従業員は除く |
B型の利用者が20人いても、職員の数だけで小規模事業者に当たる場合があります。ただし判定の材料は職員の雇用形態なので、契約期間や労働時間によって結論は変わります。
第二の壁は経費
公募要領は、就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費を対象外に挙げています。
この一文は補助対象外となる経費の章にあります。位置づけは「国が助成する他の制度を利用している事業と重複する経費」の具体例です。同じ欄には、デイサービス・介護タクシーなど介護報酬が適用されるサービスが並びます。薬局・整骨院など保険適用診療にかかる経費も並んでいます。国の給付で賄われている部分に補助金を重ねない、という考え方です。
この壁は法人格と無関係に立ちます。株式会社立のB型が補助対象者の要件をすべて満たしても、経費のこの除外は別に適用されます。
ただし線引きは公表されていません。公募要領44ページのうち、就労継続支援という語が出てくるのはこの1か所だけです。訓練等給付費で賄われる範囲だけを指すのか、利用者募集の広報のような周辺の経費まで含むのかを説明した記述はありません。第20回の参考資料とよくあるご質問は、2026年8月23日時点で事務局サイト上「準備中」と表示されています。
したがって、利用者募集の広報費が使えるとも使えないとも断定できません。この記事でも断定しません。
上限額と補助率
補助上限は1事業者あたり50万円で、2つの特例を両方満たすと最大250万円になります。
| 区分(令和8年度・第20回) | 補助上限額(1事業者あたり) | 補助率 |
|---|---|---|
| 基本 | 50万円 | 2/3 |
| インボイス特例を満たす | 100万円(50万円+50万円) | 2/3 |
| 賃金引上げ特例を満たす | 200万円(50万円+150万円) | 2/3。課税所得が0以下なら3/4 |
| 両方を満たす | 250万円(50万円+200万円) | 2/3。課税所得が0以下なら3/4 |
補助率が3/4になるのは、賃金引上げ特例のうち業績が赤字の事業者です。赤字の判定は、直近1期または直近1年間の課税所得金額が0以下かどうかで行います。
特例には強い条件が付いています。補助事業終了時点で要件を満たさない場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。上限を上げる目的だけで特例に手を出す形は取れません。
賃金引上げ特例の要件は、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増やすことです。比較するのは、連続する12か月と前年同月の12か月です。期間は2027年4月1日から補助事業実施期限日(2028年3月31日)までの中に置きます。給与支給総額には給料・賃金・残業代・賞与が入ります。福利厚生費・法定福利費・退職金は入りません。代表者・役員・専従者は数に入れず、パートタイム従業員は正社員の就業時間に換算します。
インボイス特例は、補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていることが前提です。そのうえで、次のどちらかに当たる必要があります。
- 2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間に、一度でも免税事業者だったこと
- 2023年10月1日以降に創業した事業者であること
設備投資の補助金 比較表(障害福祉版)
持続化補助金を含む5つの設備投資の補助金について、法人格ごとの対象可否と対象外の経費を横並びにしています。
資料を見る →対象になる経費とならない経費
補助対象経費は8区分に限られ、広報費とウェブサイト関連費にはそれぞれ30万円の上限があります。
8区分は次のとおりです。これ以外の経費は対象になりません。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費(オンライン含む)
- 旅費
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
B型の販路開拓で使いやすい区分には、それぞれ条件が付いています。
| 経費区分 | 第20回公募要領で置かれている条件 |
|---|---|
| 広報費 | 補助金交付申請額の上限は30万円(税込)。この区分だけでの申請はできない |
| ウェブサイト関連費 | 補助金交付申請額の上限は30万円(税込)。この区分だけでの申請はできない。50万円(税抜)以上で作成・更新する場合は原則5年間の処分制限 |
| 機械装置等費 | 単価50万円(税抜)以上は処分制限財産。発注総額が1件あたり50万円(税込)超なら2者以上の見積が必要 |
| 委託・外注費 | 50万円(税抜)以上の外注工事等は処分制限財産 |
対象外になる経費は3つの型で整理されています。
- 国が助成する他の制度を利用している事業と重複する経費(障害福祉サービス事業と重複する経費はここに入る)
- 通常の事業活動に係る経費(仕入、老朽化した既存機械の取替え等)
- 販売や有償レンタルを目的とした製品・商品等の生産・調達に係る経費
加えて、交付決定より前の発注・契約・購入・支払いは、いかなる理由があっても補助対象外です。前払いも含みます。例外は展示会等出展の申込みだけで、申込みは交付決定前でも認められます。
広報費では求人広告も対象外に挙がっています。単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費という扱いで、宣伝文句のない会社案内パンフレットも同じ欄にあります。ここでいう求人広告は、職員の採用広告を指す規定です。利用者募集はサービス利用契約の勧誘なので、性質が異なります。ただし利用者募集が前章の重複除外に当たるかどうかを、この規定から判断することはできません。
第20回の日程と事業支援計画書
第20回の申請受付締切は2026年12月15日17時で、事業支援計画書の発行受付締切はその11日前です。
| 手続き(令和8年度・第20回) | 期日 |
|---|---|
| 公募要領(第8版)の公開 | 2026年7月21日 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日 |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日17時 |
| 採択発表予定 | 2027年3月頃 |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限日 | 2028年3月31日 |
表の期日にはいずれも、予定は変更する場合があるとの注記が付いています。
事業支援計画書は商工会・商工会議所が発行します。発行締切が申請締切より前に来ます。締切後の発行依頼は、いかなる理由でもできません。補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合も発行されません。法人格の壁に当たる法人は、この段階で止まることになります。
申請は電子申請システムでのみ受け付けます。郵送は一切できません。GビズIDプライムのアカウントが必須で、未取得なら事前登録から始めることになります。支援を頼む相手にIDとパスワードを渡す行為は、利用規約違反として禁止されています。
採択された後にも期限があります。見積書等を2028年2月29日までに提出しないと、採択が取り消されます。補助事業の終了後には、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出義務もあります。なお第21回の日程は、2026年8月23日時点で公表されていません。
それでも残る使いどころ
法人格が営利法人で、補助事業を生産活動の販路開拓に絞るなら、検討する余地は残ります。
この補助金の目的は、小規模事業者が取り組む販路開拓等の経費を補助することです。B型の中核業務は訓練等給付費で運営されています。そこから離れた生産活動側の販路開拓であれば、目的とかみ合う余地があります。
一方で、公募要領には障害福祉サービス事業所を対象とした活用事例も、想定業種としての明記もありません。公式の例示がないまま判断する場面が残ります。線引きの読めない経費を計画の中心に置く形は避けることになります。
申請書の作成を外部に頼む場合の扱いも先に確認しておくことになります。持続化補助金は中小企業庁の予算事業で、申請書の作成・提出を代行できる者に資格の制限はありません。ただし事業計画の検討で第三者の支援を受けた場合、相手方と支援金額を様式2に記載する義務があります。着手金・成功報酬も記載の対象で、記載しなければ虚偽報告として不採択・交付決定取消の対象になります。
生産活動の販路開拓で申請するなら、事業計画に書く対象を先に切り分けることになります。
まず、訓練等給付費で賄っている支援そのものと、生産活動で作る製品や受注する仕事を、収支の上で分けて把握します。この補助金の目的は販路開拓なので、計画に書くのは後者の売り先を増やす取組になります。
次に、その取組で買うものを経費区分に当てはめます。製品を作る機械なら機械装置等費、受注先に見せるカタログやサイトなら広報費・ウェブサイト関連費という並びです。ここで利用者を集めるための広報を混ぜると、判断が難しくなります。障害福祉サービス事業と重複する経費に当たるかどうかを、公式の例示がないまま自分で決めることになります。
そのうえで、商工会・商工会議所に事業支援計画書の発行を依頼する順番になります。窓口は補助対象者の要件も見るので、法人格と経費の切り分けを説明できる状態にしてから持ち込むことになります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
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よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
