現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

就労継続支援B型の仕事の取り方を
障害者優先調達推進法と
国の調達実績から整理する

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

就労継続支援B型は、障害者優先調達推進法(平成24年法律第50号、平成25年4月1日施行)の対象です。この法律は、国・独立行政法人等に優先的な調達の努力義務を、地方公共団体に受注機会を増やす措置の努力義務を課しています。各省庁等は毎年度調達方針を作成し、年度終了後に実績を公表します。

共同受注窓口は、複数の事業所への発注をあっせん・仲介する窓口です。法律の条文には登場せず、位置づけを定めているのは閣議決定の基本方針です。窓口を通した調達も、結果的に事業所が供給する物品・役務の調達になっていれば、直接調達に準じて実績に数えられます。窓口を活用した支援は、都道府県が実施主体の工賃向上計画支援事業のメニューとして用意されています。

法律名
国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)
施行日
平成25年4月1日
対象
障害者就労施設等(就労継続支援を行う施設等を含む。条文上A型・B型の区別なし)
国の調達実績(令和6年度)
6,763件・1,496,515千円
都道府県の調達実績(令和6年度)
28,612件・3,140,158千円
共同受注窓口の位置づけ
法律の条文には無い。閣議決定の基本方針が、発注のあっせん・仲介を行う窓口として説明している
窓口経由の調達の扱い
基本方針上、結果的に事業所が供給する物品・役務の調達になっていれば、直接調達に準じて実績に算入される
都道府県の支援事業
工賃向上計画支援事業(実施主体は都道府県。費用は都道府県が支弁し、国が補助する)
制度基準日2026.06.01
根拠:厚生労働省「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」及び「障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針」(平成25年4月23日閣議決定)
目次

障害者優先調達推進法とは

障害者優先調達推進法は、国・独立行政法人等に優先的な調達の努力義務を、地方公共団体に受注機会を増やす措置の努力義務を課す法律です。

正式名称は「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」(平成24年法律第50号)です。平成25年4月1日に施行されました。

法律が対象とする「障害者就労施設等」には、就労継続支援を行う事業所が含まれます。条文はA型とB型を区別せず、「就労継続支援を行う事業」とだけ規定しています。就労継続支援B型も、この法律の対象です。

国及び独立行政法人等には、優先的な調達に努める責務があります(第3条)。地方公共団体にも、その区域の就労・就業の実態に応じて、受注機会を増やす措置を講じる努力義務があります(第4条)。

国等の調達方針と、調達の実績

各省庁等は毎年度、この法律の基本方針に沿って調達方針を作成し、年度終了後に実績を公表します。

法律は、各省各庁の長及び独立行政法人等の長に、毎年度の調達方針の作成(第6条)と、年度終了後の実績の公表・厚生労働大臣への通知(第7条)を求めています。都道府県・市町村・地方独立行政法人にも、調達方針の作成と実績公表の義務があります(第9条)。

令和6年度の調達実績は、区分ごとに次の通りです。

区分件数調達額
国(各省庁合計)6,763件1,496,515千円
独立行政法人等8,472件1,984,685,583円
都道府県28,612件3,140,158千円
市町村107,014件17,608,887,545円
地方独立行政法人2,323件407,710,420円

厚生労働省がこの5区分をまとめた「全国計」として公表した数値は確認できませんでした。5区分の令和6年度実績を単純に合算すると、153,184件・24,637,956,548円(約246億3,796万円)になります。編集部が5つの資料を足し合わせた参考値です。

調達額は、区分によって傾向が異なります。都道府県分は、令和5年度の28,691件・3,629,027千円から、令和6年度の28,612件・3,140,158千円へと、件数・金額とも減少しています。増加基調が確認できるのは、国の区分だけです。国の実績は、平成25年度の5,875件・850,575千円から、令和6年度の6,763件・1,496,515千円まで、概ね増加基調で推移しています。

共同受注窓口の位置づけ

共同受注窓口は、受注内容に対応できる複数の事業所への発注をあっせん・仲介する窓口です。ただし、この機能を定めているのは法律の条文ではありません。

障害者優先調達推進法の第1条から第11条、附則までを確認しても、「共同受注窓口」という語は登場しません。共同受注窓口の位置づけを定めているのは、法律第5条に基づいて閣議決定された基本方針です。

基本方針は、共同受注窓口を「物品等の調達を障害者就労施設等にあっせんし又は国等と障害者就労施設等との間の物品等の調達を仲介する等の業務を行う」窓口と説明しています。位置づけを定めるのは法律ではなく基本方針という点が、この仕組みを理解する起点です。

関連する実務資料
計算シート

平均工賃月額 計算シート

前年度の実績から平均工賃月額を出し、就労継続支援B型サービス費のどの区分になるかを確かめる記入用シートです。

資料を見る →

窓口を通した調達も実績に数えられる

基本方針は、共同受注窓口を通した調達も、事業所からの直接調達に準じて扱うと定めています。

契約上の相手が共同受注窓口であっても、結果的に障害者就労施設等が供給する物品・役務の調達になっている場合は、直接の調達に準じた扱いです。厚生労働大臣は、各省各庁の長及び独立行政法人等の長から通知された実績を取りまとめて公表しますが、この実績には共同受注窓口との契約による調達も含まれます。

窓口を経由した受注は、事業所単独での直接受注が難しい場合の選択肢になります。国の調達実績にも算入される点は、発注側・受注側の双方にとって、窓口を使う理由になります。

都道府県の工賃向上計画支援事業という後ろ盾

共同受注窓口を活用した支援は、都道府県が実施主体となる「工賃向上計画支援事業」のメニューの1つです。

この事業の実施主体は都道府県です。費用は都道府県が支弁し、国が補助します。事業には基本事業と特別事業があります。このうち共同受注窓口に関わるメニューは次の通りです。

区分事業名内容
基本事業共同受注窓口を活用した品質向上支援事業専門家の派遣等による技術指導、利用者の作業効率向上支援等
特別事業共同受注窓口による情報提供体制構築等事業自治体・事業所・民間企業等が参画する協議会の設置、発注拡大の連絡調整等

対象事業所には、就労継続支援B型事業所が含まれます。A型事業所・生活介護事業所(生産活動を行っている場合)・地域活動支援センターは、工賃向上計画を作成し、積極的な取組を行っており、工賃の向上に意欲的に取り組むと都道府県が認めた場合に対象となります。

自分の事業所が最初にやること(国の資料で裏が取れる範囲だけ)

最初にやることは、自事業所が法律上の対象か確認し、都道府県の案内と支援事業の有無を確かめることです。

  • 自事業所が「障害者就労施設等」に該当するか確認する。就労継続支援B型は、A型と区別なく対象に含まれます
  • 厚生労働省の都道府県別ページから、自都道府県の案内・受注支援ページを確認する
  • 都道府県の担当課に、工賃向上計画支援事業(共同受注窓口の活用支援・情報提供体制構築)を実施しているか確認する
  • 官公庁・独立行政法人等のホームページで、一般競争契約の情報や調達計画が公表されていないか確認する
実務ではこう組めます

公的機関からの受注をめざすなら、まず自事業所が供給できる物品・役務を棚卸ししておくと動きやすくなります。国等は毎年度、調達方針を作成し、年度終了後に実績を公表する仕組みになっています。何を、どれだけ、いつまでに供給できるかを先に整理しておくと、後段の窓口への相談がしやすくなります。

次に、都道府県が実施する工賃向上計画支援事業の枠組みを使って、共同受注窓口との接点をつくります。この事業は都道府県が実施主体で、共同受注窓口を活用した品質向上支援や情報提供体制の構築がメニューに含まれています。窓口を通した調達も、直接受注に準じて実績に数えられる仕組みなので、単独受注が難しい段階でも選択肢になります。

受注が決まったら、その記録を工賃向上計画と結び付けて残しておきます。何をいつ、どの窓口経由で受注したかを積み重ねておくと、翌年度以降の計画づくりや都道府県への相談の材料になります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

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よくある質問

Q. 就労継続支援B型は障害者優先調達推進法の対象ですか?
A. はい、対象です。法律第2条2項一号は、障害者総合支援法第5条第15項に規定する就労継続支援を行う事業を「障害者就労施設」に含めており、条文上A型・B型を区別していません。
Q. 共同受注窓口は法律に定められた仕組みですか?
A. いいえ、法律の条文には共同受注窓口という語がありません。共同受注窓口の機能は、法律に基づく閣議決定「障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針」で説明されています。
Q. 共同受注窓口を通した調達も、国の調達実績に数えられますか?
A. はい、数えられます。基本方針は、共同受注窓口との契約による調達も、障害者就労施設等からの物品等の調達に準じて取り扱うと定めています。
Q. 令和6年度の国の調達実績はどれくらいですか?
A. 6,763件、1,496,515千円です。独立行政法人等・都道府県・市町村・地方独立行政法人を含めた5区分の実績は、それぞれ別の資料で公表されています。
Q. 工賃向上計画支援事業は、B型事業所が直接申請する制度ですか?
A. いいえ。実施主体は都道府県で、事業所が国に直接申請する形の事業ではありません。事業所は、都道府県が実施する共同受注窓口の活用支援や情報提供体制構築の対象として関わります。
Q. 障害者就労施設等からの調達額は全国的に増え続けていますか?
A. いいえ、区分によって異なります。都道府県分は令和5年度から令和6年度にかけて件数・金額とも減少しており、国分は平成25年度から令和6年度にかけて増加基調です。
この記事の根拠資料
1.
e-Gov法令検索(総務省行政管理局)
第1条・第2条・第3条〜第10条・附則第1条を確認・2026年08月19日確認
2.
厚生労働省
「2(3)その他」「4(3)②厚生労働省における対応」等を確認・2026年08月19日確認
3.
厚生労働省
表末尾「合計」行(令和6年度6,763件・1,496,515千円)を確認・2026年08月19日確認
4.
厚生労働省
表末尾「合計」行(8,472件・1,984,685,583円)を確認・2026年08月19日確認
5.
厚生労働省
表末尾「合計」行(令和6年度28,612件・3,140,158千円、令和5年度28,691件・3,629,027千円)を確認・2026年08月19日確認
6.
厚生労働省
表末尾「合計」行(107,014件・17,608,887,545円)を確認・2026年08月19日確認
7.
厚生労働省
表末尾「合計」行(2,323件・407,710,420円)を確認・2026年08月19日確認
8.
厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部長通知)
別紙「工賃向上計画支援事業実施要綱」1事業の目的・2実施主体・3事業の内容・4留意事項を確認・2026年08月19日確認
9.
厚生労働省
PDF6頁「行政関係者の方へ」の共同受注窓口の定義を確認。掲載一覧は平成24年11月28日現在で現況の一次資料ではない・2026年08月19日確認
10.
厚生労働省
47都道府県すべてへのリンクが揃っていることを確認・2026年08月19日確認
最終確認:2026.08.19

この記事の更新履歴

2026.08.19初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

福祉経営ナビでは、厚生労働省・自治体・WAM NET等の一次情報を確認しながら、現場での経営判断に必要な情報を整理しています。

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