現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

サービス管理責任者が採れない
人材市場の構造と
事業所が取れる打ち手

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

サービス管理責任者として配置できるのは、実務経験要件と研修要件をともに満たす人だけです。求人を出しても埋まらない直接の原因は、この2つの要件が採用できる人の母数を決めていることにあります。根拠は平成18年厚生労働省告示第544号です。2026年8月時点で使うのは令和8年4月1日適用の版です。

母数が年単位でしか増えないのは、研修の順番が決まっているためです。研修を実施するのは都道府県です。実践研修を受けるには、基礎研修の修了後に原則2年の実務が必要です。例外として6か月で足りる場合があります。

配置の実数は公表統計で確認できます。数字は厚生労働省の令和6年社会福祉施設等調査によるものです(令和6年10月1日現在)。就労継続支援B型は事業所17,973か所に対し、常勤換算の従事者数が15,970人です。共同生活援助は事業所14,241か所に対し、9,976人です。

配置できない状態が続くと報酬が下がります。サービス管理責任者欠如減算により、欠如の翌々月から所定単位数の100分の70になります。5月以上連続すると100分の50です。ただし翌月の末日までに人員基準を満たせば減算されません。

配置の要件
実務経験要件と研修要件の両方(告示544号 一イ)。片方だけでは配置できない
自法人で育てる最短年数
相談支援・有資格の直接支援ルートで5年、無資格の直接支援ルートで8年、国家資格等ルートで3年(いずれも告示上の最短で、研修の開催時期により延びる)
中途採用の近道
基礎研修の受講開始日に実務経験者だった人を採り、自事業所のサービス管理責任者の下で個別支援計画の原案作成まで担当させると、通算6か月以上の従事で実践研修を受講できる
配置できない場合
サービス管理責任者欠如減算=欠如の翌々月から所定単位数の100分の70、5月以上連続で100分の50。対象は利用者全員。翌月末日までに満たせば減算なし
配置の実数(常勤換算)
就労継続支援B型15,970人、共同生活援助9,976人、生活介護8,413人(令和6年10月1日現在)
確認できないこと
サービス管理責任者に限定した有効求人倍率や全国の不足数は、公的統計としては確認できない
制度基準日2026.04.01
根拠:厚生労働省「令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況」
目次

求人が埋まらないのは、母数が制度で決まっているから

サービス管理責任者の採用には、他職種と決定的に違う点が1つあります。応募できる人の集合が、国の告示で確定していることです。配置できるのは実務経験要件と研修要件の両方を満たす者だけです。実務経験だけでも、研修修了だけでも足りません。根拠は平成18年厚生労働省告示第544号です。詳しい条文の読み方はサービス管理責任者の資格要件で扱っています。

この母数を絞っているのが研修体系です。令和元年度に大きな見直しがありました。それ以前は、実務経験要件を満たせば研修修了後すぐ配置できました。見直し後は、基礎研修を修了し、原則2年の実務を経て実践研修を修了する形に変わりました。厚生労働省の審議会資料は、この見直しにより「サービス管理責任者等としての養成開始から2年以上を要することとなった」と説明しています。

同じ資料には研修修了者数の推移が載っています。基礎研修の修了者は次のとおりです。

  • 平成31年度 18,632人
  • 令和2年度 14,762人
  • 令和3年度 19,004人(速報値)

これに対し、実践研修の修了者は令和3年度で5,784人でした。つまり、その年にすぐ配置できる状態になる人は、基礎研修まで進んだ人の3分の1程度にとどまります。この資料の数値は令和3年度までです。それ以降の修了者数を示した公表資料は確認できませんでした。

配置が必要な事業所は毎年増えている

一方で、サービス管理責任者を置かなければならない事業所は増え続けています。令和6年社会福祉施設等調査(令和6年10月1日現在)の数字は次のとおりです。従事者数は常勤換算で、標本調査による推計値です。

事業の種類事業所数前年からの増減サービス管理責任者等の常勤換算従事者数
就労継続支援(B型)17,973+1,26015,970
共同生活援助14,241+8909,976
生活介護10,404+3728,413
就労継続支援(A型)4,634△424,099
就労移行支援3,240△612,489
就労定着支援1,885+761,373
自立訓練(生活訓練)1,681+511,137
児童発達支援14,855+1,44312,203
放課後等デイサービス22,643+1,52121,554

児童発達支援と放課後等デイサービスの欄は、児童発達支援管理責任者の人数です。両者の研修はカリキュラムが統一され、共通で実施されています。都道府県の研修枠という意味では、同じ資源を分け合っています。児童分野だけで年に約3,000事業所が増えており、障害福祉サービス側の採用にも影響します。

この表から不足数を計算することはできません。常勤換算の値であって頭数ではなく、管理者との兼務や非常勤での配置が広く行われているためです。サービス管理責任者に限定した有効求人倍率や充足率を示す公的統計は、今回は確認できませんでした。求人媒体が示す相場や充足率の数字を、経営判断の前提に置かないでください。自法人の要員が要件のどこにいるかで判断します。

自法人で育てるなら何年かかるか

基礎研修は、実務経験要件を満たす前から受けられます。告示544号は、基礎研修の対象を次のように定めています。「実務経験者となるために必要な年数に達する日までの期間が2年以内である者又は実務経験者」です。実務経験を積みながら基礎研修を先に済ませられるため、育成期間は実務経験の年数とほぼ重なります。

実務経験のルート基礎研修を受けられる時期実践研修に進める時期配置までの最短
相談支援業務・有資格者の直接支援業務が通算5年3年経過後から基礎研修修了後2年5年
無資格者の直接支援業務が通算8年6年経過後から基礎研修修了後2年8年
上記が通算3年かつ国家資格等の業務が通算3年1年経過後から基礎研修修了後2年3年

最も短いのは、国家資格等のルートで3年です。看護師や介護福祉士など、国家資格に基づく業務経験を3年持つ人を採用し、直接支援に就いてもらう形です。無資格から育てる場合は8年かかります。採用の面接で職歴を分類しておくと、その人がどのルートで何年後に配置できるかが計算できます。

中途採用でさらに短くする方法もあります。対象は、基礎研修の受講開始日にすでに実務経験者だった人です。この人が基礎研修の修了後に、アセスメントから個別支援計画の原案作成までの業務に従事した場合は、実践研修の受講に必要な実務が通算6か月以上で足ります。実践研修修了者だけを探すより早く決まることがあります。実務経験者かつ基礎研修修了者を採り、半年で実践研修に送り出すほうが現実的です。この人に原案作成までを担当させることも、置くべき員数に算入することも認められています(告示544号一ホ)。

配置できないときに失うもの

サービス管理責任者を欠いた場合の減算は、他職種の欠如より重く設計されています。生活支援員などは、1割を超えて欠けた翌月から減算されます。サービス管理責任者は、員数を満たさない状態そのものが対象です。翌々月から利用者全員の報酬が下がります。

状態減算率(所定単位数に乗じる割合)適用の始まり
サービス管理責任者の欠如が5月未満100分の70欠如の翌々月から
同じ状態が5月以上連続100分の505月目から
常勤・専従など員数以外の要件を満たさない上と同じ翌々月から

いずれも、翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合は減算されません。ここが実務上の分かれ目です。所定単位数は各種加算を含める前の単位数で、対象は該当する利用者ではなく利用者全員です。個別支援計画の作成に係る一連の業務が滞れば、個別支援計画未作成減算が別に発生します。こちらは該当する利用者につき、3月未満で100分の70、3月以上で100分の50となります。留意事項通知には、著しい人員欠如が続く場合の扱いも定められています。都道府県知事が増員や事業の休止を指導し、従わなければ指定の取消しを検討するという内容です。

実務ではこう組めます

退職の申し出を受けた日のうちに決めておきたいことが3つあります。

第一に、減算の起算を避けられる期限が「翌月の末日」であることを確認します。そこから逆算して、採用と届出の日程を引きます。

第二に、在籍者の名簿を実務経験と研修修了の状況で並べ替えます。実践研修修了者、基礎研修修了者、実務経験者の3層に分けます。基礎研修修了者が欠如の発生日以前から在籍していれば、猶予が延びる可能性があります。告示544号一ヘのみなし配置で、最長2年です。

第三に、みなし配置の可否と変更届の様式を指定権者に照会します。「やむを得ない事由」に当たるかどうかの判断は指定権者が行います。自己判断で配置を続けるのは危険です。

日常的な備えもあります。実践研修の修了年月日から、更新研修の期限を算出した一覧を作ります。期限の1年前に受講申込を管理してください。更新研修を落とすと基礎研修修了者とみなされ、配置できなくなります。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

採用以外に打てる手

配置の設計そのものを見直す余地もあります。1人のサービス管理責任者は、最大60人までの計画作成等の業務を行えます。基準解釈通知は、その範囲内で次の事業所のサービス管理責任者との兼務を認めています。

  • 宿泊型自立訓練事業所
  • 自立生活援助事業所
  • 共同生活援助事業所など

管理者についても、管理業務に支障がなければサービス管理責任者を兼ねられます。ただし他の職務を兼務した場合、その職務に係る常勤換算に当該サービス管理責任者の勤務時間を算入することは原則としてできません。兼務で人員基準を通しても、生活支援員の常勤換算は別に確保する必要があります。

事業を増やす局面では、多機能型という選択肢があります。一体的に行う形であれば、利用者数の合計が60人以下ならサービス管理責任者は1人で足ります。従たる事業所を設ける場合も、サービス管理責任者を各事業所に別々に置く必要はありません。それぞれに常勤かつ専従の従業者を1人以上置く要件から、サービス管理責任者は除かれているためです。また、令和7年10月1日から実施されている就労選択支援は、個別支援計画の作成を求めていません。サービス管理責任者の配置も不要です。

いずれの手も、人員基準の解釈は指定権者が行います。指定基準は都道府県・指定都市・中核市の条例に委任されています。兼務や多機能型の扱いを条例や要綱で細かく定めている自治体もあります。設計を決める前に所在地の指定権者に照会してください。採用した人に長く務めてもらう側の話はサービス管理責任者の定着で扱います。

よくある質問

Q. サービス管理責任者の求人はなぜ埋まらないのですか?
A. 応募できる人が制度で限定されているためです。配置には実務経験要件と研修要件の両方が必要です。研修を実施するのは都道府県です。基礎研修を修了してから実践研修を受けるまでには、原則2年の実務を挟みます。厚生労働省の資料では、令和3年度の基礎研修修了者は19,004人(速報値)でした。同じ年度に実践研修を修了したのは5,784人です。一方で事業所は増え続けています。令和6年10月1日現在で、就労継続支援B型事業所は前年より1,260か所増えました。共同生活援助事業所は890か所増えています。配置が必要な事業所の増え方に対して、すぐ配置できる人の増え方が小さい構造です。
Q. 自法人の職員をサービス管理責任者に育てると何年かかりますか?
A. 実務経験のルートによって最短で3年から8年です。告示544号は実務経験要件を3通りで定めています。相談支援業務と有資格者による直接支援業務なら通算5年です。無資格者の直接支援業務なら通算8年です。これらが通算3年あり、かつ国家資格等に基づく業務が通算3年なら3年です。基礎研修は実務経験要件を満たす日の2年前から受講できます。基礎研修の修了後は、原則2年の実務を経て実践研修を受けます。この2つが並行するため、最短では実務経験要件を満たした時点で実践研修に進めます。ただし研修の開催は都道府県ごとに年に限られた回数です。実際にはこれより長くなります。
Q. サービス管理責任者が退職して補充できないと、報酬はどうなりますか?
A. 欠如の翌々月から下がります。減算は、欠如が解消された月まで続きます。対象は利用者全員の所定単位数です。減算率は、欠如が5月未満なら100分の70です。5月以上連続すると100分の50になります(留意事項通知)。ただし翌月の末日において人員基準を満たすに至っている場合は除かれます。そのため、退職の申し出を受けた時点では「翌月末日」が最初の防衛ラインになります。常勤や専従といった員数以外の要件を満たしていない場合も、同じ取扱いです。
Q. 求人が間に合わないとき、実務経験がある職員をサービス管理責任者とみなして配置できますか?
A. できる場合がありますが、事由が限定されています。やむを得ない事由でサービス管理責任者が欠けた場合が対象です。その事由の発生日から1年間は、実務経験者を研修要件を満たすものとみなせます(告示544号一ヘ)。厚生労働省の審議会資料は、この「やむを得ない事由」を次のように説明しています。退職や病休など事業者の責に帰さない事由により欠如し、かつ直ちに配置することが困難な場合です。採用が間に合わないこと一般の救済ではありません。なお、欠如発生日以前から在籍していた基礎研修修了者であれば、期間はさらに延びます。実践研修を修了するまで、最長2年です。
Q. 基礎研修しか修了していない人を採用しても意味がありますか?
A. あります。すでにサービス管理責任者が配置されている事業所が対象です。アセスメントから個別支援計画の原案作成までの業務を、基礎研修修了者に行わせることができます。この業務を担う基礎研修修了者を、サービス管理責任者に加えて置いたときは、置くべきサービス管理責任者の数に達したものとみなされます。根拠は告示544号一ホです。さらに、基礎研修の受講開始日にすでに実務経験者だった人には短縮があります。その人がこの業務に従事した場合、実践研修の受講に必要な実務は通算6か月以上で足ります。実践研修修了者を待つより早く配置につながる可能性があります。
この記事の根拠資料
1.
厚生労働省
2026年08月16日確認。表4(事業の種類別にみた事業所数)および表8(事業の種類別にみた職種別常勤換算従事者数)。令和6年10月1日現在
3.
厚生労働省
2026年08月16日確認。研修修了者数の推移(平成18年度〜令和3年度)、研修カリキュラムの統一、やむを得ない事由の考え方
5.
厚生労働省
2026年08月16日確認。第4の1(6)サービス管理責任者と他の職務との兼務について、(7)管理者の専従
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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