個別支援計画の書き方
運営基準が定める記載事項と
運営指導で見られる観点
個別支援計画に何を書くかは、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第5項が定めています。原案に記載するのは、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、サービスの目標及びその達成時期、サービスを提供する上での留意事項の5つです。加えて、事業所が提供するサービス以外の保健医療サービスやその他の福祉サービス等との連携も原案に位置付けるよう努めることとされています。この規定は令和8年度報酬改定でも変更されていません(2026年4月時点)。
様式は省令にも告示にも定めがありません。したがって「どの欄に何を書くか」ではなく、5つの記載事項が漏れなく書かれているか、そしてアセスメントから交付・モニタリングまでの一連の業務が実際に行われた記録が残っているかが判断の基準になります。厚生労働省の令和8年6月版の運営指導マニュアルは、書類の有無ではなく一連の流れが適切に行われているかに重点を置いて確認するとし、利用者3名程度を抽出して関係する一連の文書を確認する方法を示しています。
- 記載事項の根拠
- 指定障害福祉サービス基準(省令第171号)第58条第5項。各サービスに準用される
- 記載事項
- 意向/総合的な支援の方針/生活全般の質を向上させるための課題/目標及びその達成時期/提供上の留意事項の5つ
- 他機関との連携
- 事業所が提供するサービス以外の保健医療・福祉サービス等との連携も原案に位置付けるよう努める(努力義務)
- 様式
- 省令・告示に定めなし。自治体が点検表や参考様式を示している場合があるため指定権者に確認する
- 見直し
- 就労継続支援B型は少なくとも6月に1回以上(就労移行支援・自立訓練・自立生活援助は準用時の読み替えで3月に1回以上)。変更時もアセスメントから交付までの手続きを準用
- 保存期間
- サービスを提供した日から5年間(自治体の条例で異なる定めがある場合がある)
目次
運営基準が定めているのは様式ではなく記載事項
個別支援計画の書き方を調べると様式の話から始まる情報が多いのですが、指定基準の省令にも報酬告示にも様式の定めはありません。定められているのは記載事項です。
指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第5項は、サービス管理責任者がアセスメント及び支援内容の検討結果に基づいて原案を作成すること、その原案に次の内容を記載することを求めています。第58条は療養介護について書かれた条文ですが、生活介護は第93条、自立訓練(機能訓練)は第162条、自立訓練(生活訓練)は第171条、就労移行支援は第184条、就労継続支援A型は第197条、就労継続支援B型は第202条、自立生活援助は第206条の20、共同生活援助は第213条によって準用されており、計画の名称を各サービスの名称に読み替えて適用します。
読み替えられるのは名称だけではありません。自立訓練(機能訓練)の第162条、自立訓練(生活訓練)の第171条、就労移行支援の第184条、自立生活援助の第206条の20には、名称の読み替えに続けて「同条第九項中「六月」とあるのは「三月」と」という一文が置かれています。この4つのサービスでは、見直しの周期が少なくとも3月に1回以上になります。記載事項の5つはどのサービスでも同じですが、見直しの期限だけはここで分かれます。宿泊型自立訓練は指定自立訓練(生活訓練)の一形態なので、第171条の読み替えが及びます。
就労継続支援B型の第202条、生活介護の第93条、就労継続支援A型の第197条、共同生活援助の第213条にはこの読み替えがなく、第58条第9項どおり少なくとも6月に1回以上です。多機能型で就労継続支援B型と就労移行支援を併設している場合、同じ様式で計画を作っていても期限の管理は分ける必要があります。周期ごとの一覧は個別支援計画とはに整理しました。
| 記載事項(第58条第5項) | この欄が答えるべき問い | 抽象的だと言われる状態 |
|---|---|---|
| 利用者及びその家族の生活に対する意向 | 本人と家族が、生活について何を望んでいるか | 支援者側の見立てが本人の言葉に置き換わっている |
| 総合的な支援の方針 | この事業所が、どういう考え方で支援全体を組み立てるか | どの利用者にも当てはまる一般論しか書かれていない |
| 生活全般の質を向上させるための課題 | 意向と現状の間に何があるか | 障害名や診断名の記述で課題の記述が代替されている |
| サービスの目標及びその達成時期 | 何がどうなれば達成なのか、いつまでか | 達成時期が空欄、または達成したかどうかを後から判定できない目標 |
| サービスを提供する上での留意事項 | 支援する側が具体的に何に気をつけるか | 「見守る」「配慮する」だけで、誰が読んでも同じ行動にならない |
さらに同項の後段は、当該事業所が提供するサービス以外の保健医療サービスやその他の福祉サービス等との連携も含めて原案に位置付けるよう努めなければならないとしています。これは努力義務ですが、通院先や相談支援事業所、家族の支援などが計画の外に置かれたままになっていないかを確認する趣旨です。
この5つは令和8年度報酬改定でも変更されていません。令和8年3月31日付で発出された留意事項通知の一部改正(こ支障第86号・障発0331第14号)でも、個別支援計画未作成減算に係る項の記載は改正後と現行で同一です。
「抽象的」と指摘されるのは、根拠が一段抜けているから
具体的に書きなさいという指摘の中身は、表現を細かくしろという意味ではありません。厚生労働省が令和8年6月に示した運営指導マニュアルは、判断の考え方をかなりはっきり書いています。
まず、アセスメントは利用者ごとに異なるのだから、それをもとに作成する計画が複数の利用者ですべて同じ内容というのは本来ありえない、としています。同じ作業種別の利用者だからといって、目標も留意事項も横並びになっている計画は、アセスメントの結果が計画に反映されていないと読まれます。
次に、これらの計画は利用者や家族の同意を得なければならないものであることから、指導にあたる担当者自身が利用者や家族の立場でそのサービス内容に同意できるかどうかが一つの判断基準になる、と述べています。読み手を支援者だけに想定して書いた計画は、この基準では通りません。
つまり抽象的だと言われる計画は、意向から課題へ、課題から目標へ、目標から留意事項へという筋道のどこかが飛んでいる状態です。書き分けの考え方としては、次の順に確認するのが実務的です。
- 意向は本人の言葉として書かれているか。家族の意向と本人の意向が違う場合、両方が書き分けられているか
- 課題は、その意向と現状の差として説明できるか。診断名や障害特性の記述だけになっていないか
- 目標は、達成したかどうかを次の見直しの時点で判定できる形か。達成時期が入っているか
- 留意事項は、その利用者を初めて担当する職員が読んで、同じ行動が取れる粒度か
運営指導で見られるのは書類の有無ではなく一連の流れ
運営指導マニュアルは、個別サービスの質に関する事項の確認について、すべての書類の有無を確認するのではなく、利用者がサービスの説明を受け、個別支援計画やサービス提供記録などが作成され、それに基づいてサービスが提供されているかという一連の流れが適切に行われているかに重点を置いて実態を確認する、としています。確認の方法も具体的で、施設内の巡回で気になった利用者など3名程度を抽出し、関係する一連の文書をたどる形が示されています。
ヒアリングの例も挙げられています。利用者の希望をどのように確認しているか、アセスメントをどのように、どのような時に行っているか、計画にある目標の達成状況をどう確認しているか、定期的にモニタリングを行っているか。いずれも計画書の記載だけでは答えられない質問です。
自治体側の資料からも同じ傾向が読み取れます。松本市が令和6年2月の集団指導で示した資料では、令和4年度の実地指導で指摘の多かった項目として個別支援計画の策定に係るもの(作成、交付、保管等)が挙げられ、特に計画の原案の検討会議、モニタリング、アセスメントの未実施、もしくは行った記録のないものが散見されると記載されています。同資料では就労系サービスの実施36件に対して総指摘338件(うち文書指摘56件)とされ、施設外就労の内容が個別支援計画に位置付けられていない例も挙がっています。
計画書を整えても、手続きの証跡がなければ減算になる
ここが経営上いちばん影響が大きい部分です。留意事項通知は、個別支援計画未作成減算について、サービス管理責任者による指揮の下で個別支援計画が作成されていないことに加えて、指定基準に規定する個別支援計画の作成に係る一連の業務が適切に行われていないことも減算の該当事由としています。減算は該当する月から状態が解消された月の前月まで、該当する利用者について適用され、率は適用月から3月未満が所定単位数の100分の70、連続して3月以上で100分の50です。この所定単位数は各種加算がなされる前の単位数であり、加算を含めた合計に乗じるものではありません。
第58条が求める手続きと、それぞれで残る記録を並べると次のようになります。
| 手続き | 根拠 | 記録として残るもの |
|---|---|---|
| アセスメント(利用者に面接して行う。面接の趣旨を説明し理解を得る) | 第2項〜第4項 | アセスメント記録、面接の実施日 |
| 原案の作成(5つの記載事項) | 第5項 | 個別支援計画の原案 |
| 計画作成に係る会議の開催 | 第6項 | 会議録。利用者及び担当者等を招集する。テレビ電話装置等の活用も可 |
| 利用者又は家族への説明と文書による同意 | 第7項 | 署名等のある同意欄 |
| 利用者及び指定特定相談支援事業者等への交付 | 第8項 | 交付の記録。相談支援事業者への交付も必要 |
| モニタリング(定期的な面接と結果の記録) | 第9項・第10項 | モニタリング記録。見直しは就労継続支援B型なら少なくとも6月に1回以上、就労移行支援・自立訓練・自立生活援助なら少なくとも3月に1回以上 |
| 変更する場合 | 第11項 | 上記のアセスメントから交付までを準用 |
見落とされやすいのは3つあります。会議の招集対象に利用者本人が含まれること、交付先に指定特定相談支援事業者等が含まれること、そして変更のたびに同じ手続きが必要になることです。特に本人参加は令和6年度報酬改定で条文に加わった部分で、解釈通知は、この会議(個別支援会議)を原則として利用者が同席した上で行うものとし、病状により同席自体が極めて困難な場合などやむを得ない場合に限り、テレビ電話装置の活用など同席以外の方法で意向等を確認することを認めています。
なお、個別支援計画は記録の整備の対象で、サービスを提供した日から5年間の保存が省令で定められています。指定基準は条例に委任されているため、保存期間の起算点などを条例で別に定めている自治体がある可能性があります。使用する様式とあわせて、指定権者の条例と自主点検表を確認してください。
計画書のフォーマットを直すより先に、手続きの日付が並ぶ一覧を1枚作るほうが効きます。利用者ごとに、アセスメント実施日、原案作成日、会議開催日、同意取得日、本人と相談支援事業者への交付日、直近のモニタリング実施日、次回見直し期限を横に並べた表です。運営指導で3名程度を抽出して一連の文書をたどる確認方法が示されている以上、どの利用者を抜かれても同じ順で書類が出てくる状態にしておく必要があります。
この一覧は減算の予防にもそのまま使えます。未作成減算は該当する利用者ごとに適用されるので、事業所全体ではなく1人ずつ期限を管理する必要があります。見直し期限の列を自動計算にしておくと、月次の会議でその月に期限を迎える利用者を拾えます。このとき、加算する月数をサービス欄から引くように組んでおいてください。就労継続支援B型は6か月、就労移行支援や自立訓練は3か月です。多機能型で一律6か月の計算式にしていると、就労移行支援の利用者を取りこぼします。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
制度全体の位置づけは個別支援計画とは、見直しの周期と記録の残し方は個別支援計画のモニタリング、作成を担当するサービス管理責任者の要件はサービス管理責任者の資格要件で整理しています。
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
