就労継続支援B型の
報酬単価はどう決まるか
基本報酬の区分と単位数
就労継続支援B型の基本報酬は、サービス費の種類・定員規模・前年度の平均工賃月額の3つの掛け合わせで決まります。サービス費は工賃向上計画を作成している事業所向けの(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)、作成していない事業所向けの(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)、基準該当の(ト)に分かれます。定員規模は20人以下から81人以上までの5区分です。
令和8年6月からは、平均工賃月額の区分に従前からの「対象外」と、見直し後の「対象」の2系統が併存しています。どちらが適用されるかは事業所の指定時期や過去の区分の推移で決まり、既存事業所の多くは対象外の従前区分が続きます。平均工賃月額は前年度の工賃支払総額・延べ利用者数・年間開所日数の実績で算出し、当年度の実績は使いません。
- 基本報酬を決める3要素
- サービス費の種類((Ⅰ)〜(Ⅵ)・(ト))×定員規模(5区分)×前年度の平均工賃月額
- 定員規模の区分
- 20人以下/21〜40人/41〜60人/61〜80人/81人以上の5段階
- 令和8年6月からの区分の系統
- 対象外(従前の6段階、境界値4万5千円〜1万5千円)と対象(見直し後の12段階、境界値4万8千円〜1万5千円)が併存。適用はどちらか一方
- 平均工賃月額の算定期間
- 前年度の工賃支払総額・延べ利用者数・年間開所日数の実績(当年度の実績は不使用)
- サービス費(Ⅰ)・定員20人以下・対象外の単位数レンジ
- 837単位(一・4万5千円以上)〜590単位(八・1万円未満)
- サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)の決まり方
- 平均工賃月額の区分を使わず、人員配置(6:1/7.5:1/10:1)と定員規模だけで決まる
目次
基本報酬は「サービス費の種類×定員規模×平均工賃月額」で決まる
就労継続支援B型の基本報酬は、サービス費の種類・定員規模・平均工賃月額の3つの掛け合わせで、1日あたりの単位数が決まります。
3つの軸はそれぞれ次のとおりです。
- サービス費の種類:工賃向上計画を作成している事業所向けの(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)、作成していない事業所向けの(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)、基準該当の(ト)
- 定員規模:20人以下/21〜40人/41〜60人/61〜80人/81人以上の5区分
- 平均工賃月額:(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)だけに設けられた区分。(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)には無い
サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は、人員配置がそれぞれ6:1、7.5:1、10:1です。工賃向上計画を作成している事業所が対象で、平均工賃月額の区分に応じて単位数が変わります。サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は工賃向上計画を作成しない事業所向けで、平均工賃月額の区分を使いません。人員配置と定員規模だけで単位数が決まります。基準該当就労継続支援B型サービス費(ト)は、社会福祉法・生活保護法上の授産施設利用者に提供した場合の区分です。対象は当該施設の事務費対象外の障害者です。
収入全体の構造はB型の収支構造で扱っています。
まず自分の事業所がどのサービス費に当たるかを確かめる
どのサービス費に当たるかは、工賃向上計画の作成の有無と人員配置の実態で決まり、平均工賃月額の高さでは決まりません。
サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の要件は、人員配置の比率で分かれます。
- (Ⅰ):従業者数が利用者数÷6以上
- (Ⅱ):従業者数が利用者数÷7.5以上((Ⅰ)算定の場合を除く)
- (Ⅲ):従業者数が利用者数÷10以上((Ⅰ)(Ⅱ)算定の場合を除く)
いずれも工賃向上計画を作成している事業所が対象です。
サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は工賃向上計画を作成しない事業所向けで、平均工賃月額の区分がありません。利用定員と人員配置で単位数が決まります。(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を算定している場合は算定できません。定員20人以下の単位数は次のとおりです。
| サービス費 | 人員配置 | 単位数/日(定員20人以下) |
|---|---|---|
| (Ⅳ) | 6:1 | 584 |
| (Ⅴ) | 7.5:1 | 530 |
| (Ⅵ) | 10:1 | 484 |
平均工賃月額の区分が無いため、工賃の実績にかかわらずこの単位数になります。
令和8年6月の新区分は、すべての事業所が移るわけではない
令和8年6月からは、平均工賃月額の区分に従前からの「対象外」と見直し後の「対象」が併存し、どちらが適用されるかは事業所ごとに決まります。
対象になるかどうかは、指定を受けた時期と、令和6年度改定の前後で区分がどう動いたかで判定します。令和5年4月以前に指定を受けた事業所は、令和6年3月の区分から令和6年4月の区分が変わらない、または下がっている場合、見直しの対象外になります。令和5年5月から令和6年3月に指定を受けた事業所は、指定時期に応じた経過措置期間が終わったあとの区分同士を比較して判定します。既存事業所の多くはこの対象外に当たり、従前の区分がそのまま続きます。
定員20人以下・サービス費(Ⅰ)の単位数を、対象外と対象で並べます。
対象外(従前区分)です。
| 区分 | 平均工賃月額 | 単位数/日 |
|---|---|---|
| 一 | 4万5千円以上 | 837 |
| 二 | 3万5千円以上4万5千円未満 | 805 |
| 三 | 3万円以上3万5千円未満 | 758 |
| 四 | 2万5千円以上3万円未満 | 738 |
| 五 | 2万円以上2万5千円未満 | 726 |
| 六 | 1万5千円以上2万円未満 | 703 |
| 七 | 1万円以上1万5千円未満 | 673 |
| 八 | 1万円未満 | 590 |
対象(見直し後の新区分)です。七・八は対象外と共通のため省略します。
| 区分 | 平均工賃月額 | 単位数/日 |
|---|---|---|
| 一 | 4万8千円以上 | 837 |
| A | 4万5千円以上4万8千円未満 | 812 |
| 二 | 3万8千円以上4万5千円未満 | 805 |
| B | 3万5千円以上3万8千円未満 | 781 |
| 三 | 3万3千円以上3万5千円未満 | 758 |
| C | 3万円以上3万3千円未満 | 738 |
| 四 | 2万8千円以上3万円未満 | 738 |
| D | 2万5千円以上2万8千円未満 | 726 |
| 五 | 2万3千円以上2万5千円未満 | 726 |
| E | 2万円以上2万3千円未満 | 705 |
| 六 | 1万8千円以上2万円未満 | 703 |
| F | 1万5千円以上1万8千円未満 | 682 |
境界値は上位側で引き上げられています。例えば最上位の境界は、対象外の4万5千円から対象では4万8千円になりました。中間の区分も細かく分かれ、(A)から(F)までの区分が新設されています。
サービス費(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の事業所は、令和8年4月15日までに現行区分の届出書と見直し後区分の届出書の両方を提出するのが原則です。ただし、次のいずれかに当たる事業所は、見直し後区分の届出書が不要です。根拠書類の提出で足ります。
- 令和7年度の平均工賃月額が1万5千円未満の事業所
- 令和6年度改定の前後で区分が変わらない、または下がった事業所
サービス費(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)には平均工賃月額の区分自体が無いため、この対象外・対象の区別はありません。
平均工賃月額は前年度の実績で決まる
平均工賃月額は、前年度の工賃支払総額と延べ利用者数、年間開所日数の実績から算出し、当年度の実績は使いません。
1人当たり平均工賃月額 = 前年度の工賃支払総額 ÷(前年度の延べ利用者数 ÷ 前年度の年間開所日数)÷ 12ヶ月
算出は3段階です。
- 前年度における工賃支払総額を算出する
- 前年度における開所日1日当たりの平均利用者数を算出する(前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数)
- 工賃支払総額を平均利用者数で割り、さらに12ヶ月で割る
重度者支援体制加算(Ⅰ)を算定している場合は、算出した額に2,000円を加えた額を平均工賃月額とすることができます。次のような場合は、前年度に代えて前々年度の平均工賃月額を用いることができます。
- 原材料費等の高騰で同一都道府県内8割のB型事業所の工賃実績が低下し、都道府県がやむを得ないと認めた場合
- 激甚災害・災害救助法適用地域で工賃支払額が減少する場合など
新規指定の事業所は前年度の実績がまだありません。そのため(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を算定する場合、指定初年度の1年間は平均工賃月額を1万円未満の区分八とみなして算定します。年度途中の指定であれば、初年度と2年度目の両方を区分八とみなします。支援提供の開始から6ヶ月が経過したあとは、開始からの任意の6ヶ月間の実績に応じて算定できます。
平均工賃月額 計算シート
前年度の実績から平均工賃月額を出し、就労継続支援B型サービス費のどの区分になるかを確かめる記入用シートです。
資料を見る →定員が大きいほど利用者1人あたりの単価は下がる
同じサービス費・同じ平均工賃月額区分でも、定員規模が大きくなるほど1日あたりの単位数は下がります。
サービス費(Ⅰ)・対象外・一(4万5千円以上)の定員20人以下は837単位でした。定員が21〜40人、41〜60人、61〜80人、81人以上と大きくなるにつれて、同じ区分のまま単位数は下がっていきます。この構造は対象外・対象のどちらの系統でも、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のどのサービス費でも共通です。(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)も同じ形で、定員規模が大きくなるほど単位数は下がります。
定員を増やして利用者数を確保しても、利用者1人あたりの単価は下がる方向に働きます。定員規模の見直しは、収容できる人数の増加と単価の低下を、両方織り込んで判断する必要があります。収支への影響はB型は儲かるのかで扱っています。
単位数を金額にするときに要るもの
単位数を金額に換算するには地域区分の割増率が要りますが、人件費割合まで反映した円単価の一覧には一次情報が届いていません。
地域区分は事業所の所在地に応じて8区分に分かれ、単位数に割増率を掛けて金額を出します。令和6〜8年度に適用される障害者サービスの地域区分は次のとおりです。
| 地域区分 | 割増率 | 代表地域 |
|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 東京都特別区 |
| 2級地 | 16% | 横浜市・川崎市・大阪市 等 |
| 3級地 | 15% | さいたま市・千葉市・名古屋市 等 |
| 4級地 | 12% | 志木市・船橋市・神戸市 等 |
| 5級地 | 10% | 京都市・堺市・福岡市 等 |
| 6級地 | 6% | 仙台市・宇都宮市・岡崎市 等 |
| 7級地 | 3% | 札幌市・岡山市・長崎市 等 |
| その他 | 0% | 上記以外の地域 |
地域区分の割増率は単位数に掛ける倍率までで、人件費割合を反映した「1単位=何円」という円単価の一覧には、この記事の時点で一次情報が届いていません。
事業所数も定員も、都道府県でかなり違います。全国の就労継続支援B型は20,783事業所で、前回の公表から+874事業所でした(WAM NET 2026年3月31日時点)。自分の県の事業所数・定員・平均工賃は都道府県別データで確認できます。
47都道府県のデータを見る →よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
