就労継続支援B型はどんな人が使うのか。
対象者の4類型と就労選択支援の要否、
事業所が見学・相談で確認すること
就労継続支援B型の対象者は、通常の事業所に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難な障害者です。根拠は障害者総合支援法施行規則第6条の10第2号です。厚生労働省の資料はこれを4類型に整理しています。
1つ目は、企業等や就労継続支援A型での就労経験があり、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった人です。2つ目は、50歳に達している人または障害基礎年金1級の受給者です。3つ目は、1つ目と2つ目に該当せず、就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面に係る課題等の把握が行われている人です。最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に事業所がない場合は就労移行支援事業者等によります。4つ目は、通常の事業所に雇用されていて、主務省令で定める事由により一時的に支援を必要とする人です。
令和7年10月から、3つ目は従来の就労アセスメントに代わり就労選択支援によることになりました。利用期間の制限はありません。誰が利用できるかを決めるのは市町村の支給決定です。事業所の側は、障害種別や程度で線を引く立場ではありません。自事業所の人員体制と作業内容、通所時間の設定を見ます。それが本人の希望と必要な配慮に合うかを確認する立場になります(2026年8月16日時点)。
- 制度上の定義
- 通常の事業所に雇用されることが困難であって雇用契約に基づく就労が困難な障害者(障害者総合支援法施行規則第6条の10第2号)
- 対象者の4類型
- ①就労経験があり年齢・体力面で雇用が困難となった人/②50歳に達している人または障害基礎年金1級受給者/③就労選択支援事業者等のアセスメントで就労面の課題等の把握が行われている人/④在職中で主務省令で定める事由により一時的に支援が必要な人
- 就労選択支援が必要になる人
- 上記③に当たる人。令和7年10月1日以降の新規利用が対象。最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に事業所がない場合と、利用可能な事業所数が少なく待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経た利用が認められる(障障発0331第3号 1の(2))
- 一般就労中でも利用できる場合
- 労働時間延長支援型、復職支援型、所定労働時間が概ね週10時間未満で一般就労へ移行した場合(就労継続支援短時間型)の3類型。フリーランスや個人事業主も市町村が必要と認めれば支給決定できる
- 事業所側の受け入れ義務
- 正当な理由がなく提供を拒んではならない(指定基準第11条、第202条で準用)。自ら適切な支援を提供することが困難と認めた場合は、他の事業者の紹介その他の必要な措置を速やかに講じる(第13条)
- 利用期間
- 制限なし
目次
制度が定義しているのは障害の種類ではなく「困難さ」
障害者総合支援法施行規則第6条の10第2号が、就労継続支援B型を定義しています。対象は「通常の事業所に雇用されることが困難であって雇用契約に基づく就労が困難であるもの」等です。内容は、就労の機会と生産活動の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業です。
ここに書かれているのは働きづらさの性質であって、障害の種類でも障害支援区分でもありません。条文は特定の障害種別を挙げておらず、障害支援区分にも触れていません。
雇用契約を結ばない点と、利用期間の制限がない点がA型との大きな違いです。両者の線引きはA型とB型の違いで扱っています。
対象者の4類型と、就労選択支援が必要かどうか
厚生労働省の「就労系障害福祉サービスの概要」は、B型の対象者を次の4つに整理しています。相談を受けたときに最初に切り分けるのはこの区分です。
| 類型 | 内容 | 就労選択支援の要否 |
|---|---|---|
| ① | 企業等や就労継続支援A型での就労経験があり、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった人 | 不要 |
| ② | 50歳に達している人、または障害基礎年金1級の受給者 | 不要 |
| ③ | ①②に該当しない人 | 必要(就労選択支援事業者によるアセスメント) |
| ④ | 通常の事業所に雇用されていて、主務省令で定める事由により一時的に支援を必要とする人 | 不要 |
③について、令和7年10月から、従来の就労移行支援事業所等による就労アセスメントに代わって就労選択支援によることになりました。ただし例外があります。課長通知「就労選択支援の実施について」は、2つの場合を挙げています。1つは、最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等で、近隣に就労選択支援事業所がない場合です。もう1つは、利用可能な事業所数が少なく、就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合です。この2つでは、従来どおり就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型利用を認めています。
留意事項通知(障障発0331第2号)も同じ例外を定めています。ただし、そちらは「近隣に就労選択支援事業所がない場合」と短く書いています。通所の困難さという判断材料が読み取れるのは前者の通知です。
就労選択支援そのものは、関連する記事にまとめました。
- 就労選択支援の対象者 … 誰が対象になるかの詳細
- 就労選択支援とは何か … 制度の全体像
同じ通知は、趣旨が理解されていない事例を2つ挙げています。1つは、B型の利用を前提とした形式的なアセスメントが行われている事例です。もう1つが、アセスメントを実施したのに結果が利用する事業所に引き継がれていない事例です。受け入れ側から見れば、アセスメント結果を受け取ることが前提です。受け取らないまま利用が始まる状態は、行政が問題視している形だということになります。
一般就労をしながらB型を使う3つの型
④の在職者の一時利用は見落とされやすい類型です。通知は次の3つを挙げています。
| 型 | 対象になる状況 | 期間の扱い |
|---|---|---|
| 労働時間延長支援型 | 概ね週10時間以上20時間未満から段階的に労働時間の延長を図る場合 | 支給決定期間は1か月から6か月。原則3か月から6か月以内、延長は合計1年まで |
| 復職支援型 | 休職からの復職を目指す場合で、雇用する企業、地域の就労支援機関や医療機関等による復職支援が見込めない、または困難な場合 | 支給決定期間は1か月から6か月。企業の定める休職期間の終了まで(上限2年) |
| 就労継続支援短時間型 | 所定労働時間が概ね週10時間未満を目安に、非常勤のような形態で一般就労している場合 | 特段の定めなし |
短時間型は、フリーランスや個人事業主といった雇用以外の形態で就労している人も対象になり得ます。同様に通常の事業所に雇用されることが困難な障害者と認められるためです。日中活動サービスを受ける必要があると市町村が認めれば、支給決定できるとされています。地域の就労支援機関や特別支援学校からの相談で、この型を知らないまま断ってしまう場面が起こりやすいところです。
経営面では一点だけ注意が必要です。基本報酬の区分に使う前年度の平均工賃月額の算出では、在職者の一時利用にあたる利用者を除きます。工賃支払総額からも、分母の開所日1日当たりの平均利用者数からも外れるため、受け入れても平均工賃月額の区分は動きません。報酬の構造はB型の収支構造で扱っています。
事業所は受け入れを断れるのか
ここが誤解されやすい部分です。指定障害福祉サービス基準第11条は、正当な理由がなく指定サービスの提供を拒んではならないと定めています。第202条によって就労継続支援B型に準用されます。障害が重いから、工賃が上がらなさそうだからという理由で断ることは想定されていません。
断ることができるのは、第13条が定める場面です。通常の事業の実施地域等を勘案して、自ら適切な支援を提供することが困難であると認めた場合です。そのときは、適当な他の事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならない、という構造になっています。つまり事業所に求められているのは、受け入れるか断るかの二択ではありません。自事業所の体制で必要な支援が提供できるかを判断し、できないなら次の行き先まで用意することです。
見学・相談の場で確認しておく事項
同じ省令が、提供開始前に事業所がやるべきことも定めています。第9条は運営規程の概要や従業者の勤務体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることを求めています。第14条は、受給者証によって支給決定の有無、有効期間、支給量を確かめることを求めています。第16条は、利用者の心身の状況や置かれている環境、他の保健医療サービス・福祉サービスの利用状況の把握に努めることを求めています。これらはいずれも第202条でB型に準用されます。
相談を受けた段階で確認する順番を決めておくと、支給決定の手続きで手戻りが出にくくなります。最初に見るのは受給者証で、支給決定の有無と有効期間、支給量の3点です。まだ支給決定を受けていない場合は、本人の意向を踏まえて速やかに申請が行われるよう援助する義務があります(第15条)。市町村の障害福祉担当課と相談支援事業所につなぐところまでを、一連の流れとして手順に書いておくと抜けません。
次に、就労選択支援または就労アセスメントを経ているかどうかを確かめます。経ている場合は結果を引き継いでもらうよう相談支援専門員に依頼しておくと、個別支援計画の原案づくりを早く始められます。①②の類型に当たると本人が話していても、該当するかどうかを判断するのは支給決定を行う市町村です。事業所側で結論を出さずに確認を回すほうが安全です。
通所できる時間帯と日数も、相談の場で聞いておくと後の設計が楽になります。4時間未満の利用が中心になる見込みなら、個別支援計画に一般就労等に向けた利用時間延長のための支援を位置付けます。実際に実施すれば、短時間利用減算の割合の算定から除かれます。この減算は事業所全体の所定単位数に効くので、受け入れてから慌てるより、相談の段階で計画の組み立てまで想定しておくほうが確実です。
医療的ケアや、重度の視覚・聴覚・言語機能障害、高次脳機能障害への支援が必要な場合があります。そのときは、自事業所が該当する加算の体制要件を満たしているかどうかを、先に確かめておく必要があります。満たしていないなら、第13条に沿って地域の他事業所を紹介できるようにします。近隣の事業所を書き出した一覧を用意しておくと、相談の場で案内に困りません。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
「どんな人が使うか」は事業所ごとに違ってよい
令和6年度の平均工賃月額は全国で24,141円(1月あたり)でした。工賃を軸に生産活動を組み立てている事業所があります。体調の安定や生活リズムの立て直しを軸にしている事業所もあります。同じB型でも、提供している支援の中身が違います。制度が対象者を4類型としか定めていないのには理由があります。その差を制度側で埋めるのではなく、事業所ごとの支援内容と本人の希望を突き合わせて決める設計だからです。
受け入れの判断で見るべきなのは、本人の障害の重さではありません。自事業所の人員体制と作業内容、通所時間の設定が、本人の希望と必要な配慮に合うかどうかです。合わないと判断したときに他の事業所を紹介できるだけの地域の情報を持っておくことが、結果として自事業所への紹介経路を太くします。
なお、支給決定の運用や必要書類は市町村ごとに幅があります。個別の判断は、事業所の所在地を管轄する市町村の障害福祉担当課と指定権者に確認してください。
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
