現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

令和8年度改定で
処遇改善加算はどう変わったか。
障害福祉事業所への影響を整理

最終更新制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
初回公開
結論

令和8年度の処遇改善加算は、令和8年6月1日から加算率が引き上げられ、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの加算Ⅰロ・Ⅱロが新設されました。令和8年4月・5月は従来どおりⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4区分・従来の加算率のままで、同じ年度内でも2つの時期に分かれます(令和8年6月1日適用の告示に基づく、2026年8月16日時点の情報)。

変わったのは加算率(賃上げの対象を福祉・介護職員から障害福祉従事者に広げるための引上げ)、加算区分、対象サービスの範囲、キャリアパス要件Ⅳの金額の4点です。加算額の計算方法(1月当たりの総単位数に加算率を乗じる)と、要件①〜⑦の骨格は変わっていません。

改定の適用日
令和8年6月1日(告示第1条のみ令和8年4月1日施行)
加算率の例(就労継続支援B型)
4月・5月は加算Ⅰ9.3%/6月以降は加算Ⅰイ10.5%・加算Ⅰロ10.9%
新設された区分
加算Ⅰロ・加算Ⅱロ(令和8年6月以降)
新たに対象となったサービス
計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援(令和8年6月以降、一律5.1%)
キャリアパス要件Ⅳの金額
令和8年4月・5月は年額440万円、6月以降は年額460万円
制度基準日2026.06.01
根拠:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)
目次

同じ令和8年度でも4月・5月と6月以降で中身が違う

令和8年度の報酬改定は、令和9年度報酬改定を待たずに実施された期中改定です。「『強い経済』を実現する総合経済対策」(令和7年11月21日閣議決定)を受けたもので、改定内容は令和8年2月18日の障害福祉サービス等報酬改定検討チームで決まりました。

そのため、令和8年度は年度の途中で加算の姿が切り替わります。改定を反映した告示の適用日は令和8年6月1日で、令和8年4月と5月については従来の加算率・従来の4区分がそのまま続きます。加算率も要件も「いつ時点の話か」を確認しないと読み違える年度です。

加算率はどれだけ上がったのか

今回の引上げには、賃上げの対象を福祉・介護職員のみから障害福祉従事者に広げるという趣旨があります。そのうえで引上げ幅はサービスごと・区分ごとに違い、国は「一律に何%上げた」という示し方をしていません。主なサービスについて、令和8年4月・5月の加算Ⅰと、令和8年6月以降の加算Ⅰイ・Ⅰロを並べると次のようになります。いずれも1月当たりの総単位数に乗じる率です。

サービス4月・5月 加算Ⅰ6月以降 加算Ⅰイ6月以降 加算Ⅰロ4月・5月 加算Ⅳ6月以降 加算Ⅳ
就労継続支援B型9.3%10.5%10.9%6.2%7.4%
就労継続支援A型9.6%10.8%11.2%6.3%7.5%
就労移行支援10.3%11.5%11.9%6.9%8.1%
生活介護8.1%9.3%9.7%5.5%6.7%
共同生活援助(介護サービス包括型)14.7%16.3%16.9%10.5%12.1%
施設入所支援15.9%18.6%19.3%11.5%14.2%
児童発達支援13.1%15.2%15.8%9.6%11.7%
放課後等デイサービス13.4%15.5%16.1%9.8%11.9%
居宅介護41.7%44.6%45.6%27.3%30.2%

引上げ幅が特に大きいのは障害児入所施設で、福祉型障害児入所施設の加算Ⅰは21.1%から加算Ⅰイ30.5%、加算Ⅰロ32.0%になりました。一方で就労系サービスの上げ幅は1.2ポイント前後にとどまります。自事業所の率は必ず告示か通知の別紙1で確認してください。

なお、行動援護の加算Ⅰイについては、事務処理手順通知の別紙1表1-2に44.1%という記載がありますが、告示は「1000分の411」、改定事項資料も41.1%としています。宿泊型自立訓練の加算Ⅳについても、通知の表は12.6%ですが、告示の自立訓練(生活訓練)の規定は「1000分の106」です。告示の数値で確認するのが確実です。

新設された加算Ⅰロ・Ⅱロと令和8年度特例要件

令和8年6月以降、加算区分はⅠイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの6区分になりました。ロの区分は、イの区分の算定要件に加えて「令和8年度特例要件」を満たす場合に算定できる上乗せ区分です。

令和8年度特例要件は、(ア)職場環境等要件の生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組のうち5以上(⑱の現場の課題の見える化と、㉑の業務支援ソフト・情報端末の導入は必須)を実施すること、または(イ)法人が社会福祉連携推進法人に所属していること、のいずれかを満たし、あわせて(ウ)加算Ⅱロの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることです。施設入所支援や短期入所のように加算Ⅱロの率が設定されていないサービスでは、(ウ)は加算Ⅰロの加算額の2分の1以上で判定します。

令和8年度に限り、(ア)と(ウ)は令和9年3月末までに対応すると処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点から満たしているものとして扱われます。ただし誓約した内容が未対応と確認された場合は、加算額の一部または全部が返還の対象になります。

相談支援3系統が新たに対象になった

これまで処遇改善加算の対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)に、加算が新設されました。加算率は区分の枝分かれがなく一律5.1%です。

ただしこれも令和8年6月以降の話で、令和8年4月・5月の加算率は0%、つまり対象外です。「令和8年度から対象」とまとめて書くと誤りになります。これらのサービスは、令和8年度特例要件を満たすか、加算Ⅳの取得に準ずる要件(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件)を満たすかのいずれかで算定でき、令和8年度特例要件のうち(ウ)は求められません。

変わった点・変わらなかった点

項目令和8年4月・5月令和8年6月以降
加算区分Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4区分Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳの6区分
加算率従来の率引上げ後の率
相談支援3系統対象外(0%)一律5.1%
キャリアパス要件Ⅳの金額年額440万円以上年額460万円以上
令和8年度特例要件適用なし加算Ⅰロ・Ⅱロの算定要件
加算額の計算方法1月当たり総単位数×加算率変更なし
要件①〜⑦の骨格月額賃金改善要件・キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅴ・職場環境等要件変更なし(⑧が加わる)
月額賃金改善要件の水準加算Ⅳ相当額の2分の1以上変更なし

キャリアパス要件Ⅳの金額は440万円から460万円に上がりましたが、この要件は職場環境等要件を全体で14以上実施していれば満たしているものとして扱われる点は変わりません。年額460万円の判定に法定福利費等の事業主負担は含めません。

加算Ⅴについては、もともと令和7年3月31日までの経過措置として置かれていた規定で、今回の告示改正で条文が削られました。令和8年度に加算Ⅴという選択肢はありません。

手続きで押さえる期日

処遇改善計画書は、令和8年4月・5月分と6月以降分をあわせて令和8年4月15日が提出期日です。様式も別紙様式2-2(4月・5月の個票)と別紙様式2-3(6月以降の個票)に分かれており、1回の提出で両方の期間を計画する建て付けになっています。

体制届出については、令和8年4月から新規に算定する場合や区分を変更する場合の期日が令和8年4月1日とされ、都道府県知事等が令和8年4月15日として差し支えないとされています。令和8年度の実績報告書は、令和9年3月分の加算の支払が令和9年5月であることから、通常の場合は令和9年7月31日が期日です。提出方法や期日の延長の有無は自治体によって異なるため、指定権者の案内で確認してください。

実務ではこう組めます

期中改定の年は、加算率の確認を1回で済ませないほうが安全です。まず告示の自事業所のサービスの条文で令和8年6月以降の率を押さえ、そのうえで通知の別紙1表1-1で4月・5月の率を確認してください。通知の表と告示で数値が食い違う箇所があるため、食い違ったときは告示側を正として扱うのが安全です。

ロの区分を狙うかどうかは、職場環境等要件の生産性向上区分で⑱と㉑を含む5項目に届くかで判断が分かれます。㉑の業務支援ソフト・情報端末の導入は費用と導入期間が読める項目なので、ここを起点に残り3項目を洗い出すと計画書の誓約欄まで一気に埋まります。誓約した項目は令和9年3月末までに実施し実績報告書で報告する必要があるため、実施時期まで決めてから誓約してください。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

区分ごとの要件の違いは処遇改善加算の区分の違いで、制度の全体像は令和8年度の福祉・介護職員等処遇改善加算で整理しています。

よくある質問

Q. 令和8年4月と5月も加算率は上がりますか。
A. いいえ、令和8年4月・5月の加算率は従来のままです。引き上げられた加算率が適用されるのは令和8年6月1日からで、4月・5月は加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4区分と従来の率で算定します。就労継続支援B型であれば4月・5月が加算Ⅰ9.3%、6月以降が加算Ⅰイ10.5%です。
Q. 加算Ⅰロを算定するには何が必要ですか。
A. 加算Ⅰイの算定要件をすべて満たしたうえで、令和8年度特例要件を満たすことが必要です。令和8年度特例要件は、(ア)職場環境等要件の生産性向上区分から5以上の取組(⑱と㉑は必須)を実施するか、(イ)法人が社会福祉連携推進法人に所属していることのいずれかと、(ウ)加算Ⅱロの加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てることの両方です。なお、施設入所支援など加算Ⅱロの率が設定されていないサービスでは、(ウ)は加算Ⅰロの加算額で判定します。
Q. 加算Ⅴは令和8年度も算定できますか。
A. いいえ、令和8年度に加算Ⅴという区分はありません。加算Ⅴは令和7年3月31日までの経過措置として置かれていた規定で、令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号によって条文そのものが削られています。
Q. 加算率が上がった分の賃金改善はどう扱えばよいですか。
A. 令和7年度と比べて増えた加算額は、過去の賃金改善の実績にかかわらず新規に賃金改善を実施する必要があり、その新規分はベースアップにより行うことが基本とされています。賃金体系を整備している途中などベースアップのみでは対応できない場合は、その他の手当や一時金を組み合わせても差し支えないとされています。
Q. 令和8年度の処遇改善計画書はいつまでに出しますか。
A. 令和8年4月・5月分と6月以降分をあわせて、令和8年4月15日が提出期日です。計画相談支援など新たに加算の対象となった事業所のみを運営する事業者など、4月・5月分を算定せず6月以降に算定する場合は令和8年6月15日が期限になります。ただし都道府県知事等が期日を延長することがあるため、指定権者の案内を確認してください。
この記事の根拠資料
最終確認:2026.08.16

この記事の更新履歴

2026.08.16初回公開
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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