現役の事業所運営者が書く、障害福祉の経営誌

就労継続支援B型の
在宅利用は何を満たせば
報酬算定できるのか

最終更新|制度基準日
執筆:福祉経営ナビ編集部
監修:徳永 崇志(現役の就労継続支援B型事業所運営者)
結論

就労継続支援B型で在宅利用を認めるかどうかは、事業所が単独で決められません。本人が在宅でのサービス利用を希望していることに加え、在宅利用による支援効果が認められると市町村が判断した場合に限られます。この判断基準は令和7年3月31日改正版の要件文言で、平成19年当初の「通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者」という文言とは異なります。厚生労働省の法令等データベースは今も平成19年の原文を表示しているため、検索で古い文言を目にすることがあります。

報酬を算定するには、ア〜キの7要件すべてに該当する必要があります。中心は支援の頻度と記録です。1日2回以上の連絡・助言・進捗状況の確認と日報の作成、週1回の評価等、原則として月1回は事業所職員の訪問または利用者の通所による評価が求められます。支援は原則として対面で行い、オンライン等ICTの活用は要件をすべて満たした場合の例外にとどまります。在宅利用の日の基本報酬は就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ)の区分で算定し、送迎加算など通所を前提とする加算が算定できるかどうかは、一次情報でまだ確認できていません。

根拠:厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(最終改正 令和7年3月31日)ほか
目次

在宅利用を認めるかどうかを決めるのは市町村

在宅利用を認めるかどうかは、市町村が支援効果を認めるかどうかで決まります。事業所だけでは決められません。

留意事項通知は、報酬算定の対象者を「在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者」と定めています。本人が希望していることに加え、支援効果が認められるという市町村の判断が要件です。次のア〜キの要件のいずれにも該当する場合に限り、報酬を算定できます。

令和8年4月13日の事務連絡は、この点をあらためて強調しました。希望があれば在宅利用を認めてよいわけではありません。事前の本人の同意とアセスメントを徹底することが必要だと示しています。

検索で出てくる古い要件文言に注意する

検索で最初に出てくる要件文言は、平成19年当初の古い版であることがあります。現行の判断基準とは異なります。

厚生労働省の法令等データベースは、平成19年に発出された当初の原文をそのまま表示しています。この通知は以後何度も改正されていますが、データベース上の表示は改正が反映されていません。検索結果の上位に出やすいため、他の解説記事がこの古い文言のまま書いている可能性があります。

版対象者の定義
平成19年当初(法令等データベースに表示されているもの)通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者
現行(令和7年3月31日改正版)在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者

判断の基準そのものが変わっています。古い文言は「通所が困難で、やむを得ないか」を見ます。現行の文言は「支援効果が認められるか」を見ます。二次情報を確認するときは、どちらの文言を前提にしているかをまず確かめてください。

在宅利用で求められる支援の頻度と記録

在宅利用の報酬算定には、ア〜キの7要件すべてを満たす必要があります。中心になるのは支援の頻度と記録です。

まず、頻度以外に満たす要件が3つあります。

  • 通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に、就労の機会と生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の支援を行う。作業活動・訓練等のメニューを常に確保する(要件ア)
  • 緊急時の対応ができる体制を整える(要件ウ)
  • 作業活動・訓練等を行ううえで疑義が生じた際の照会等に、随時、訪問や連絡で応じられる体制を確保する(要件エ)

そのうえで、頻度に関する要件は次のとおりです。

頻度内容要件
1日2回以上連絡、助言又は進捗状況の確認等の支援を行い、日報を作成する。内容や本人の希望に応じ、2回を超える対応も行うイ
週1回事業所職員による訪問、利用者による通所、電話・パソコン等のICT機器の活用のいずれかで評価等を行うオ
月1回(原則)利用日数のうち1日は、事業所職員の訪問または利用者の通所により、居宅または事業所内で訓練目標の達成度評価等を行うカ

週1回の評価を通所で行い、あわせて月1回の評価も満たした場合は、その通所を月1回の評価に置き換えてかまいません(要件キ)。運営規程には在宅で実施する訓練内容・支援内容を明記し、訓練状況・支援状況を指定権者から求められたら提出できるようにしておく必要があります。

関連する実務資料
チェックシート

在宅利用 要件チェックシート

在宅でのサービス利用を認めるまでに確かめることと、認めたあとに続ける記録を1枚にまとめています。

資料を見る →

オンライン・ICTでの支援は原則ではなく例外

支援は原則として対面で行います。オンライン等ICTの活用は、要件をすべて満たした場合の例外です。

厚生労働省のQ&Aは、直接処遇職員が利用者の状態や訓練の進捗状況を直接確認しながら随時対応する必要があるとして、原則対面での支援を求めています。オンラインが認められるのは、たとえば重度障害者で通所が困難な場合などに限られます。オンラインでの在宅就労を希望し、その支援効果が認められると市町村が判断し、留意事項通知の要件すべてに該当する場合だけです。

週1回の評価については、電話・パソコン等のICT機器の活用も要件として明記されています。ただしこれは評価の方法についての定めで、日々の支援そのものが原則対面であることとは別の話です。

事業所からオンラインによる支援を行う旨の届出があった場合、指定権者が要件を満たしているかを個別に確認し、適切な支援が可能かを判断します。緊急時には事業所の職員が速やかに利用者のもとへ駆けつけられる体制が前提です。緊急時対応が担保できない地域へのオンライン支援は、原則として認められません。

在宅利用の日に算定できるもの・確認できていないもの

在宅利用の日の基本報酬は、就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ)の区分で算定します。送迎加算など通所を前提とする加算が算定できるかどうかは、確認できていません。

実施上の留意事項によれば、(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)は、利用者を通所させて提供した場合のほか、在宅で提供した場合、施設入所支援を併せて利用する者に提供した場合に、定員と人員配置に応じて算定します。(Ⅰ)〜(Ⅲ)を算定している場合は除かれます。この区分は利用定員と人員配置で単価が決まり、平均工賃月額とは連動しません。

区分従業者の配置20人以下21〜40人41〜60人61〜80人81人以上
(Ⅳ)利用者数÷6以上584単位519単位488単位479単位462単位
(Ⅴ)利用者数÷7.5以上530単位471単位443単位434単位419単位
(Ⅵ)利用者数÷10以上484単位430単位398単位390単位376単位

(Ⅰ)〜(Ⅲ)の区分を届け出ている事業所は、在宅利用の日についても(Ⅳ)〜(Ⅵ)を算定できません。在宅利用を行う事業所は、(Ⅳ)〜(Ⅵ)の区分での届出が前提になります。

送迎加算や食事提供体制加算など、通所を前提とする加算が在宅利用日に算定できるかどうかを明記した条文は、一次情報の中でまだ確認できていません。

なお、名称が似た「在宅時生活支援サービス加算」(300単位)は、就労選択支援・就労移行支援において居宅介護等の派遣費用を事業所が負担した場合の加算です。B型の在宅利用そのものへの加算ではなく、B型条項での記載は確認できていません。混同しないよう注意してください。

自治体によって運用が分かれるところ

オンライン支援の実施可否や運用の細部は、指定権者である都道府県・指定都市・中核市の個別審査によって変わります。

事業所からオンラインによる支援を実施する旨の届出があると、指定権者が要件を満たしているかを個別に確認します。支給決定を行う自治体も、支援を提供する事業所の情報を指定権者に照会するなど、自治体間で連携するとされています。判断の実務は、この指定権者と支給決定自治体のやり取りの中で決まっていきます。

令和8年4月13日の事務連絡は、在宅支援と称して就労支援の実態が認められない不適切な事業運営が一部で見られると指摘しました。生産活動の内容や緊急時対応の具体的な方法が、留意事項通知やQ&Aに照らして適切かを確認するよう求めています。

同じ事務連絡は、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定において在宅支援の見直しを検討していることにも触れています。ただし、現時点で確認できるのは見直しを検討しているという事実だけです。

関連する記事を挙げます。

要点の整理
対象者の判断基準(現行)
在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者(令和7年3月31日改正版)
判断権者
市町村(本人の同意・アセスメントに加え、支援効果が認められるかの判断が必要)
支援の頻度(要件イ)
1日2回以上の連絡・助言・進捗状況の確認等と日報の作成
評価の頻度(要件オ・カ)
週1回は訪問・通所・ICT機器の活用のいずれかで評価等。原則月1回は事業所職員の訪問または利用者の通所による評価
在宅利用日の基本報酬
就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ)の区分(利用定員と人員配置6:1・7.5:1・10:1に応じた単価。平均工賃月額とは連動しない)
オンライン支援の扱い
原則は対面。オンラインは事業所の届出と指定権者の個別審査を経て、要件をすべて満たした場合のみの例外
制度基準日2026.06.01

よくある質問

Q. 利用者が希望すれば在宅利用を認められますか?
A. いいえ、市町村が支援効果を認めることも必要です。留意事項通知は対象者を「在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者」と定めています。希望があれば認めてよいわけではなく、事前の同意とアセスメントの徹底が求められると、令和8年4月13日の事務連絡が示しています。
Q. 在宅利用は事業所の判断だけで始められますか?
A. いいえ、事業所だけで開始を決めることはできません。運営規程に在宅で実施する訓練内容・支援内容を明記し、市町村が支援効果を認めた利用者に対してのみ、ア〜キの要件すべてに該当する場合に限り報酬を算定できます。判断権者は市町村で、実務では指定権者とも連携します。
Q. 在宅利用でも毎日連絡すれば要件を満たしますか?
A. いいえ、連絡以外の要件も同時に満たす必要があります。1日2回以上の連絡・助言・進捗確認と日報の作成に加え、週1回の評価等、原則月1回は事業所職員の訪問または利用者の通所による評価が求められます。いずれか1つを満たすだけでは足りません。
Q. オンラインだけで在宅利用の支援をしてよいですか?
A. いいえ、原則は対面で、オンラインは例外的な扱いです。直接処遇職員は利用者の状態や進捗を直接確認しながら随時対応することが原則求められ、オンラインが認められるのは、支援効果を市町村が認め、届出を受けた指定権者が要件の充足を確認した場合に限られます。
Q. 在宅利用の日も基本報酬を算定できますか?
A. はい、就労継続支援B型サービス費(Ⅳ)〜(Ⅵ)の区分で算定します。利用定員と人員配置6:1・7.5:1・10:1に応じて単価が決まり、平均工賃月額とは連動しません。(Ⅰ)〜(Ⅲ)の区分を届け出ている事業所は、在宅利用の日についてもこの区分は算定できません。
Q. 在宅利用の日に送迎加算は算定できますか?
A. 確認できていません。送迎加算など通所を前提とする加算が在宅利用日に算定できるかを明記した条文を、一次情報の中でまだ確認できていないためです。指定権者への個別確認をおすすめします。
この記事の根拠資料
3.
厚生労働省
PDF4〜5頁の問2「オンラインによる支援について」を確認・2026年08月19日確認
4.
厚生労働省
11頁「指定障害福祉サービス事業所等とは別の場所で行われる支援」、288頁の就労継続支援B型サービス費の区分を確認・2026年08月19日確認
最終確認:2026.08.19

この記事の更新履歴

2026.08.19初回公開(ドラフト)
執筆・監修
徳永 崇志

徳永 崇志

現役の就労継続支援B型事業所運営者

埼玉県志木市で実際にB型事業所を運営しています。

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