就労継続支援B型の支援員採用
求める要件の決め方と
募集要項で伝えること
2026年8月時点で、就労継続支援B型の職業指導員と生活支援員に、国の基準による資格要件はありません。国の指定基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)が定めていないためです。第199条が準用する第186条にあるのは員数の定めだけです。職業指導員と生活支援員の総数は、常勤換算方法で利用者の数を10で除した数以上とされています。利用者の数は前年度の平均値です。職業指導員1以上、生活支援員1以上を置き、うちいずれか1人以上は常勤とします。
したがって採用で先に決まるのは、資格ではなく人数です。その人数は人員基準の10対1ではなく、算定する基本報酬の区分から逆算します。就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)(Ⅳ)は6対1です。(Ⅱ)(Ⅴ)は7.5対1、(Ⅲ)(Ⅵ)は10対1です。
全国の実態は、人員基準の下限より手厚い側にあります。令和6年社会福祉施設等調査は、令和6年10月1日現在の配置を示しています。B型の職業指導員は常勤換算36,680人、生活支援員は33,791人でした。同年9月中の利用実人員502,992人に対して、およそ7人に1人の配置です。
- 人員基準(省令第186条・第199条で準用)
- 職業指導員と生活支援員の総数は常勤換算方法で利用者の数を10で除した数以上。職業指導員1以上、生活支援員1以上。うちいずれか1人以上は常勤。利用者の数は前年度の平均値(新規指定は推定数)
- 資格要件
- 国の省令には定めがない。職業指導員・生活支援員に必須の資格はない。ただし指定基準は都道府県等の条例で定めるため、上乗せの有無は指定権者に確認する
- 実際に必要な人数
- 算定する報酬区分で決まる。B型サービス費(Ⅰ)(Ⅳ)=6対1、(Ⅱ)(Ⅴ)=7.5対1、(Ⅲ)(Ⅵ)=10対1。(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は工賃向上計画の作成も要件(令和8年6月1日以降)
- 有資格者を採った場合
- 福祉専門職員配置等加算。直接処遇職員として常勤配置されている従業者のうち社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師が100分の35以上で1日につき15単位、100分の25以上で10単位
- 未経験者・無資格者を常勤で採った場合
- 福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)=1日につき6単位。直接処遇職員(常勤換算)のうち常勤の割合が100分の75以上、または常勤の直接処遇職員のうち勤続3年以上が100分の30以上のいずれかで算定する
- 欠員が出たとき
- 職業指導員・生活支援員が必要員数から1割を超えて減少すると翌月から、1割の範囲内なら翌々月から、所定単位数の100分の70(3月以上連続で100分の50)。1割の範囲内の減少は翌月末日までに満たせば減算されない
- 全国の配置実態
- 職業指導員36,680人・生活支援員33,791人(常勤換算、令和6年10月1日現在)、B型事業所17,973か所、9月中の利用実人員502,992人
目次
資格要件は国の基準にない。先に決まるのは人数
就労継続支援B型の人員基準は、指定基準省令の第199条にあります。この条は、就労継続支援A型の第186条を準用する形をとっています。その第186条第1項第1号が求めているのは3点です。
- 職業指導員と生活支援員の総数を、常勤換算方法で利用者の数を10で除した数以上とすること
- 職業指導員を1以上置くこと
- 生活支援員を1以上置くこと
どちらの職種についても、保有資格や実務経験年数の定めは条文に置かれていません。
制度が縛っているのは、人数と常勤の置き方だけです。募集要項に「社会福祉士歓迎」と書くかどうかは、経営判断の領域に入ります。ここを取り違えて資格から要件を組み立てると、応募母数を自分で狭めることになります。
条文で押さえておくべき点は、もう2つあります。
- 職業指導員または生活支援員のうち、いずれか1人以上は常勤でなければならないこと(第186条第4項)
- ここでいう利用者の数は、前年度の平均値であること(同条第2項)
利用者の数が推定数になるのは、新規指定の場合だけです。来年度の採用計画は、今年度の実績が固まった時点で輪郭が決まります。なお常勤換算方法は、省令第2条第16号に定義があります。勤務延べ時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で除して算出します。
何人採るかは、算定する報酬区分から逆算する
10対1は人員基準の下限であって、経営上の目標ではありません。令和8年6月1日以降の基本報酬では、配置区分そのものが報酬区分になっています。就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)(Ⅳ)が6対1です。(Ⅱ)(Ⅴ)が7.5対1、(Ⅲ)(Ⅵ)が10対1です。(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は工賃向上計画の作成も要件です。前年度の平均利用者数から必要な常勤換算人数を出すと次のようになります。いずれも「以上」なので、端数が出る場合は上回るように組みます。
| 前年度の平均利用者数 | 10対1(Ⅲ・Ⅵ) | 7.5対1(Ⅱ・Ⅴ) | 6対1(Ⅰ・Ⅳ) |
|---|---|---|---|
| 15人 | 1.5 | 2.0 | 2.5 |
| 20人 | 2.0 | 2.67 | 3.34 |
| 30人 | 3.0 | 4.0 | 5.0 |
| 40人 | 4.0 | 5.34 | 6.67 |
目標工賃達成指導員配置加算を取るなら、基準がもう一段上がります。留意事項通知は、条件を2つ重ねて定めています。
- B型サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)を算定する事業所で、目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上配置すること
- 目標工賃達成指導員・職業指導員・生活支援員の総数が、利用者の数を5で除した数以上であること
利用者20人なら、3職種の合計は4.0人以上が必要です。指導員を1人置けば算定できるという説明は正確ではありません。
全国の実態も下限より上にあります。令和6年社会福祉施設等調査によれば、令和6年10月1日現在のB型事業所は17,973か所です。職業指導員は常勤換算36,680人、生活支援員は33,791人でした。合計70,471人を同年9月中の利用実人員502,992人で割ると、およそ7人に1人です。これは標本調査の推計値で、事業所ごとの配置を示すものではありません。それでも、10対1ぎりぎりで運営している事業所は多数派ではないと読めます。
未経験者を採るときに見るべきなのは、資格より常勤かどうか
未経験・無資格の採用が報酬上不利になるかというと、そうとは限りません。福祉専門職員配置等加算は3区分あり、(Ⅲ)だけは資格ではなく体制で判定します。
| 区分 | 要件 | 単位数 |
|---|---|---|
| (Ⅰ) | 直接処遇職員として常勤で配置されている従業者の総数のうち、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師が100分の35以上 | 1日につき15単位 |
| (Ⅱ) | 同じく100分の25以上 | 1日につき10単位 |
| (Ⅲ) | 次のいずれか。ア 直接処遇職員(常勤換算)のうち常勤の割合が100分の75以上/イ 常勤の直接処遇職員のうち3年以上従事している者が100分の30以上 | 1日につき6単位 |
ここで効いてくるのが「常勤」の定義です。留意事項通知は「常勤で配置されている従業者」の意味を定めています。正規か非正規かは問いません。各事業所において定められる常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤にあたります。雇用形態ではなく勤務時間で判定するため、フルタイムのパート職員も常勤に数えられます。短時間勤務を細かく組み合わせても、常勤換算の数値は同じに揃えられます。それでも(Ⅲ)のアの要件からは遠ざかります。
(Ⅲ)のイの勤続年数には、当該事業所での年数以外も含められます。同一法人が経営する障害福祉サービス事業所や病院、社会福祉施設等での年数です。利用者に直接サービスを提供する職員として勤務した期間が対象で、非常勤の期間も通算できます。
募集要項に書くべきこと、採用後に必ず発生すること
運営規程には、従業者の職種、員数および職務の内容を定めます。根拠は省令第89条第2号で、第202条により準用されます。事業所の見やすい場所には、運営規程の概要と従業者の勤務の体制を掲示する義務もあります(同第92条)。募集で示す職種名・人数・職務内容は、届け出て掲示している内容と一致させます。求人票と運営規程がずれている状態は、実地指導で説明を求められる余地を残します。
採用後に発生する研修も、義務として先に確定しています。B型は第202条により次の規定を準用します。
| 研修・訓練 | 根拠条文(第202条で準用) | 実施頻度 |
|---|---|---|
| 虐待の防止のための研修 | 第40条の2第2号 | 定期的に実施 |
| 身体拘束等の適正化のための研修 | 第35条の2第3項第3号 | 定期的に実施 |
| 感染症・食中毒の予防及びまん延の防止のための研修および訓練 | 第90条第2項第3号 | 定期的に実施 |
| 業務継続計画についての研修および訓練 | 第33条の2第2項 | 定期的に実施 |
未経験者を採る前提なら、この4つが入職後すぐに走ります。募集の段階で研修体制として示せる材料でもあります。
求人票を出す前に次の4つを確定させておくと、選考中に条件がぶれません。
- 現に算定している基本報酬の区分(6対1か7.5対1か10対1か)
- 前年度の平均利用者数
- その2つから出る必要な常勤換算人数と、現在の充足状況
- 常勤要件をどの職員が担保しているか
省令は、職業指導員または生活支援員のうちいずれか1人以上を常勤と定めています。常勤が1人しかいない体制では、その1人の離職が即座に基準割れになります。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
欠員が出たときに何が起きるか
職業指導員と生活支援員は、人員欠如減算の対象職種として留意事項通知に明記されています。減算が始まる月は、減少の幅で分かれます。必要員数から1割を超えて減少した場合は、その翌月からです。1割の範囲内で減少した場合は、その翌々月からです。解消された月まで、利用者全員について所定単位数の100分の70になります。3月以上連続すると100分の50です。1割の範囲内の減少であれば、翌月の末日までに人員基準を満たせば減算されません。員数は足りていても常勤や専従といった要件を満たしていない場合も、同じく翌々月から減算されます。
令和8年5月28日改正の留意事項通知で、この扱いに猶予が新設されました。対象になるのは、突発的で想定が困難な事象によりやむを得ない事情が生じた場合です。減少が1割の範囲内であることも要ります。猶予は1年に1回で、欠如が生じた日の属する月の翌々月までの間です。要件は4つあり、すべてを満たす必要があります。代表的なものを挙げます。
- 公共職業安定所または福祉人材センター等の無料職業紹介事業を活用して、職員の確保に取り組んでいること
- 民間の職業紹介事業者を使う場合は、適正認定事業者を含めること
- 一部の職員に過度な業務負担が生じないよう、労働時間管理を行うこと
手続では、別紙様式に取組と事情を記載します。報告時点で有効な求人票の写しを添えて、翌月までに都道府県知事へ報告します。
読み方を裏返すと、有効な求人票がない状態で欠員が出れば、この猶予は使えません。厚生労働省は同じ通知で、やむを得ない事情が生じていない場合の求人にも触れています。公共職業安定所や無料職業紹介事業の活用が望ましい、というものです。この備えを常時持っておくことを促す趣旨と読めます。採用を空きが出てから動くものとせず、常時開いておく体制の一部として設計する理由がここにあります。
なお、サービス管理責任者の欠員は、減算の起算も期間も別扱いになります。関連する記事を挙げます。
- サービス管理責任者が採れない … サビ管の欠員の扱い
- B型の職員が抱えやすい悩み … 採ったあとに人が抜けていく要因
- B型の仕事がきついと言われる理由 … 現場の負担の中身
よくある質問
自分の地域には、
どれくらい利用者候補がいる?
所在地をもとに、周辺人口・障害福祉事業所数・紹介元になる相談支援事業所の数などを簡易集計します。これから開設する方には出せる場所と参入余地を、すでに運営している方には商圏内の競合と紹介元の分布を、目的にあわせて整理します。
その場でダウンロードできる資料ではありません。いただいた内容をもとに1件ずつ作成し、2〜3営業日以内にメールでお送りします。
